エッセイ『HappyBirthday』#シロクマ文芸部

誕生日はあなたがこの世界に産み落とされた日。11月6日は、母と双子の姉である伯母の誕生日。伯母が先に生まれたので、双子の姉ということになっているが、医学的には母が姉だそうだ。実際、母の方が姉っぽい、と妹も常々言っているし、私も同感である。

二人は性格がまったく逆なのだ。伯母はもろに京都人という感じで、表裏があるが、母は京都人っぽくなくて、大阪での生活も長かったせいか、ストレートで曲がったことが大嫌い。同じ性別で、同じ蠍座で、同じ血液型で、同じ家に生まれたのに、見事に対照的だから、占いも当てにならないな、と思う。

伯母はきつい癖毛なのに、ストレートの髪にこだわり、無理矢理コテで伸ばしている(でもチリチリ)そして白髪染めで、真っ黒。母は癖毛を生かした癖毛風パーマな髪型で、ハイライトが入っている。髪の毛に対しても対照的なアプローチ。笑

伯母は独身で子供もいない。母は嫌々結婚して、私と妹を産んだ。伯母は結構、私にも妹にも干渉してくるが、母は基本的に放任主義。母は手作りの料理にこだわっているが、伯母は時短や掃除、片付けを重視している。

何から何まで正反対だが、顔はそっくり。伯母は20歳頃から痩せ始めて、常に母より一回り細い身体をしている。今年の11月6日は4人でバースデーランチに行って、バースデーケーキを切り分けて食べた。久しぶりに改めて見たが、また痩せたような気がする。

伯母は食が細い。摂食障害の患者さんっぽい。母は小さいのに食欲旺盛で、よく食べる。一日トータルで母が一番食べているような気がする。(私はダイエット中)ジーンズをよく穿いていて、頭の割には身体が小さいので、たまに子泣き爺かドラえもんに見える。笑。ごめん。笑

私は普段、母に憎まれ口ばかり叩いてしまうが、心の底では世界で一番感謝している。京都に引っ越してきて、伯母と私が嫁姑対決みたいになってしまった時も、最初は我慢しなさい、と言われたが、今は理解してくれている。

アメリカに留学していた時は、母の下手くそな手紙でわんわん、泣いた。その時、心を打つ文章って、巧拙じゃないんだな、と身に染みて教えられた。noteでもさらり、と書いてあるのに、心の池に波紋を広げてくれる一滴が降る文章がある。私はさらり、と書くのが苦手なので、羨ましい。隣の芝生は青く見える、か?

2023年11月6日。京都生活5年目。対照的なふたりを囲んだバースデーランチとバースデーケーキ。世界で一番大切な人が産み落とされた日。そして秋は母方の祖母が亡くなった季節でもある。この季節は命について、より深く考えさせられる。祖母が亡くなった年齢に、母たちが近づいてゆく。祖母と母と伯母と私と妹と。いのちは巡る。私たちは、いつまで一緒に誕生日を祝えるだろうか。静かな風が葉をゆっくり揺らしながら、街を吹き抜けてゆく。

『誕生日おめでとう、いつもありがとう!』


丸ごとトマトサラダ


バースデーランチ


バースデーケーキ


photo:見出し画像(みんなのフォトギャラリーより、七辻|辻風(一般用)さん)
photo2~4:未来の味蕾
photo5:unsplash
design:未来の味蕾
word:未来の味蕾

#シロクマ文芸部

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