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幼馴染の秘密③

「それが出来なかったんだよ。あの子は麗ちゃんが好きなのは確かだけどそれと同じ位、真ちゃんの事も大事だからあの子なりに自分の気持ちを隠すので精一杯だったんだよね、きっと…。」

わかっていたけどそんな事は考えたくもなかった。

翔はいつもどこかで誰かに気を使う事が多かった。

誰かを傷付けるくらいなら自分が傷付いた方がいいと考える人間という事は痛い位にわかってた。

俺達の関係が知らぬ間に翔が苦しむ関係になっていた。

ずっとこのままでいられたら幸せなんて考えていたのは自分だけだったのか?

麗もこの関係、この距離が変わらない為に苦しんでいたのかもしれない。

そして翔がこんな事になってしまった。

真一はそれ以上の手紙を見る事はしなかった。

きっと麗への愛情を綴った文章や贈り物が入っているのだろう。

毎年毎年、文章を考え、麗と一緒にいる為の物を封入していた。これで自分の気持ちを抑える事が出来たならそれでいいと考えたんだ。

この時、真一の胸の奥にとある考えが浮かぶ。

『他人を好きになるってどんな気持ちなんだろう?』

『ずっと一緒にいた幼馴染から恋人にしたいっていう切っ掛けはなんだったんだろう?』

今の自分では出てこない疑問に内心はただ戸惑っていた。

「ありがとう、お姉ちゃん。翔の気持ちはわかったよ。また何かわかったら話すから。」

「今日はごめんね。変な事に巻き込んじゃって。」

「気にしないで。あと翔が目覚めたら教えてもらってもいいかな?」

「それはもちろん。会いに行ってあげて。」

真一は翔の家を後にした。

自分の家に帰路は少し足取は重く、これからの事に不安以外無かった。

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