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行ってきますと行ってらっしゃいの居場所は何度でも見つかるよ

寝癖ぼさぼさの髪で、開けたカーテン。眩しさで目をつぶる一瞬前に捉えたのは、新品のクレヨンで描いたような「水色」の空。伸びやかに広がる朝に、心の中で音符が跳ねた。

ぐずぐずな梅雨のせいで忘れてしまいそうになるけれど、もう7月末。今月から、株式会社インクワイアで編集アシスタントを始めた。3ヶ月間は業務委託だけれど、会社とわたし、相互にミスマッチが生まれなければ、その後社員としてジョインすることになっている。

今年の1月から、飲食店のアルバイトで生計を立てながら未経験で始めたライターの仕事。これから挑戦したい編集の仕事。両方を、このタイミングで「会社」でやってみようと決めた。いや、正確には拾ってもらった、のだ。

雨に打たれた捨て犬のようなわたしを代表のジュンヤさんが拾ってくださり...大変お世話になっている界隈の人に報告すると「よかったね!絶対成長できるよ!」と言ってもらえる環境に身を置くことができた。周りは優秀な方ばかりで。ジョインしてから1ヶ月が経った今も、ときどき「ここにいる自分」にふわふわする。

インクワの働き方は、フルリモート・フルフレックス。メンバーは日本各地に。海外に移住された方もいる。副業で携わる人もいればフリーランスの方もいて、コアメンバーの社員も。

自由で、フラットで、シンプルな組織。この文章も、金曜日の夕方、鎌倉のカフェで仕事をした帰りに書いている。この働き方だけでも去年の自分が見たら「別人だよー。」と頰をぷいっとさせ、信じてくれないだろう。旅先で仕事も、もう夢ではない。

とはいえ、社員になるため3ヶ月間のonboarding期間を設けてくださったのは本当に有難い。それだけで精神的なプレッシャーは半分以下になったように思う。なんせ去年の今頃のわたしは、引きこもりだったのだから。

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朝起き、スーツを着て、会社に行く。社会人として当たり前だと思っていた1日の流れ。その日も同じような「ふつう」をなんとかやり過ごそうと思っていた。

それなのに。身体がベッドに張りついて起き上がれない。涙が流れる。「何でみんなと同じようにできないの...」と呟いた、秋空が綺麗な月曜日の朝。同じ台詞を心療内科の先生に細々と相談し、その月に会社を辞めた。

組織や会社に適さない人種だと自他共に認めては傷ついた。もちろん、個人で生きる働き方が合っている人もいて、そこに優劣はない。それでも。おはじきをピンっと弾くように、社会という見えない“輪”から追い出された気がして。なぜ生きているのかもわかなかった。2018年の冬は本当に厳しかった。

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しばらく鬱っぽい症状は続いたけれど、春にかけだんだんと体調が戻ってきた。その理由は、自分で自分の足跡を聞く時間を取れたからだと思う。

選んだライターの仕事で、書く苦しさと魂が震える瞬間にたくさん出会えた。それと同時に、世の中に価値を生み出さなければ食べていけないビジネスの厳しさを学んだ。会社の外に出てみると、複雑怪奇な社会を楽しく生きているオモシロイ大人がたくさんいた。

半年間に渡っていろんな人に出会い、ライターを軸にいろんな仕事を経験させてもらったおかげで(GWは軽井沢のお蕎麦やさんで住み込みで働いた!)

生きるって面白い、そう思える自分になれた。だからこそ、社会に問いを投げ問題を解決したいと真剣に取り組むインクワイアに出会えたのかもしれない。

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たった1ヶ月、されど1ヶ月。くじけそうになることも楽しいなと思うこともある、色とりどりな毎日だった。

自由な働き方ゆえ、メンバーと顔を合わせるのは週に1〜2回程度。対面で話せると安心したり、逆に不安になったり。

Slack上でのやりとりでは、相手の気持ちを推し測りすぎると疲弊すると学んだ。わからないことは思い切って聞くと良いことしかない気づけた。

できないことばかりに目を向けない。これできなそう...と思うことも、まずはやってみる。時間がかかっても「やり切る」ことでしか自信や実力はつかなくて。何度も挑むうち、解けない問題を面白がれる自分が少しずつ顔を出してくれるようになった。

不安や焦りで心が覆われたときのために、自分で自分をご機嫌にする方法をいくつか知っておくこと。仕事のスキルもセルフマネジメントも、筋トレをするように日々鍛えていく。そうやって手を抜かずにありたい自分に近く努力をし続けることでしか、何も叶わないと学んだ。

一見、とても辛い日々に見えるかも知れない。業務もコミュニケーションも、確かに楽ではない。だれど、楽しい。

チームメイトがいてくれること。チームでひとつのボールを動かしていくこと。ベンチャーゆえ物事が進むスピード感が速いにも関わらず、丁寧に成長を見守ってくれる。いつのまにか自分の成長よりも、この人を笑顔にしたいと頑張るパワーが湧いていた。

誰のために、何のために。

もちろん自分の夢もあるけれど、「ひとりではいけない場所に行く」と掲げるこの組織で見たい景色があるから。わたしはここにい続けたいと思えるのだ。

2ヶ月前に書いたnote。まだインクワのジョインが決まる前に書いた記事を読み返した。

ああ、そうだ。わたしは行ってらっしゃいと行ってきますが言える仲間が欲しかったんだ。

「初めまして!」あの日、笑顔で迎えてくれたみんなの表情を今でも覚えている。安心したようにちょこんと座り、みんなの顔を眺めていた初めてのミーティングから早1ヶ月。

今では「行ってらっしゃい」なんて、呼吸をするようにメンバーに投げかける自分がいた。

求める場所は、自分が求め続ければ必ず見つかる。

ひとつずつ、一歩ずつ。健やかにしなやかに育っていきたい。

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