見里庵

いい文章を読むと幸福感に包まれます。いいものに、小説やエッセイといったくくりはありませ…

見里庵

いい文章を読むと幸福感に包まれます。いいものに、小説やエッセイといったくくりはありません。 心が温かくなったり鼓舞されたり、明日への希望が生まれる言葉たちに出会いたいです。

最近の記事

気になって仕方がない言葉遣い

日々言葉は生まれ、古い言葉と置き換えられていく。それ自体に不満はないのだが、誰かが生み出した言葉に寄りかかりすぎて汎用されまくっているのを目にすると、またかと思うことが多くなった。 少し前「~させて頂く」という言い方が、日本語としておかしいというのがあった。二重敬語とか、尊敬語と謙譲語の混同とか、日本語そのものの間違いの指摘も多い。 「頭痛が痛い」とか「腹痛が痛い」も、言葉の間違いの代表格だが今ではギャグのように使用される。 わたしが数年前から思っているのは、前述した「~

    • 痛いと言ってくれ【初めての胃カメラ検査】

      会社の健康診断で、生まれて初めて胃カメラをのんだら再検査の診断が出た。 これまでの検診ではバリウム検査一択だったから、胃の中の細かい状況まで分からなかったのだ。 カメラで覗くと、胃荒れがあり逆流性食道炎の兆候も見られ、なにより胃の表面に白くなったものがあるのだという。モニターで一緒に見てもよかったのだが、こちらはゲーゲーいっているし、半年分の涎が出た格好になっているし、両目から涙がスーッとこぼれるなどして、なにより眼鏡を外した裸眼ではたいていのものを識別することは困難なのだ

      • 【育児日記】冷凍食品禁止令

        お弁当に冷凍食品を入れないで、と今年小4になる息子が言う。 冬休みで、学童に通っているちっちに持たせるためのお弁当作りをしている。母であるわたしには、毎日の苦行ともいうべく日々である。職場に持っていく自分の分のお弁当は割合どうでもいいのだが、子供のものとなるとわけが違う。 翌朝も早起きして二人分の弁当作り。早く寝たいし、早く寝てほしい。 眠る間際、少しでも早く寝かしつけようとおだてたり、またある日には「明日も早いからもう寝なさい」と憤りをぶつけたりしている時刻でもある。

        • 咳はすべてを奪い尽くす

          人が咳をしているときには話しかけないでほしい。 以前、仕事で読み合わせという、データが合っているか右と左で確認する作業をしていたときのことだ。そこには細かな数字が羅列されてある。 わたしは数日前からの咳がだんだんひどくなり、その日は絶不調でときおり連続して咳き込んだりしていた。 人が咳き込んでいる隣で、その人はデータを読み上げていく。 こちらはうんともすんとも言えない。咳して体が揺れるから目で細かい数字など追えるはずがないし、隣で発せられる言葉すら聞き取れない。何かを話し

        気になって仕方がない言葉遣い

          病は気から病に取り憑かれる

          小学生のちっちがインフルエンザの流行に乗ってしまった。 繁忙期に連休を取らなければならないのはちょっとつらい。 いや、そんなことは言っていられない。 目の前で高熱を出し、咳き込んでいる息子がいるのだ。 ちっちはもともと気管支が弱い。 だからみんながちょっとの咳ですむところを、ゲホゲホと咳き込んでしまう。 咳がひどくてかわいそうなのだが、 予防接種を受けていたおかげか高熱のわりには元気がある。 赤い顔をしながらも「ゲームする」とのたまう。 「ダメ」 母は即刻却下。 「いった

          病は気から病に取り憑かれる

          【育児日記】帰宅が待ち遠しくて落ち着かない母

          ふだん、ちっちは学童に行っている。 放課後は学校からすぐ裏にある学童にお友達と向かう。ハズだ。 宿題をし、おやつを食べ、グラウンドで走り回り、時に不愉快なこともあり、しかしたいていは迎えに来るのが早いと文句を言うくらいだから、楽しく過ごしている。ハズだ。 仕事中の親がどんな気持ちでいるかや、どんな問題に直面したりやらかした諸問題があり焦りまくったり冷や汗をかいたりしていることを、もちろん子供は知らない。 同じように、わたしもちっちが学校に行くまでの登校中、校内における生活

          【育児日記】帰宅が待ち遠しくて落ち着かない母

          みんな夢でありました・・・?

          あの時代は何だったのだろう。 森田童子ばりにわたしも尋ねる。 誰かに背中を押されるように、幸福を見ていられた。みんなで肩を組みながら、流れに乗っていればそれでよかった。 それが突然ないものになるなんて、にわかには信じられなかった。 わたし達は長い間その残像を見ていた。中身はスカスカになってきていたのかもしれないが、表面上ではよく分かっていなかった。 バブルがはじけたといわれても、周囲の先輩や親が本当に困った顔をしているわけではなかった。少なくともわたしはそういう環境にいた

          みんな夢でありました・・・?

          30年前、演劇を見ていた。千本のっこや山田のぼるくんに会っていた頃。

          ここのところ「千本のっこ」が顔を出して仕方がない。 人間ではない。 千本のっこの言葉だけが、ある日ひょっこり登場しそのまま居着いてしまった様子だ。 しばらく離れていたけれど、また文章を書きたいな。 そんな折、自己鍛錬のために「千本ノックを打つように作品を書く」というある作家の言葉をふと思い出した。 日記を書くように、エッセーなどの一言日記より長いものを書きたいな、などとも思っていた。どこかに公開なんてしなくても、書き癖をつけるためにほぼ毎日。 まさに千本ノック。ガンバレ、自

          30年前、演劇を見ていた。千本のっこや山田のぼるくんに会っていた頃。

          【育児日記】ちっち、病欠の月曜日

          今日のちっちは昨夜からの発熱で学校を休んだ。 月曜日。 本来ならば、母は業務で大わらわ。週の初めで、一番多忙な曜日だ。 もっとも欠勤したくない日なのだが、子供はどういうわけか月曜日に体調をくずすことが多い。 日曜日に遊び疲れるのか、なにかの菌をもらってくるのか、遊びに夢中で体の芯が冷えていることに気づかぬまま長時間を過ごしているのか。 はたまた、知らず知らずのうちに平日強いられている緊張の糸が切れ、薄く伸びた被膜から体内の”お熱”がにじみ出てくるのか。 「昨日より少し良く

          【育児日記】ちっち、病欠の月曜日

          図書館に浸る

          図書館が無性に好きな人で、転居先はたいてい近くに図書館がある場所を選んだ。 彼女いわく「図書館が近くにあれば、自室に巨大な本棚を持っているのと同じことになるから」 自宅にはたくさんの本が置けない。だが歩いて数分もかからないところに図書館があれば、よほどの人気作でない限りほぼ常設してあるのだからそれは自分の本棚にならんだ自分の所有物とほとんど同じことになるのだ。 背の高い本棚に本が上から下までぎっしりと入っていると女はそれだけで満たされる。自分の中に古今東西の書き手が語りか

          図書館に浸る

          誰かと似た人

          毎日顔を合わせる業者さんが、ニュースで目にする凶悪犯に似ていて困っている。 もうかれこれ十年来、我が社の受付に顔を出している。 窓口だけのお付き合いではあるが、気さくな人でたまに他愛のないおしゃべりもする。 我が社にとっては名乗る必要もないほど顔パスが有効な人で、ともするとうちの社員ですと名乗られても、そうでしたねなんて答えてしまうかもしれないくらい、日々当たり前に顔を見ている人だ。 ところが、である。 近年ある痛ましい事件を起こしたあの凶悪犯に、彼が似ているのである。

          誰かと似た人

          見切り発車で良い

          物事をスタートさせる時、わたしはある程度のメドがついたらさっさと始めることにしている。 完璧を目指すと続かないから。 あまり上等なものを目指すと、自分の低級さにうんざりきたりガッカリきたりして結局何も始められないままになってしまう恐れがある。 変なところでプライドが高いと、完璧にしなければとそちらの方に気がいき、目の前の手を動かすことが滞ってしまう。 結局人間は行動したかしないかがすべてであって、心のなかで親切を思っていても行わなければ誰も助からないし、壮大な素晴らしい

          見切り発車で良い