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たくさんの人に観てほしい映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』

ボブ・マーリーをご存知だろうか。

レゲエの神様と呼ばれ
ドレッドヘアーで
ONE LOVEを歌う
ジャマイカのミュージシャン

ボブ・マーリー

2024年5月17日
映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』が日本で公開された。

私は、音楽で世界を変えるために世界中を巡り、多くの人々の心を震わせたボブ・マーリーのことを何も知らなかったと思い知り、そして今こそこの映画が世界中に広まるべきだと強く思った。

『ボブ・マーリー:ONE LOVE 』は、レゲエの神様と呼ばれた男、ボブ・マーリーの伝記映画であるーー

5月17日、日本での公開初日に私は映画館へ足を運んだ。レゲエが好きで映画のことは知っていたので、必ず観に行くつもりではあったが、公開初日に観に行く予定はなかった。なんだか観に行かなければならない気がして、悩んでいる自分に生きていく上でのヒントが欲しくて、そして映画館の爆音のサウンドでレゲエを聴きたくて、急遽行くことにした。

正直レゲエは他のジャンルに比べるとメジャーとは言い難い。ゆえに、公開初日に観に来ているひとのほとんどは確実にレゲエ好きだろうと思い、まるでレゲエの現場に行くような気持ちになっていた。同じレゲエを好きな人たちが集まっていると思うと、それだけで感慨深くなって、胸が熱くなる思いだった。

私が訪れた映画館での本作の上映回数は少なく、シアターも小さめのシアターで上映されていた。そして小さめのシアターであっても間に合うくらい、人の入りも多くはなかった。上映している側の人たちからすれば、きっと想定通りであろう。

私自身もそう思っていた。けれど、観終わったあと、この小さなシアターから始まって、評判が広まって、どんどん観る人が増えていって、どんどん上映館が増えていく…そんな光景が見たいという思いに駆られた。

それはまるで、映画の中でボブ・マーリーが各地を巡り、世界がONE LOVEの歌声に包まれたあの1970年代と同じように。
 

この映画のことを知っているひとはどれくらいいるのだろう。レゲエが好きであるとか、音楽が好きであるとか、元々興味やとっかかりがないと、そもそもまず観てみようとはなりづらい作品だとは思う。

けれど実際は、レゲエを好きじゃなくても、ボブ・マーリーのことを知らなくても、何の知識もなくても観ることが出来る内容だし、平和を望む者ならば、音楽で世界を変えようとするボブ・マーリーの姿に誰もが心を打たれ、感銘を受けるだろう。それくらいメッセージ性が強く、得るものの多い作品だった。

だからこそ一番観てほしいのは、戦争や争いをすすめるひとたちなんだけど。

※ちなみに
・PG12の作品
・字幕 です。ご留意ください。

観る前は有名な曲ONE LOVEのイメージや、レゲエ=ゆったりのイメージの強さゆえか、ゆったりとした全体像の映画をイメージしていたが、この映画は、ボブ・マーリーの生涯は、ゆったりで括れるものではなかった。

ボブ・マーリーは、どんな時でもずっと、音楽を通して平和を、愛を訴え続けていて、
ボブ・マーリーには、自分と自分以外の間に隔たりがなかった。全てがひとつだった。

映画の中でボブ・マーリーやリタ(ボブ・マーリーの奥さん)が言う言葉や思想、リタのボブ・マーリーへの接し方も心に残るものが多く、「人」に対しての考え方は悩み続けていた自分にこれからの軸にするべき光を与えてくれた。

世界中をまわっているにもかかわらず「バンドに払える分があればいい」と言って必要以上のお金を望まないボブ・マーリーの姿からは、お金の為ではなく、強い意志を持って、大義の為に歌っているということが明確に見て取れた。

ボブ・マーリーが多くを望まなかったからこそ、この映画が派手できらびやかなものになることはなかったのだろう。足るを知るということこそが、本当の本質的な心の幸せにつながることなのかもしれない。
 

ボブ・マーリーは36歳で亡くなった。

今もなお、世界中で聴き続けられているボブ・マーリーの音楽。そして、2024年、映画となってボブ・マーリーは私たちの前に再び姿を現した。今、このタイミングでこの映画が上映されたことにも、意味があるんじゃないだろうか。ボブ・マーリーが各地を巡っていた時と同じように、各地で映画を通してボブ・マーリーに救われるひとが、たくさんいるんじゃないだろうか。

過去に世界中の人々の心を震わせ、惹きつけたボブ・マーリー。そして今もなお衰えることを知らないボブ・マーリーの音楽たち。

それはつまり、何年経っても、いつの時代であっても変わることなく、ボブ・マーリーの生き方は、ボブ・マーリーの音楽は、私たちの心に響いて、私たちを救ってくれるということ。

今回の映画だって例外じゃない。沢山の人たちの心を動かしたボブ・マーリーが、2024年を生きる人たちの心は動かせないなんてことが起こるわけがないんだから。

映画を鑑賞し終えた後、比喩ではなく、本当に私の体は軽くなっていた。背負っていた重い荷物がなくなったような感覚になった。周りの人に対して無意識に作っていた壁が、一気にどこかへいってしまったようだった。

帰り道、いつもと同じ景色が違うものに見えた。

道を歩く人々が、景色の一部でなく、しっかりと「人」に見えた。

全く知らない人のことも、受け入れて、許せるような気持ちになっていた。

「私」と「あなた」ではなく、「私」と「私」。

平和を愛するボブ・マーリーの言葉は、思想は、生き様は、遠く離れた日本の私に、時も国境も何もかも飛び越えて、しっかりと確実に届いていた。

 

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