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私が彼女で貴方は幼馴染②

「はい。確かに怒りました。私の言った言葉も悪かったのですが…。」

「誰だって虫の居所が悪い時だってあるし、怒るって事はある程度の感情を許してるって考えた方がいいよ。翔だって本気で傷付けたい訳じゃないんだから。きっと翔の事だからすぐに忘れて許してくれるよ。付き合ってるんだからもっと相手を信じないと…ね。」

「ありがとうございます。初めての恋愛で少しナーバスになっているのかもしれません。本当はもっと会って話がしたいのですが、付き合いが始まった後は会えてませんし、携帯電話の番号も交換出来てないので。そういえば先輩は武藤先輩が今日、何で休んだのか知ってますか?」

「それはわからないわ。翔はサッカー部の朝練に行ってるものだとばかり思っていたから。教室に着いて初めて気が付いたんだ。それで帰り際に真ちゃんに聞こうとしたところで結奈ちゃんに話し掛けられたってとこかな?」

「すみません…そうだったんですね。天城先輩と一緒に帰ろうとしてたところ邪魔してしまったんですね。」

「邪魔だなんて思わなくていいよ。今日、真ちゃんは用事があるって言ってたから結奈ちゃんが話し掛けようと掛けまいが一緒には帰ってないと思うよ。」

「それはよかったです。お2人は私から見ればお似合いな感じがしましたので…。」

「何度も言うけど私達はそんな関係じゃないよ。小さい頃から殆ど毎日一緒にいるってだけで。お風呂だって何回も一緒に入った事あるんだから。」

「お…お風呂に!?」

「小さい頃の話だけどね。流石に最近はないよ。」

「で…ですよね…。」

こんな会話をしながらカフェに入ってレジの前に立った。

「先輩、何を飲みます。」

結奈が麗に問い掛けると、

「カフェオレにしようかな。」

「静香は?」

「私はコーヒー。ブラックで。」

「じゃあ私も先輩と一緒でカフェオレにしよう。先輩と静香は席取っててもらってもいい?私が注文するから。」

そう言って結奈が注文しに行っている間に麗と静香は席を取りに行く。

窓際で2人ずつ座る4人用のテーブルが空いていたので、

「ここにしよう。」

と言って麗は窓際の席に着いた。

静香は対角の席に座ると、

「そういえば静香ちゃんは結奈ちゃんと友達なんだよね。」

「はい、そうですけど。友達の様に見えませんか?」

「そんな事ないよ。結奈ちゃんはほんわかしてるから静香ちゃんがそれを支えてるって感じかな?」

静香は少し微笑み。

「残念ですがハズレです。いつも支えられているのは私の方です。私としては出来ればこの恋愛は上手くいかない方が嬉しいのですが…。」

「友達に彼氏が出来たら自分は相手にされなくなるから?」

「はい。結奈は武藤先輩に出会ってから少しだけおかしくなってしまった。」

静香の表情は物憂げに変わっていく。

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