見出し画像

私が彼女で貴方は幼馴染①

行ってしまう真一を遠目に見た後、振り返ると、

「本当は真ちゃんも一緒の方がよくわかると思うんだけど行っちゃったものは仕方ない。私でよければ行こうか。」

「ありがとうございます。じゃあ近くのカフェにでも行きましょう。私、飲物を奢りますので。」

3人は靴を履き替えて学校近くのカフェへと歩きだす。

「申し遅れました。私は結奈と同じクラスの観月静香です。本日は同行しますのでよろしくお願いします。」

「そんなかしこまらなくてもいいよ。先輩って言っても1こしか違わないし、私は体育会系でもないから。…そうだ、結奈ちゃんと静香ちゃんって呼んでもいいかな?何か名字で呼ぶのもよそよそしいし…。」

「はぁ…構いませんが…。」

「じゃあ決まり。結奈ちゃんと静香ちゃんね。」

3人で歩いていると結奈は麗の事を自分よりも身長が高く、スタイルもいい、そして綺麗で可愛い。自分にない物ばかりだと思い始める。

じっと見ていると、

「私の顔に何か付いてる?」

「えっ、いや、あの…すみません。とても綺麗なのでつい見惚れてしまいました。私には無いものばかりだな…って。」

「そんな事ないよ。結奈ちゃんは小柄で可愛いから男の子にモテそうな感じがするけど…。」

「そうだといいんですけどね…。先輩みたいに男の子と一緒に登校してみたいです。」

「真ちゃんと翔の事?」

「は、はい…。武藤先輩の事、名前で…。もしかして2人は付き合ってますか?」

「付き合ってはないよ。2人共小さい頃からの幼馴染なんだ。ずっと一緒だからその流れで今も時々一緒に登校してる。」

「そうなんですね。…じゃあどちらかを好きになった事ってないんですか?」

結奈の両手が小刻みに震えているのに麗は気付いた。

「2人共大好きだよ。だけどこの好きに恋愛感情はないかな。それよりも結奈ちゃんは翔の事が好き…なのかな?」

それを聞いた結奈は急に立ち止まり、麗が遅れた結奈を見ようとした時に、

「あの…私…先輩と付き合ってます。」

自信の無い弱々しい声で言った。

「えっ…あっ、そうなんだ。」

「ずっとお二人が付き合ってるかどちらかが相手の事を好きなんだと思ってました。あとは武藤先輩の本当の気持ちを確認するだけなんです。」

「…待って。翔と付き合ってるんだよね?だったら確認なんてする必要ないと思うけど。」

「まだ付き合い始めて何日かなんですけど、武藤先輩の気持ちがわからないんです。元々、サッカーが上手い事しかしらなくて他の事を全く知らないから…それで先輩に怒られた事があります…。だからもっと先輩の事を知って、いい恋人同士になりたいんです…本当に…。」

「翔が…怒った…?」

麗は今まで翔が怒る姿を見た事がなかったが結奈が嘘を言っている様にも見えなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?