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そんなものはいらない。

母の日。去年の母の日から思い続けていることがある。それは気心の知れた友人との会話の中で産まれた。

結論から言ってしまえば、母の日の「感謝とかプレゼント」はあたしはいらないんだ。

そんなものはいらない。むしろ君達があたしの所に産まれてきてくれた。あたしを成長させてくれている。むしろこっちが感謝なんだ。

思えばあたしはこの素敵な2人の子供たちを産む前に、一人づつ、命を失くしている。

一番最初に身籠った時はスゴく嬉しかった。子供がほんとに欲しかったから。

でも、3回目の検診に行ったら、お医者様に「あれ?これは異常だね。この月齢なのにこの大きさは育ってないね。ダメだね、こりゃ」と言われた。

「まだ若いんだから、大丈夫だよ。次があるさ」

ありきたりの励ましの言葉をもらった。

わかってる。わかってるけど悲しくて悲しくて仕方なかった。

このままだと次の妊娠も出来ないので、近々中から排出する手術を行うという。

当たり前なんだ。わかっているんだ。でも欲しくて欲しくてせっかく授かった子なのに。

掻き出すなんて。

手術は始まった。全身麻酔だった。終わった直後は麻酔の覚め方が悪く、天井が歪んで気持ち悪い。痛くて痛くてたまらない。自分がどこにいるのかも何をしているのかも、何者かもわからなくなっていた。

もっと大事にしていればよかった?

あたしの身体は子供を育てられない身体?

なんでこんな目に遭うの?

ほんとは何が痛かった?

その後、普通に派遣先の仕事に復帰した。けれどそこでもショックな事が起きた。

派遣先の施設長に「おめでとうございます」と言われた。

あ、この方、あたしが妊娠したところまでは知ってるけど、ダメになった事までは知らないんだ。

たかが派遣社員。上の人があたしがどんな理由で数日休んでいたかも把握していないのはしょうがない事だろう。けど、その時は恨んだ。

それは悲しくて悲しくて仕方なかったあたしに追い討ちをかけた。

一年後、長男を授かった。不安でしょうがなかった妊娠期にも心は痛んだ。

同じく働いている会社の人に「妊娠したので、重いものとかは持てなくなるかもしれないので、よろしくお願いします」と告げた。

その人はあたしが前にダメになったことも知ってる人だった。なのに。

「お願いしますって働かねーつもりか。」

そう後ろで聞こえるように言われた。ショックだった。

それでも派遣元の会社にも「ギリギリまで働くから、その後、産休を下さい。また復帰します。」と言ったら、「うちの会社にはいままで例がないから届け出の紙もない。」と言われた。「じゃあいままでの人はどうしてたんですか?」と訪ねたら。「え?普通に辞めたよ。」との答えだった。

後から思えば、こんな会社にしがみついてるあたしもおかしかったのかもしれない。

それでもこれから産まれる子供の未来を考えて、頼りない給料の旦那との生活を思い返すと働かずにはいられなかった。

あたしは初の例外の「産休」を取り、無事に長男を出産した。

予定日から一週間後の事だった。お腹の中で大きくなりすぎていた為か、初めてだった為か。時間はスゴくかかった。側にあった持参のスリッパは血が飛び散った為、「捨てますねー」と軽く言われ捨てられた。

スゴく痛くて大変だった。疲れきって感動の涙も出なかった。出てきてくれてありがとう。それは思えた。

前の手術といい、出産といい、痛くて怖くて悲しい思いしかしなかった病院に定期検診などで行く時には思い出が甦ってきて、階段をみるだけで恐怖で足がすくんだ。

それでも「後もう一回は産まなきゃ。」

そう決意していた。あたしが一人っ子で寂しかったから。あたしがいなくなったら、この子は頼る人もいなく、一人で生きていかなければならないかもしれない。そうならない為にも絶対もう一人産もう。

続く

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

今も身を削って書いています。この先も身を削って書くので、この続きを有料にすることをお許しください。そしてこんなあたしを救ってくれるとありがたいです。






君達を幸せに、君達が笑っていられるように育てるのは当たり前なんだ。なぜってあたしがそうしたかったから。

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