ナイちゃんの華麗《カレー》なる人生の記録 第5話
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「アルちゃん、今はインターネットの時代よ。インターネットでお金を稼ぐ時代なの。あたしはこれから、あたしの情報をワールド・ワイド・ウェブにばらまくの。あたしは世界を変える存在になるの」
「どういう意味、ナイちゃん?」
「広告でお金を手に入れるのよ。これが今、世界で一番、手っ取り早くお金を稼げる方法のひとつなのよ。まずは大量のお金を稼ぐこと。そして稼いだお金でインドへ行く。あたしが新たなカレーを生み出す最短ルートを作り出す。それがあたしの最終目標であり、借金がなくなる道なのよ。だから、お金。とにかく、お金を稼がなきゃいけないの。金沢カレーを超えるご当地カレーをつくるためにはね」
ナイが一日で高校を中退した一年後、ナイはインターネットや株やFXで稼いだお金でインドへ旅立っていった。
ナイはすべての問題を解決するため、インドへカレー修行していったのだ。
究極のカレーを完成させるために。
そしてナイはインドで究極のカレーを完成させる「方法」を手に入れたのであった。
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ニトログリセリン。
それはナイが見つけた究極のカレーを完成させる「方法」であった。
ニトログリセリンは有機化合物で爆薬の一種だ。狭心症治療薬としても使われている(ウィキ○ディア調べ)。
その有機化合物はナイがめざすカレーを完成させるために必要だったのだ。
痛みのないナイには刺激が必要だった。
自分の人生において、からいという感覚が欲しかったのだ。
どんなに「友達」に殴られようとも痛みを感じることのないナイは、痛みを手に入れようとしていたのだ。
ナイはインドから帰ってきた。
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ナイは家に帰らず、休業日である「伊丹さんちのカレー屋さん」本店にいた。
わたしは高校に通っていたから、このときはナイが日本に帰っていたことを知らなかった。
だが、すぐにわたしは知ることになる。
ナイが店で「あのカレー」の試作段階に突入しているころ、トラブルが発生した。
ナイはグツグツ煮たカレールーにニトログリセリンを調合した――その瞬間、店は爆発し、ナイは……ナイちゃんは死んだ。
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「第無量大数×オール・オーバー・フォーエバー回、天下一華麗料理会を今、開催しますっ!」
ナイちゃんは死んだ。
だけど、この真っ暗だけど、少しだけ光に照らされているような会場でナイちゃんはカレーをつくっていた。
伊丹家の母から教わった様々なカレーの知識を用いて、ナイちゃんは幽霊だか精霊だかよくわからない存在と料理対決をおこなっている。
ナイちゃんは何度も勝利した。
トーナメントを勝ち上がっていった。
そして、決勝戦。
ナイちゃんは自身に関する、すべての謎を知ることになる。
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