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ワタシの中に浮かんだ「誰か」の話
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#短編小説

あなたのとなり

あなたのとなり

思わず 好き と、言いそうになる

あなたが隣にいて

わたしとあなたになると。

これだけは、口にできない

わかってる、わかってる、わかってる

でも、思わずほんの少し触れてる肘がくすぐったくて

普段は言わないようなほんの少し弱気な言葉をポロリと言われると

包んであげたいと思ってしまうし

ふとゆるんだ顔を見せてくれたら

わたしの心が解けてくのがわかる

あなたはわたしと同じように感じて

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困惑の定義

困惑の定義

ものすごく、困惑している。

"困惑"っていう言葉はこういう時に使うんだって

初めてわかった

君の考えていることがわからない

どう考えてもその顔は気になる男にする顔でしょ

と思うと

まるで見えていないみたいに普通の顔してる日もある

守ってあげたくなるような日もあれば

あまりに勇敢な日もある

もはや、わからない

どんどん惹かれるということでもない

不思議なんだよ、ものすごくドキド

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Xmasの奇跡

Xmasの奇跡

胸の奥が静かに鳴ってる

いつもより熱く、ほんの少し速く

それを認めてしまうのは、あまりに危うい

わかっているけど

止められない。

ベタな言葉しか思いつかない

目を閉じるたび

まぶたの裏に現れる

飲みすぎたカフェインのせいかもしれない

そうでないと困る。

まさかの展開が起きた。

そんなこと、あるはずないって思ったのに。

クリスマスの奇跡。

起きて良かったのか、悪かったのか

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雨の日の美容室

雨の日の美容室

髪を切った

海辺の美容室の前を通りがかったとき

行きたい行きたいと思いつつ

忙しい毎日に流されて

髪の毛のことなんてすっかり忘れていたことを思い出した。

ふと立ち寄ったらすぐに切ってくれると言ったので

そのまま中に入った。

大きなガラスの窓から薄曇りの海が見える。

今日は波もなく静かで

曇り空と海の境界が曖昧だ

「こんにちは!どんな感じにしますか?」

少し若くて元気な太陽みた

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雪桜

雪桜

あの雪の日、すれ違いざまに肩が触れて

それが君だって知ったのは

桜の季節だった

紺のリクルートスーツなんて着てるから

まさか、君だなんて思いもしなかった

雪の日の君はもうすこし大人に見えた

とはいえ、私より年下だとはおもってたけど。

転んだ私にスッと手を差し出して

汚れたスカートの代わりにって

さらっとジーンズを買ってくれて

裾直しのあいだ、カフェで話した君は

どう見ても、そ

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叶えたくない恋



初めて会った日

何気なく

素敵ですね、って褒めてくれたその声が

耳の奥でずっとくすぐったくて

2度目にあった時は、

時折見える、切なげな目に

胸の苦しさを感じた。

君はそんなの当たり前で

いつものことで

だれにでもそうなんだろう。

いちいち、反応する私がバカなんだと

わかってる。

だけど、その横顔も

にっこり笑うその笑顔も、

気づくと隣にいることも、

わたしには、

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ヒカリノウタ。

ヒカリノウタ。

あのとき偶然テレビから流れてきた

その瞬間、目が離せなくなったんだ

もともと好きなアーティストでもないし

いつもは歌詞重視なのに

そんなの関係なしに心に入ってくる。

好きなタイプでもない。

それなのに、また聴きたくて

タイトルだけはしっかり覚えた。

気付いたら心惹かれてて

あの音もメロディもリズムも

ちょっとしたアレンジも

気になっ

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