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「勉強イヤだ」と言う子どもに言っていること

分解する

ビジネススクールでは全体を細かい要素に分解して考えるように教えられます。例えば「コストが高い」という課題を解決するためには、コストの構成要素を原材料費、人件費、家賃、光熱費、広告費・・・といった細かい要素に分けて考えるといったことです。
こんなことは普段から意識せずにやっていることのように感じますが、「抜け漏れなく」すべての要素を洗い出すことはかなり大変です。しかし何かの「問い」に対して本気で正しい結論を得ようと考えるのであれば、すべての要素を網羅した仮説を立てる必要があります。

子どもが勉強しない理由は?

そこで、「子どもが勉強したくない問題」です。
親にとっては大問題です(笑)私はこの問題を解決するにあたって、本気で正しい結論を得たかったので、子どもが勉強が嫌いな理由を分解してみました。
(なお、今回の前提は「目の前にやらなければいけない宿題が山ほどあって、時間もたっぷりあるけれど、勉強を『したくない』」という状況です。「勉強したいけれど、できない」という状況は除外します)

この分解、かなり難題です。ビジネススクールでかなり複雑な問いに対してそれなりに抜け漏れのない分解ができるようにトレーニングしてきたつもりですが、うまくできません。皆さん、いかがでしょうか?
なんとか下の埋め込みのように分解してみました。

「MBA持っててこれか・・・」と思われるかもしれませんが本当に難しいです。勉強したくない子どもの気持ちはビジネス課題より複雑かもしれません。皆さんからも、ぜひご意見をいただきたいです。

勉強したくない理由を、まず、「嫌なことがある」(マイナスがある)と「いいことがない」(プラスがない)に分解し、それぞれもう少し具体的な気持ちに分解しました。
仮説を立てたら、早速検証してみました。私は子ども向けのボランティア活動を主宰しているだけでなく、本職は救急医ですので、小児の患者さんとも沢山お話できます。緊張を和らげるために「勉強、好き??」とか聞いてみるのですが、少々体調の悪い子どもでも、「勉強が嫌いな理由」は嬉々として語ってくれます。
私の周りで多かったのが、「解けないとイライラする」「何の役に立つか分からない」でした。

私が自分の子どもに言っていること

「何の役に立つか分からない」についてです。
私は、「勉強したくなるまで、しなくていいよ」と言っています。内心はかなりハラハラしながらですが。
「自分はこうなりたい、こんなことができるようになりたい。だからこれをやりたい」と、自分でやるべきことを考えて、前向きに取り組んでほしいのです。
まず大切なことは、「自分はどうありたいか=理念」だと思います。すごく抽象的でもいいので、ありたい姿が分かるようになったら、「じゃあ、それを達成するためには、今の自分はどんな状態で、だから今の自分には何が必要で、それを身につけるためにはどんなことをすればいいだろう?」と一緒に考えます。今の自分(内部環境)とありたい姿になるために必要な要素(外部環境から導き出される成功要因)との間にあるギャップをしっかり理解します。私はこの課程を「戦略を立てる」と説明しています。ありたい姿になるために必要な要素を考えるには多くの知識が必要で、子どもだけでは難しいので、温かい大人の手助けが必要になります。
この「戦略」は勉強だけではありません。例えばありたい姿がスポーツ選手だったら、どんな練習をどれだけ行う必要があるかを考えます。また、どんな姿であろうと、知識や技術だけではなく意志や態度も必要です。あるべき意志や態度を意識できるようになると急に大人になった印象を受けます。

戦略を立てたら、「戦略を実行」しなければ意味がないよね、と伝えています。このことは子どもでも簡単に分かってもらえます。自分で考えたことはやってみたいものです。「戦略」さえ納得感とともに自分のものにできれば、自分から進んで取り組むようになった気がします。

「子どもに理念なんて難しすぎる」というご意見をよくいただきます。その通りで、とても難しいことだと思います。ただ、それでも私は一番大切なことだと考えているので、理念を見つける旅を丁寧に支援していきたいと思っています。
まだありたい姿が分からない子ども達には、小学校、中学校の勉強、スポーツ、芸術、社会の仕組み、文化、人と人とのコミュニケーションなどを、将来どのように生きるかに関わらず役に立つ「基礎的能力」と呼び、前向きに向き合ってもらえるようなメッセージを伝えています。こちらは別の記事でご紹介します。


「解けないとイライラする」。このことに対しても大切なメッセージを伝えています。こちらも別の記事でご紹介します。


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