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漫画の感想

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昭和生まれの私が読んだ漫画の感想。古いのも多いけれども新しいものもあります。
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#萩尾望都

萩尾望都 (あぶな坂HOTEL)

萩尾望都 (あぶな坂HOTEL)

この世とあの世の間にあるホテル。
そこで引き返すことが出来ればこの世に留まる事が出来る。
引き返すことが出来なければあの世に行くことになる。

こういうテーマ自体は目新しいとは言えないかもしれないけれど、
流石は大御所。
短いページのなかで、それぞれの人々の人生をさらりと描いている。

生きるも死ぬもその人次第。
読めば読むほど、深いテーマがひしひしと身にしみてくる。

たまには自分の人生を今一度

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萩尾望都 (フラワー・フェスティバル)

萩尾望都 (フラワー・フェスティバル)

(プチフラワー 1988年7月号~1989年7月号掲載)

カバー折り返し部分の説明文より
バレリーナ志望の高校生・五所みどりは、英国でバレエのピアノ教師をしている義兄・薫を慕っていた。ある日、彼女の踊りを見た薫の友人のバレエ教師ガブリエルは、みどりを英国に誘うが・・・?

ひと夏の英国でのバレエスクールを体験した少女の心の成長物語。
・・・とでも言えばよいのか・・・。
とにかく色んな男女が登場し

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萩尾望都 (バルバラ異界)

萩尾望都 (バルバラ異界)

(「月刊flowers」2002年9月号~2005年8月号掲載)
近未来SF。

これは思ったより短かった。
たぶん作者は最初からちゃんと最後までの構想があって描いているだろうから、
全4巻の予定で描いていたのだろうと思う。

心臓を食べるとかの話もあるが、それ程めちゃくちゃ暗くはないので取敢えずは安心して読めた。
あまりにも暗いのは私はちょっと苦手なのだ。

現実世界と青羽の見る夢の世界が交錯す

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萩尾望都 (11人いる!)

萩尾望都 (11人いる!)

(「別冊少女コミック」1975年9月号~1975年11月号掲載)

萩尾望都の代表作の一つと言える作品。
古い作品ではあるけれど今読んでも十分面白い。
よく練られたストーリー。
謎とスリル。
魅力的なキャラたち。
絵柄は今と比べると古いかもしれないけれど・・・フロルは今みても可愛いですね。

これはリアルタイムで読みました。
最初は前・後編の予定だったのに中篇が入って結局3回になってしまった作品で

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萩尾望都SF原画展

萩尾望都SF原画展

萩尾望都の原画展を見に行ってきました。
やっぱり原画はいいですねえ。
印刷よりずっとずっと美しい!

ベタは印刷になれば真っ黒になるから原画では多少ムラがあっても構わない派なんだなあ・・・とか、ホワイトを散らす手法が多いなあ・・・とか、あの時代はカケアミとかそういった手法が多かったよね、でもここはアシさんかな?とか、スクリーントーンの指定はやっぱり青鉛筆だよね、とか、とにかくじっくり見ることが出来

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萩尾望都 (イグアナの娘)

萩尾望都 (イグアナの娘)

米国の権威ある漫画賞のアイズナー賞で、萩尾望都先生が、「コミックの殿堂」を受賞したそうです。おめでとうございます。
ニュースでは、たいてい「ポーの一族」などが代表作にあげられていますが今日とりあげるのは「イグアナの娘」です。

お互いに愛したくても愛せない母親と長女の葛藤を、シュールな心象描写で浮き彫りにし、大反響を呼んだ作品でTVドラマにもなったと思う。(私は観ていませんが)
実際の姿ではない姿

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萩尾望都 (山へ行く)

萩尾望都 (山へ行く)

これに収録されている「山へ行く」は雑誌掲載時に本屋で立ち読みしていたのだが、その時の感想は、
良質の演劇を観たっていう感じだった。

「山へ行く」のあらすじは、一言で言うと、主人公が山へ行きたかったのに行けなかったという話だ。
この「山」っていうのは別に「海」でも「川」でも「湖」でもいいのだと思う。
いや、自分の部屋の中でひとり好きな音楽を聴くのでも好きな本を読むのでもいいのだと思う。
<日常生活

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萩尾望都 (菱川さんと猫)(原作:田中アコ)

萩尾望都 (菱川さんと猫)(原作:田中アコ)

田中アコさんの書くお話のゲバラ猫が、あまりに可愛いので
萩尾望都センセからお願いして漫画にしたらしいのですが、ホントにこのゲバラ猫が可愛い!!!
こういう化け猫が身近にいたら楽しいだろうな~!って思います。
うちのトラも化けないかなあ?
化けるとすれば今14歳だから・・・人間だと72歳ぐらいかな?

逆に私も猫になりたい。
私が猫になるなら、どんな猫がいいかなあ?
三毛猫、黒猫、白猫、トラ猫・・・

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萩尾望都 (銀の三角)

萩尾望都 (銀の三角)

この作者に「叙情的なSF」を描かせたら右に出るものはいないんじゃないかなーと思う。

この作品、<SFマガジン>に1980年12月号~1982年6月号まで掲載されたものだそうだから、40年も前の作品。
しかし、今読んでもその素晴らしさは決して色褪せてはいない。

流れるように美しい線で描かれた画面。
どこからか、ラグトーリンの歌が聞こえてくる・・・。

練りに練ったストーリイ・・・

完璧なる「望

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メッシュ (萩尾望都)

メッシュ (萩尾望都)

「親に見捨てられた子ども、親と離別した子どもの、自己救済を求めての彷徨」

これが、この作品の主題だ。・・・と、まんが評論家の村上知彦氏が語っていた。

その通りだと思う。もうそれ以上いう事はない。

・・・と書いてしまったら、書く事はなくなってしまうので、別の観点で感想を書かせて頂く。

この作者は上記のテーマで、繰り返し繰り返し、数々の名作を描いてきたわけだ。
私はかなり初期からのファンなので

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萩尾望都 (半神)

萩尾望都 (半神)

この作品はたったの16ページしかない。
・・・にも拘らず、その何倍もの内容が込められている。

体の一部分が結びついている双子の姉妹、ユージーとユーシー。
知性は姉のユージーに。
美貌は妹のユーシーに。
やがて二人は13歳になり、ドクターがある決断を下した。
それは二人を切り離すことだった。
勿論、そうすると自分で養分を作れないユーシーは死んでしまう。
しかし、何もしなければ、二人とも死んでしまう

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