ミスト

ミストです。 長編小説書いています。 話はずっと繋がっていますのでお手数ですが始めから…

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ミストです。 長編小説書いています。 話はずっと繋がっていますのでお手数ですが始めから読むと話がわかります。 順番はマガジンから。 全部無料で読めますが、もしよかったらモチベーション維持の為、御支援をお願いします。 (*´-`)

マガジン

  • 君の中の君へ

    長編小説:幼馴染の麗、真一、翔が夢の中の世界と現実で揺れ動く青春ストーリーになってます。できるだけ展開重視の文脈にしておりますのでよかったらご一読お願いします。

最近の記事

幼馴染の秘密⑤

真一は自分の部屋に戻るとベッドに倒れ込む様に寝そべった。 『忙しい1日だったな。明日の事は大丈夫だと思うけど、あの下級生の2人の事はまだ上手くは避けれないだろう。自分の言葉では届かないかもしれないけど、この言葉は自分で作った物だけど知らない人間からすると翔の言葉だ。 大丈夫、きっと上手くいくさ。』 そう思いながら自分の携帯電話をじっと見つめていると携帯電話が鳴り始めた。 画面を見ると麗からの電話で先程の事で翔の事が気になっているのだろう。 出る事に少し躊躇った。

    • 幼馴染の秘密④

      真一は自分の家に着き、リビングを横切る時に父親が、 「おかえり、真一。」 と声を掛けてきた。時刻は18:30、こんな時間に父親が家にいるのはとても珍しい。普段は21時を過ぎないと家には戻ってこない。 仕事が早く終わったのか?離婚するのに家族サービスも何もないだろうに。リビングのソファに座りながらテレビを見ていた。声を掛けられた以上、返事しない訳にはいかなかったので、 「ただいま。」 と素気なく返事をして自分の部屋に行こうとしたが、 「少しこっちに来て話をしないか?

      • 幼馴染の秘密③

        「それが出来なかったんだよ。あの子は麗ちゃんが好きなのは確かだけどそれと同じ位、真ちゃんの事も大事だからあの子なりに自分の気持ちを隠すので精一杯だったんだよね、きっと…。」 わかっていたけどそんな事は考えたくもなかった。 翔はいつもどこかで誰かに気を使う事が多かった。 誰かを傷付けるくらいなら自分が傷付いた方がいいと考える人間という事は痛い位にわかってた。 俺達の関係が知らぬ間に翔が苦しむ関係になっていた。 ずっとこのままでいられたら幸せなんて考えていたのは自分だけ

        • 幼馴染の秘密②

          読めば読む程、自分の存在が嫌になる。 ここから出る答えは自分の存在さえ無ければ翔はこんなにも苦しまずにいられたのであろう。 翔も言い出せなかった気持ちはわからなくもないがここまでして自分の気持ちを押し殺していたなんて知らなかった。 いつからこんな事をと考えた時に今度は一番下にある手紙を手に取ってみた。 手紙を開けると紙切れの端が見えた。 それを取り出すと、色鮮やかな模様が真ん中の文字を彩っていた。 『れいのおねがいをなんでもきく券』 書かれていた文字が真一の脳裏

        幼馴染の秘密⑤

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        • 君の中の君へ
          106本

        記事

          幼馴染の秘密①

          「これから見た事は誰にも言わないでほしいの。もちろん麗ちゃんにも。あと翔がもし目覚めてもこれからの事は知らない事にしてくれると嬉しい。」 翔の部屋の前で葵が真一に告げる。 自分が部屋にいた時は不自然な事は一切無かった。いつでも来たこの部屋に何があるのかわからない。ただ神妙な顔付の葵を見ていると只事ではないのは確かだった。 葵が扉を開き真一も着いて行く。 葵は勉強机の一番下の大きな引出しを開けた。 中にはサッカーグッズや雑誌が所狭しと無造作に置かれていた。 しかし葵

          幼馴染の秘密①

          私が彼女で貴方は幼馴染⑧

          一方、麗達は近くの公園のベンチに座っていた。 「先輩に会えなかった…。」 「しょうがないよ。お姉ちゃんがあそこまで言っていたら無理には押し通せないから…。」 「ひと目だけでもいいから会わせてほしかったな…。」 落胆する結奈を麗はもう掛ける言葉がなかった。 翔にとってはもう自分よりも近い存在であり、このまま上手く付き合い続ければいずれは結婚もするかもしれないと考えていた。 「先輩、ひとつだけいいですか?」 「何?」 「絶対に何回も電話を鳴らしたり、ショートメール

          私が彼女で貴方は幼馴染⑧

          私が彼女で貴方は幼馴染⑦

          葵が玄関の戸を閉めると、 「お姉ちゃん、ごめん。」 と真一が少し頭を下げながら話し出した。 「真ちゃんが謝る事はないよ。もう私も共犯者なんだから。翔がすぐに目覚めると思って、その後に学校で過ごし難くならない為の嘘なんだから真ちゃんは悪くないよ。」 「ありがとう…。」 「それよりも少し聞いてほしい事があるからリビングに行こう。」 真一は葵にそのままついて行った。 リビングに着くとテーブルがあり、真一は葵に座る様に言われて椅子に腰を掛けた。 葵は冷蔵庫からペットボ

          私が彼女で貴方は幼馴染⑦

          私が彼女で貴方は幼馴染⑥

          真一はその音に反応するかの様にすぐに翔の携帯電話を机に置いた。 そしてドアが開くと葵がいた。 「真ちゃん、忘れ物あった?」 真一は足元にあった自分の鞄から英語の教科書を取り出して葵に見せながら、 「あったよ。急にごめん。どうしても明日の授業で必要だったんだ。でも翔に貸してたんだけどこんな事になっちゃったから。」 「そう…良かった。この後なんだけど少し話出来ないかなと思って。」 「大丈夫だけど…翔の事?」 「うん…少しだけ気になってた事があって。」 真一は聞かな

          私が彼女で貴方は幼馴染⑥

          私が彼女で貴方は幼馴染⑤

          結奈はそれから安心したのか口数が多くなっていた。 「…そうなんです。それで天城先輩ったら熱だから家に行くのはよくないとか熱が下がるまで連絡するのはよくないとか拒否ばっかり。彼女が教えてほしいって言ってるのにこの対応ってどうなんでしょうか?」 「…うん…きっと真ちゃんもわざとやってる訳じゃないんだし…。結奈ちゃんもちょっと落ち着いた方がいいよ。」 心を開いたのか結奈は口を開けば今日の真一の悪口が出てきた。それでも麗は話を聞いてカフェを後にした。 一方、この頃真一は学校を

          私が彼女で貴方は幼馴染⑤

          私が彼女で貴方は幼馴染④

          3人はそれぞれの飲物を飲んで一息つくと、 「ねぇ、結奈ちゃん。翔のどんな話が聞きたいのかな?」 麗が本題へと切り込んだ。 「小さい頃の2人の関係…みたいな事は何かないですか?」 「小さい頃ね…私と先程会った真ちゃんと翔の3人は家が近所で幼稚園も一緒だったから知らない間に遊ぶ様になっていたわ。幼稚園に入ったのなんて3歳の時だから入った時の記憶も無ければ、3人がどう出会ったのかなんてのもわからない。だけど何かあれば一緒にいたし親同士も話していたから本当にずっと一緒だったわ

          私が彼女で貴方は幼馴染④

          私が彼女で貴方は幼馴染③

          続けて静香は話す。 「彼氏ってそんなに急いで欲しいものなんですか?私にはただのステータスにしか見えません。ただ彼氏がいるだけの優越感に浸っている自己満足だと思うんです。結奈みたいにこんな無理をして色んな人を巻き込むなんて絶対におかしいです。」 確かに静香の言っている事も一理ある。しかし麗は一息ついて話し出す。 「それでも友達が好きって言ってるのを無理矢理止める事なんて出来ないよね。結奈ちゃんには結奈ちゃんの好きになった理由があって、サッカーだけじゃなくて他の事も私に聞き

          私が彼女で貴方は幼馴染③

          私が彼女で貴方は幼馴染②

          「はい。確かに怒りました。私の言った言葉も悪かったのですが…。」 「誰だって虫の居所が悪い時だってあるし、怒るって事はある程度の感情を許してるって考えた方がいいよ。翔だって本気で傷付けたい訳じゃないんだから。きっと翔の事だからすぐに忘れて許してくれるよ。付き合ってるんだからもっと相手を信じないと…ね。」 「ありがとうございます。初めての恋愛で少しナーバスになっているのかもしれません。本当はもっと会って話がしたいのですが、付き合いが始まった後は会えてませんし、携帯電話の番号

          私が彼女で貴方は幼馴染②

          私が彼女で貴方は幼馴染①

          行ってしまう真一を遠目に見た後、振り返ると、 「本当は真ちゃんも一緒の方がよくわかると思うんだけど行っちゃったものは仕方ない。私でよければ行こうか。」 「ありがとうございます。じゃあ近くのカフェにでも行きましょう。私、飲物を奢りますので。」 3人は靴を履き替えて学校近くのカフェへと歩きだす。 「申し遅れました。私は結奈と同じクラスの観月静香です。本日は同行しますのでよろしくお願いします。」 「そんなかしこまらなくてもいいよ。先輩って言っても1こしか違わないし、私は体

          私が彼女で貴方は幼馴染①

          嘘を真実に②

          それでもどうにか2人が納得してくれる言葉を探していた。すると後ろから独り言の様に上坂が呟く。 「そんなに不安なら自分で返信すりゃいいじゃん。」 「はぁ??」 適当に上坂の口から飛び出した言葉の意味がわからない。 他人の事だからそんなに適当な事を言えるのだ。 それでも人生は上坂の様にある程度、適当に生きた方が楽しいのかもしれない。 もし自分が本人であった場合、同じ言葉を言われた時にどんな気持ちになるのか考えていないのだろう。 しかしこの言葉を頭の中で転がしていると

          嘘を真実に②

          嘘を真実に①

          結奈達と別れた真一は教室までの道を歩きながら考えていた。 どうしよう。持田さんの電話番号の紙を受け取ったのはいいけど翔に送っても返事なんて来るわけがない。 明日になればまた食堂へ行かなければならないし…。 返ってくるわけないと思うけど…。 真一は万が一という可能性もあると思って翔の携帯電話にメールを送った。 『起きた?今日、学校で翔の恋人の持田さんと話した。携帯電話の番号を交換出来なかったと言っていて、とりあえず声が聞きたいとの事。もし起きていたらここに電話してあげ

          嘘を真実に①

          探り合い⑦

          『今は道化師でも構わない。全ての真実に辿り着いた時にこの仮面を外してみせましょう。 その時、私は現れる。』 今はそんな気持ちでいいと思った。 つまりは開き直ったのだ。 難しい事や不安な事ばかり予感してても切りがない。実際に今は持田さんの精神が不安定だからこれ以上は話さない方がいいだろう。 相手に濡れ衣を被せるのではなく自分で被ってしまえという事。 こんな戯けた食べ方で自分の方が限界を感じさせれば今は逃げ切れる。 これが一番簡単な方法なんだと思ってしまった。 「

          探り合い⑦