ITエンジニアのキャリアと年収について
お久しぶりです、みそです。
1.加速するジョブ型雇用制度の導入
先日富士通がジョブ型雇用を導入したと発表がありました。
これでNTT、日立、NEC、富士通とほぼすべての国内大手SIerがジョブ型雇用に踏み切ったことになります。ピラミッドの頂点がジョブ型雇用を採用したことで、これまで制度として導入していなかった企業もいずれはジョブ型に移行することになり、数年のうちに業界内でスタンダードになると予想されます。
ちなみに私の在籍する企業もジョブ型を採用していますし、私が入社したときもジョブ型を前提とした雇用契約を結びました。
これまでのメンバーシップ型の雇用では年功序列で年収が上がるが、人よりも多くの年収を得ようとすると出世をするしかありませんでした。出世をしようとしても席は限られており、努力に対する対価も見合ったものではありません。また、就職する企業あるいは業界により決まる年収のポジショニングは非常に大きい。下世話な言い方をすれば年収の良い企業(業界)に入り、首にならない程度の最低限の仕事をしてしがみつくのが最もコスパの良い働き方でした。
転職と年収には密接なかかわりがあります。これまでも年収を上げる方法として転職するという選択肢はありましたが、労働市場の流動性が低く、現在ほど一般的なものではありませんでした。そのため、転職に対してネガティブなイメージがあったのでしょう。
職務内容を明確にして人材配置をするというジョブ型の人事制度は転職(=中途採用で人材を確保する)と相性が良く、今後も転職によって年収を上げるという考え方はより一般的なものになると思われます。
2.なぜ転職をすると年収が上がるのか
実際に転職をするために情報収集、とAmazonなり本屋に出向くと「転職x回、年収xxx万が年収xxxx万に!!」みたいなことが帯に書かれた本が目につきます。
この手のキャッチーなコピーがついていると、つい手に取り(ポチり)たくなるのですが、本の中身は基本的にその人の転職ハウツーです。1つの本で再現性のある情報が得られるものではないですが、そのキャッチコピーはけして誇張されたものではなく、誰にとっても実現可能なものだといえます。それについて少し述べたいと思います。
まずジョブ型雇用において、年収はタイトルもしくはジョブディスクリプションに連動します。そして求められる職務内容を遂行するだけのスキルを持っていると期待されて採用されます。つまり年収をあげるには、高収入を得られる職務に就くために転職をすればいいわけです。ハウツー本の著者は現在の職務より高年収を得られる職務に就くために転職をし、年収を上げることに成功しています。
余談ですが、残念ながら高収入を得られるトラディショナルな日本の大企業人事は転職回数が多いことについてネガティブなイメージを持っていますので、この手の事例の多くでは同じく高収入を得られる外資系の企業に在籍していくことになります。
優秀な人材を獲得する競争において、このような理由で外資に人材が流出するのは非常に残念ですので、多浪よろしく転職回数が多いことに対するネガティブな見方が変わってくれることを望みます。
話を元に戻すと、転職の回数に注目するのではなくて転職の過程においてどのような職務経験を得てきたのか。また年収があがったことではなくて、その年収を得る為の職務内容がどのようなものなのかに着目すれば
ジャパニーズ・ドリームを掴んだかのようなキャッチコピーも、極めて現実的なキャリア選択の上に得られたものだと理解することが出来ます。
3.ITエンジニアのキャリア形成
ITスキル自体は非常に汎用性が高く持ち出しやすいです。
経験のある開発言語、導入経験のあるパッケージ、開発手法や規模の近いプロジェクト等、ほぼポータルブルスキルといってもよいかと思います。
それにヒューマンスキルや論理的思考力など仕事を円滑に進める上で必要な能力があれば、職場を変えても前の環境で出したパフォーマンスを再現することは容易です。
ですので、転職によって年収を上げていくということは他の職種と比べてもやりやすいでしょう。
業界としてジョブ型雇用に移行していくでしょうし、さらにその先としてプロジェクト単位に雇用契約が結ばれるという形も考えられる気がします。
そうなるとキャリア形成において、これまで以上にどのような企業に勤めるのかということよりもどのような業務をするのかということが重要になってくるといえます。
https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM073XY0X00C22A4000000/
本日はここまで。お相手はみそでした。 では。
ありがとうナス!