幼馴染の秘密②
読めば読む程、自分の存在が嫌になる。
ここから出る答えは自分の存在さえ無ければ翔はこんなにも苦しまずにいられたのであろう。
翔も言い出せなかった気持ちはわからなくもないがここまでして自分の気持ちを押し殺していたなんて知らなかった。
いつからこんな事をと考えた時に今度は一番下にある手紙を手に取ってみた。
手紙を開けると紙切れの端が見えた。
それを取り出すと、色鮮やかな模様が真ん中の文字を彩っていた。
『れいのおねがいをなんでもきく券』
書かれていた文字が真一の脳裏に焼き付く程の衝撃が走った。
それでも恐る恐る手紙の中を取り出して広げた。
『れい、おたんじょうびおめでとう。
れいといっしょにあそんでるととてもたのしい。
しょうがくせいになってもずっといっしょにあそびたい。
れいのおねがいをなんでもきくかみをいれたからいつでもつかってほしい。
これからもずっとれいといっしょにあそびたい。』
文面から読み取れる限り、幼稚園の頃だろうか。
こんな歳からずっと自分の気持ちを押し殺してきたんだろう。
翔と麗が付き合わない理由があるとすればやはり自分の存在。
どんどんと自己嫌悪に陥る中で、
「きっとあの子…ずっと平気なふりをして我慢してたんだろうね。それで限界がきて…。それしか思いつかなくて。」
「お姉ちゃん、いつこの手紙に気付いたの?」
「小学3年の頃かな…いつも勉強しないのに麗ちゃんの誕生日前になると2日位、勉強机に座ってるから怪しいと思って見てた時があったの。最後に引出しの裏に何か隠していたからそれを見たのがきっかけかな…。翔にはバレない様に毎年見てたの。」
「それを今まで誰にも言えなかったってとこだね…。お姉ちゃんは麗への積もりに積もった気持ちがストレスで爆発を起こして翔が寝たきりになったって考えてる?」
葵は静かに頷いた。
「こんな事になった後になんなんだけど…真ちゃんさえ問題なかったら麗ちゃんから手を引いてもらえたらと思って相談なんだけど…。」
「…まだこれが原因って決まった訳じゃないし、俺は手を引くも何も翔が麗と付き合ってくれるなら何も文句はないよ。ただ…俺の前で堂々と言ってくれたらそれでいいんだ。ずっと何も隠さずにいつまでも幼馴染でいられると思ってたんだ。それなのに…。」
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