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【イベントレポート】実践者に聞く!ミライの教育の見つけ方 Vol.09 ゲスト みんなの進路委員会代表理事谷村一成さん

※本noteは、2023年3月11日に開催した「実践者に聞く!ミライの教育の見つけ方Vol.09「変」が武器になる!?社会からはみ出すボーダレスキャリア」のイベントレポートです。

はじめに

こんにちは、一般社団法人 ミライの学校 事務局です。
このnoteでは、2023 年3月11日にミライの学校が開催したオンラインイベント「ミライの教育の見つけ方」の第9回の様子をお届けします。

3月は、NPO法人みんなの進路委員会代表理事の谷村一成さんにご登壇いただきました。

谷村さんは、「これが普通。」「あれは変。」学校や職場などでよく使われるこの言葉に対して谷村さんが感じた違和感が、団体設立に繋がっています。自分らしさを発揮することで、周囲から目立ってしまい、変だと言われて排除される。そうやって、個性や価値観・主体性が失われていってしまうことを危機に感じてるそうです。

しかし、普通って一体なんでしょう?変とは誰が決めるのでしょう?谷村さんが見ている社会、そして今の子どもたちに感じていることを根掘り葉掘りお聞きしました。
それでは、ここからイベントの様子をお届けいたします!

(1)ゲストスピーカーのご紹介

ゲスト:谷村一成さん


●プロフィール

谷村一成さん
NPO法人みんなの進路委員会 代表理事
フリーライター
谷村一成行政書士事務所 代表
えひめインターナショナルMeet-up 代表
香川県高校野球マスターズ連盟 会長 ほか

1994年香川県高松市生まれ。
中央大学法学部在学中にNPO法人みんなの進路委員会の前身となる中央大学変人学部設立。卒業後、フォースバレー・コンシェルジュ株式会社で、四国地方の多文化共生に取り組む。2021年より、株式会社ウインドミルの介護職員として認知症当事者の社会参画に取り組む一方で、中高生向け教育・多文化共生・生涯スポーツ・まちづくりなどの分野で活動。兼業で行政書士・ライター。

(出典:実践者に聞く!ミライの教育の見つけ方 Vol.09 ゲスト みんなの進路委員会 代表理事谷村一成さんのご紹介|ミライの学校|note)

モデレーター:高畑拓弥

(一社)ミライの学校 代表理事
(一社)Disport 代表理事
(株)リブル
取締役慶應大学SFC卒。総合商社入社後、インドネシア赴任を経て独立。徳島県最南端の海陽町に移住。(一社)Disportを設立し、県立海部高校の魅力化コーディネーターとして県外生を15倍以上に。未来の水産業の形を創る(株)リブルを設立、牡蠣の種苗生産からスマート養殖の確立に従事。小中学生の越境流動性を高めるため、「デュアルスクール」「サテライトスクール」のモデルを全国へ展開する(一社)ミライの学校を設立、代表理事に就任。

(2)本編1 みんなの進路委員会とは?

イベント冒頭に高畑から、「谷村さんの肩書の多さは、まさにボーダレスキャリアなのかなと思います。どんな仕事をしているかよりも何を目指しているのかを軸に仕事を選び、職業に囚われない働き方を次の世代にも伝えられたらと思います。
との言葉からスタートしました。現在も様々な業界で働いている谷村さん。どれも異なる職種かと思いきや、目指す世界は同じ方角にあるそうです。谷村さんが描く世界とはどんなものなのでしょうか?
今回はみんなの進路委員会での活動をメインにお伺いしました!

●NPO法人みんなの進路委員会とは?

NPO法人みんなの進路委員会は、2016年4月に学生サークル「中央大学変人学部」として設立されました。当初は大学生向けに活動をしていましたが、2021年に中高生向けに事業転換し、現在の名前で法人格を取得した団体です。「変人」をテーマにワークショップやセミナーなどを四国地方の中学・高校中心に展開中で、2022年は18校で実施されたそうです。主な事業は、ボーダレスキャリア事業と変人学部事業の2軸で活動を行っています。

中央大学変人学部の時には、同じ大学の学生同士を集めてイベントを開催していたそうで、その理由を谷村さんは、「東大生の面白い人連れてきても東大生だからと言い訳し、その時間をエンタメとして消費してしまうことが多くありました。同じ大学の学生で面白い学生生活を送っている人の話を聞くと言い逃れできないので、あえて同じ立場の人を集めていました。」と大学時代の活動を振り返っていました。
学生時代から今の活動につながる場をつくっていたのですね。

本編2 変人とは?

続いて、谷村さんの代名詞でもある「変人」について詳しくお伺いしていきました。

●変人を学問にする

自身の活動について、「みんなの進路委員会では「変人」を集めていると思われていますが、「変人」はあくまで現象だと捉えていて、この要素を教育に生かせるのではないかと考えています。」との言葉。
変人は現象であるという言葉が印象的です。変人と教育が結び付くとは思ったことがなかったので、どんどん谷村さんの話に惹き込まれていきました!そもそも変人とはどんなことを指すのか気になってきました。

ここで谷村さんから、「変人」ってどんな印象ですか?という投げかけが。参加者の方々は、「世の中の常識から外れている人」「ネガティブとポジティブな要素両方がありそう」との回答が。イベントではポジティブな回答が多く出ましたが、以前谷村さんが高校生に向けて行ったワークショップではネガティブな印象が多数出たそうです。

WSを行った高校生から実際に出たネガティブな印象

変人という言葉の中身には、良くも悪くも多義性があると言い、一言取っても人それぞれ感じることが全く異なります。

●変人の歴史

ここからは、変人を歴史的な視点からみた話になりました。

そして、半分冗談と思いながら聞いてほしいとの前置きから、谷村さん独自の見方で変人を歴史的に回帰し、魔女狩りやガリレオ裁判を例に、当時世間から変人だと思われていた人々が弾圧され排除された歴史があった一方で、時代を変えているのは変人だったと指摘していました。

このような話をすると、短絡的に「変人いいじゃん」と育成しようとする風潮もあるそうで、最近では変人採用を掲げている会社まであるそうですよ。

時代を変えてきたのは、当時の社会からみたら変人と言われてきた人々。変人とは、新しいことに挑戦し価値観を構築し、広めていくことなのかもしれません。

●変人という現象

はじめに谷村さんが変人は現象であると言いましたがこのことについて、
「変人は生まれ持った性質でもなく、世の中に絶対的な変人は存在しないと思っています。変人を捉える要素として、判断者は誰で、まずは前提となる集団・価値観があり、判断者の主観的な『普通』イメージとその許容範囲から、誰を判断するのかというプロセスがあります。なので、判断する人によって誰でも変人になり得るということ、ただそれだけのことです。イノベーション人材は育成しなくても、社会集団によって変わるので育成するものではないと思っています。」と語っていました。
このことから変人が現象であるということが納得できますよね。変人と判断しているのはそれぞれの主観であり、いつもと違うコミュニティに飛び込むとそこでは誰しもが「変人」になり得るということです。

このことから谷村さんが指摘するのは、「人に価値や優先順位をつけて語ることが増えていること」です。「今の人間の予測力では、誰に価値があり社会を変えていくのかわかりません。なので、危ういこの価値判断をやめませんか?共生していく、多文化共生は個々人のそれぞれ違う価値観をどう相互理解し、納得解を見つけて生きていくかだと思っていて、変人共生社会を目指しています!」
加えて、「みんなが変人になる必要はありません。たまたま今の時代で変かもしれないし、そうじゃないかもしれないだけです。ここで一つポイントは、変人じゃない人は変人を排斥しない人間を育成することが大事だと考えます。そんな人材を育てることが変人教育です。」とのメッセージ。
社会からは変人になることを求められてしまいますが、私達は境界線を引かずに受け入れることから始めたいと思いました。

●進路選択を多様化する「変差値」

続いて、現在の子どもたちを取り巻く大人の状況の話になりました。最近の子どもたちは自分の親、先生にしか知り合う機会がなく、限られた地域社会の中にいることに危機感を持っているそうで、「出会う大人たちの多様性が中高生の進路の多様性につながる」と変人に出会うことの重要性を提唱していました。子ども時代にどんな大人に出会えるかがその後の人生に大きく関わることは納得です。

自分の慣れ親しんだ環境から踏み出すと、許容度と柔軟性が高まるそうで、
中高生が身近でかつ最もはみ出せる手段として、「進路選択」があります。
そのひとつに、評価基準が違う世界に飛び込む「海外進学」が挙げられるといい、谷村さんが関わる都心部の学校に通う高校生たちのなかでは、当たり前の選択肢になりつつあるそうですが、地方の高校生には夢のまた夢。知らないと選べない選択肢が多く、知ることは子どもたちをより大きく、柔軟に心も軽くなると思うので、進路を決める時にいかに多様な選択肢が身近にあるのかが大事だということが分かりますね。

そして、イベント終盤には谷村さんから、「時代が多様性社会と言われているなかで、多様な価値観を持った人と自分のやりたい事を実現していくためには、正解を学ぶのではなく納得解を自ら見つけるスキルと経験が必要である」と仰っていました。

今回のまとめと次回イベント

谷村さんから、変人の定義から子どもの進路選択の話にわたりお聞きしました。選択肢を増やせるかがそれぞれの子どもの可能性を引き出すことに繋がります。子どもたちの未来を切り開くため、「変人」というキーワードを武器に面白くも理にかなった独自の見解でお話する谷村さんの姿がとても心強く感じました。今後の谷村さんの活動も目が離せません!
改めて谷村さん、ご参加いただいた皆さまありがとうございました。

【お知らせ】5/20(土)10:00~ 株式会社あわえ 中野美優さんゲストのオンラインイベント

▼イベント名
5/20(土)10:00-11:00 オンラインイベント
実践者に聞く!ミライの教育の見つけ方Vol.11 徳島のステキ事例にみるデュアルスクールの魅力

▼内容
複業(副業)導入企業の増加に加え、コロナ禍以後リモートワーク導入企業が増加し、大人の「働く」環境は大きく変化しています。親にとって「働く」環境の変化は、「暮らす・育てる」環境の変化とも言えます。
一緒にこれからの「働く・暮らす・育てる」を考えてみませんか?

▼イベント概要
日時:2023年5月20日(土)10:00-11:00
方法:zoom(オンライン)
参加費:無料
定員:100名
申込:http://ptix.at/B6mtPZ

●過去のイベントレポートのご紹介