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私が彼女で貴方は幼馴染⑧
一方、麗達は近くの公園のベンチに座っていた。
「先輩に会えなかった…。」
「しょうがないよ。お姉ちゃんがあそこまで言っていたら無理には押し通せないから…。」
「ひと目だけでもいいから会わせてほしかったな…。」
落胆する結奈を麗はもう掛ける言葉がなかった。
翔にとってはもう自分よりも近い存在であり、このまま上手く付き合い続ければいずれは結婚もするかもしれないと考えていた。
「先輩、ひとつ
私が彼女で貴方は幼馴染⑦
葵が玄関の戸を閉めると、
「お姉ちゃん、ごめん。」
と真一が少し頭を下げながら話し出した。
「真ちゃんが謝る事はないよ。もう私も共犯者なんだから。翔がすぐに目覚めると思って、その後に学校で過ごし難くならない為の嘘なんだから真ちゃんは悪くないよ。」
「ありがとう…。」
「それよりも少し聞いてほしい事があるからリビングに行こう。」
真一は葵にそのままついて行った。
リビングに着くとテーブ
私が彼女で貴方は幼馴染⑥
真一はその音に反応するかの様にすぐに翔の携帯電話を机に置いた。
そしてドアが開くと葵がいた。
「真ちゃん、忘れ物あった?」
真一は足元にあった自分の鞄から英語の教科書を取り出して葵に見せながら、
「あったよ。急にごめん。どうしても明日の授業で必要だったんだ。でも翔に貸してたんだけどこんな事になっちゃったから。」
「そう…良かった。この後なんだけど少し話出来ないかなと思って。」
「大丈夫
私が彼女で貴方は幼馴染⑤
結奈はそれから安心したのか口数が多くなっていた。
「…そうなんです。それで天城先輩ったら熱だから家に行くのはよくないとか熱が下がるまで連絡するのはよくないとか拒否ばっかり。彼女が教えてほしいって言ってるのにこの対応ってどうなんでしょうか?」
「…うん…きっと真ちゃんもわざとやってる訳じゃないんだし…。結奈ちゃんもちょっと落ち着いた方がいいよ。」
心を開いたのか結奈は口を開けば今日の真一の悪口
私が彼女で貴方は幼馴染④
3人はそれぞれの飲物を飲んで一息つくと、
「ねぇ、結奈ちゃん。翔のどんな話が聞きたいのかな?」
麗が本題へと切り込んだ。
「小さい頃の2人の関係…みたいな事は何かないですか?」
「小さい頃ね…私と先程会った真ちゃんと翔の3人は家が近所で幼稚園も一緒だったから知らない間に遊ぶ様になっていたわ。幼稚園に入ったのなんて3歳の時だから入った時の記憶も無ければ、3人がどう出会ったのかなんてのもわから
私が彼女で貴方は幼馴染③
続けて静香は話す。
「彼氏ってそんなに急いで欲しいものなんですか?私にはただのステータスにしか見えません。ただ彼氏がいるだけの優越感に浸っている自己満足だと思うんです。結奈みたいにこんな無理をして色んな人を巻き込むなんて絶対におかしいです。」
確かに静香の言っている事も一理ある。しかし麗は一息ついて話し出す。
「それでも友達が好きって言ってるのを無理矢理止める事なんて出来ないよね。結奈ちゃん
私が彼女で貴方は幼馴染②
「はい。確かに怒りました。私の言った言葉も悪かったのですが…。」
「誰だって虫の居所が悪い時だってあるし、怒るって事はある程度の感情を許してるって考えた方がいいよ。翔だって本気で傷付けたい訳じゃないんだから。きっと翔の事だからすぐに忘れて許してくれるよ。付き合ってるんだからもっと相手を信じないと…ね。」
「ありがとうございます。初めての恋愛で少しナーバスになっているのかもしれません。本当はもっ
私が彼女で貴方は幼馴染①
行ってしまう真一を遠目に見た後、振り返ると、
「本当は真ちゃんも一緒の方がよくわかると思うんだけど行っちゃったものは仕方ない。私でよければ行こうか。」
「ありがとうございます。じゃあ近くのカフェにでも行きましょう。私、飲物を奢りますので。」
3人は靴を履き替えて学校近くのカフェへと歩きだす。
「申し遅れました。私は結奈と同じクラスの観月静香です。本日は同行しますのでよろしくお願いします。」