春の街に
平日は、ほとんど家の中で過ごしていて、古い団地の部屋の中は春なのに、少し寒い。
晴れやかな休日に外を歩いてみると、とても暖かくて確かに春なんだと実感する。光も柔らかく、影も穏やかで。思い切り空気を吸いたい気持ちになって、抑える。
街の飲食店は外にテーブルを並べ、弁当を売っている。ラーメン屋さんのからあげ弁当が妙においしそうに見えるけれど、きっと近くのスーパーのほうが安くておいしいに違いない。ここは弁当を売るのにも、激戦区なんだ。
スーパーを覗くと、少し間隔を広げた長い列ができている。いつも以上にカゴ一杯詰め込んだたくさんの人たちを横目に、からあげ弁当だけを持って並ぶのも忍びない。ラーメン屋さんで買えばよかった、と思って通り過ぎる。
酒屋さんでいつものお酒を買おうと思ったら、置いていない。代わりに珍しいお酒がおいてあったので、それを買う。お酒の袋をぶら下げて、公園で少し休む。遊ぶ子どもたちの声がよく通る。
写真を何枚か撮る。いつもなら保育園の子どもたちがこぞって摘み取ってしまう、レンゲの花がいっぱい咲いている。しおれたままビニール袋に入ったレンゲの花束を、お迎えのときに持って帰ったのを思い出す。
こんな春もある。来年にもまた花は咲くし、私も変わらず散歩する。
家から街まで、往復1時間のゆっくりとした散歩。
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