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テストが60点だった子どもに言っていること

100点をとって喜ぶ子ども

我が家では模擬テストの結果発表の日は一大イベントです。夜8時のウェブサイト上での発表に向けて、子ども達は、「まだ!?まだ!?」「ちょっと早く入ってみて!」と催促してきます。予定時刻前に入れるはずなんてないのに・・・。
夜8時になっても、しばらくはアクセスが集中して入れません。きっと多くのご家庭で同じことが行われているのでしょう。
スマホのパネル連打を繰り返し、指がしびれた頃にやっと入れると、子どもの「やったぁ!」もしくは「エー、・・・」でイベントは折り返し地点です。ここからが最も大事な子どもへのエンパワメントがスタートです。

「やったぁ!」だったら、もちろん私も嬉しいです。自分の子どもが喜ぶ姿はいつ見ても嬉しいものです。「いつも本当に頑張っているね」と承認し、「これができるようになったから、今度はこんなことに挑戦できちゃうね」と動機付けとともに、理念に向けてさらに視線を高める後押しをします。

が、どこか心の中でモヤモヤしています。特に「100点」だったときです。
そのモヤモヤは「このテスト、受ける必要あったか?」です。

テストの目的は何か

テストの目的は、評価です。今の時点で、できることとできないことを明確にしてくれます。そのおかげで「次にするべきこと=できないことをできるようになるために必要なこと」が分かります。

私は子どもたちに「PDCAサイクル」の重要性を伝えています。特に「CからA」を大切にしています。

テストの結果は、喜んだり、悲しんだりして終わってはいけません。
結果が返ってきたら、まず最初にやることは、「今自分ができないことは何か」「それをできるようになるためには何をすればいいか」を考えることです。間違えた問題と真剣に向き合う必要があります。このことは子ども達にとってとても嫌なことのようですが、ここを温かく支援して「乗せる」ことが大切です。これができるようになると毎回テストが返ってくるたびに、間違えた問題の分だけ成長できるようになります。

テストが60点だったら「やったじゃん」

テストが60点だった時、私は「やったじゃん」と思います。そのテストを受けたおかげで、40点分のできないことが明確になり、40点分成長できることが確かだからです。60分の試験で40点分成長できたのであれば、60分の試験で5点分しか成長しなかった場合と比較して、明らかに価値のある60分を過ごしたと言えます。
そして、「CからA」を行い、その40点分の問題が解けるようになれば、その時点で、少なくともその試験で出題された範囲については、100点だった子と同じレベルに達しています。
この成長する楽しさや嬉しさに気付き始めたら、成長カーブは一気に上を向きます。テストという「大きなC」を待たなくても、自分自身の日々の取り組みの中で「小さなC」を繰り返し、成長できるようになります。PDCAサイクルは小さく高速回転させると効果が高いのは、ビジネスでも勉強でも同じです。

「解けないとイライラする」という子ども達に言っていること

記事【「勉強が嫌だ」と言う子どもに言っていること】で記した通り、勉強をしたくない理由として「解けないとイライラするから」という子ども達が少なくありません。

そんな子ども達には、「問題は解けなくていいんだよ」と言っています。問題が解けないことは全く悪いことではありません。それどころか嬉しいことです。今まさに、できないことができるようになる瞬間なのですから。
問題が解けなくて苦しいのは、「問題は解けなくてはいけない」という思い込みがあるからです。「問題が解けることがいいこと、解けないことがダメなこと」という思い込みがあるからです。全く違います。その子はその子らしく、ありたい自分でいられることが一番いいことです。
現代に求められているのは、絶対の正解のない複雑な課題に、前向きに取り組み、失敗や成功を繰り返しながら日々成長できる人です。
「解けない問題を少しずつ解けるようになること」。このことを一番褒めてあげたいです。

スポーツにPDCAサイクルを

勉強だけでなくスポーツにおいて、PDCAサイクル使って成長する体験を提供しています。
私は、特に子どもの団体スポーツ指導において、個別の選手の抱える課題の共有と解決するために必要なアクションの支援が不十分だと感じることがあります。ひたすら練習(D)と試合(C)を繰り返すけれど、個別の選手の「CをAにつなげる」指導が足りていない状況です。
「今日の試合、全然パスがつながっていないぞ!明日はパス錬だ!」といったように、チーム全体の評価、アクションに重きを置きすぎている印象があります。チームスポーツにおいてはチームの結果が所属メンバーのモチベーションとなる要素も大きいかと考えますが、それでも個人のパフォーマンスを高めることがその選手の輝く未来への支援となりますし、個人のパフォーマンスを高めることはチーム力を高めることにも直結するはずです。
選手には、体を動かす練習だけでなく、自分の抱える課題と解決するために必要なアクションをゆっくり考える時間がもっと必要ではないかと考えています。きっと一部の優れた選手は日々このことを実践しているのだと思います。
団体スポーツの指導でも、選手一人一人を大切に思い、一人一人を丁寧に見て、一人一人の成長を喜べる指導が好きです。

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