和奏眠人

はじめまして。〚わかな・みんと〛です。 文字を読むのも紡ぐのも好きな活字中毒者だったこ…

和奏眠人

はじめまして。〚わかな・みんと〛です。 文字を読むのも紡ぐのも好きな活字中毒者だったことを最近思い出しました。 下記3つをテーマに物語を書いています。 ①作品ごとに性別変更 ②全てにテーマ曲あり ③リアルにフェイク少々 〚2021.2.15~〛🐣Lv.3

マガジン

  • エッセイのようなもの

    エッセイ。日常100%のものの置き場所。

  • 短篇

    短編小説をまとめています。読みやすさ1位は【月光散歩】、読みにくさ1位は【雨上がりのGRWM】となっております。(今のところ)

  • 中編小説【3月の徒然】完結🌸

    和泉式部の和歌に触れたことから始まり、和歌に隠された意味、名前の意図から自分を再確認していく高校生の春のお話。 序・破・急・詠・囀(あとがき)

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月光散歩

「お月様が着いてきて怖いんです」 いつもの帰り道で、呼び止められた。 この時間、と言ってもまだ22時を回った位の、夜更けには違いないが、まだ真夜中には程遠い仕事帰りの歩き慣れた路上は、1年で1番寒い2月だからか、今日もほぼ無人だった。 振り返ると、5.6歳だろう見知らぬ少年が袖を掴んでいた。 「一緒に着いてきてもらえませんか?お家、すぐそこなんです」 ご両親は、と尋ねると 「お家で待っています」 とだけ答える。 果たしてこれは新手の美人局なのかもしれない、幼児

    • 皆既月食

      24年振りで、次は12年後。 スーパームーンの皆既月食。 東京では、ほとんど見えなくて。 iPhoneではこれが限界。 帰り道、昼間の熱気が 涼しい風で冷やされて 絶好のお散歩日和。 ライブ配信している国立天文台のYouTubeのコメント欄が、日本中の願い事で埋まっていくのを眺めながら、曇り空の奥にある月を想像。 みんなの願い事が叶いますように。

      • 迷子の流星

        【キーワード】を各々2つずつ出し合って 計4つのお題を元に競作してみる第一弾! 〚キーワード〛 池未裕輝:夜間の学園/飴玉 https://note.com/iyamiikemi 和奏眠人:天体観測/蜘蛛の巣 https://note.com/minto_wakana 〚ルール〛 キーワードは文中にワードとして入れなくても、発想やニュアンスが入ればOK! 「ねぇ、今」 「「見た?」」 夢の中まで夢中だった、あの夜に。 時間も距離も何億光年離れていたって 僕たちは、一瞬で戻

        • 「ただいま!」の自己紹介

          はじめましての方も、いつもありがとうの方も おはよう、こんにちは、こんばんは。 和奏眠人(わかな・みんと)と申します。 noteには、小説(主に短編)を書いています。 リアルな日常に、少しフェイクが混じって、 どこか違う世界にそっと繋がる話が多いです。 今回は自己紹介です。正直、とても長いです。 ▶ 小説書きたいだけなのに、自己紹介は必要? 紅茶飲んだり、眠ったり、 空を眺めたり、眠ったり、 お歌歌ったり、眠ったり、 仕事をしたり、眠ったり、 落書きしたり、眠ったり、

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        月光散歩

        マガジン

        • エッセイのようなもの
          3本
        • 短篇
          9本
        • 中編小説【3月の徒然】完結🌸
          4本

        記事

          〚備忘録〛1ヶ月記念日✨

          note開設から1ヶ月が経過しました。 この1ヶ月、一言で言うと、楽しかったぁ! 濃度高めの毎日で、 本来の自分を取り戻す為に どんどん加速していくみたいな、 本当の意味でちゃんと生きている感覚でした。 最初の1ヶ月なので、スタートダッシュしましたが、子供の頃から持久力の無さと飽き性は筋金入り。ここから先が本番なのかな?と思うと…… ドキドキワクワクしかありません。 とはいえ、これから先。 躓いたり諦めたくなったり辞めたくなった時の為に、保険は大事。 最初の1ヶ月が

          〚備忘録〛1ヶ月記念日✨

          境界/結界

          今もあの裏庭と井戸を夢に見る。 引っ越しと転校を教えられたのは、幼稚園を卒園した後の、春のあたたかな日だった。 大体子どもには、ギリギリになってから知らされるのだ。 ただでさえ来月から小学生になるだけでも不安だというのに、知らない場所で、知らない人のいる、知らない学校に通う気持ちは、きっと大人にはわからない。 ちょっと泣いたけど、なんて言えば伝わるか、それすらわからないから、何も言わない。 慌ただしい両親の邪魔をしない一番の方法は、一人で『楽しく』新しい家の探索をする

          境界/結界

          3月の徒然(4)

          🌸詠 下駄箱前でクラス替えのプリントを貰い自分の名前を確認していると、安藤が後ろから羽交い締めにしてきた。 「ナルミ!よかったよかった、これで記録更新、俺の勝ちな」 ギブギブ!!何勝ちって? 「覚えてるだろ?俺の予想通り今回も同じクラスだから、敗者の鳴海奏多は、今後も勝者安藤春樹のカラオケに付き合うこと」 新学期早々、元気な奴…。 新しいクラスへの緊張感は、安藤のおかげでマシになったが、中谷葉月は別のクラスになっていた。 これでもう会うこともないのか、接点も特にな

          3月の徒然(4)

          3月の徒然(3)

          🌸急翌朝、夜通し降っていた雨はすっかり晴れ上がり、濡れたアスファルトがキラキラと日差しをはね返して寝不足の目に眩しい。 今日は終業式。 最後に宮原は何を話すかな?大好きな和歌の一つを、また聞いてもいないのに教えてくれるかな?何故か前より少し期待しつつ、まだまばらな教室に着いた。 中谷葉月いた。よし、と息を吐いて声を掛ける。 中谷、これ、宮原から渡せって預かってて。 「え、あ…鳴海君。ありがとう。何だろう?大きいね?」 受け渡し完了。 中谷は封筒を開けてそのまま中を確

          3月の徒然(3)

          3月の徒然(2)

          🌸破安藤春樹は、歌う為に生まれてきたんだと思う。歌うことが何より好きで、全て歌うことを中心に考えている。 だから、適当に見えて炭酸も烏龍茶も喉に悪いと聞けば飲まないし、逆にマヌカハニーが喉にいいと聞けば早速注文して毎日舐めている。 「俺、物心ついた最初の記憶が、バスの中で歌ってる記憶でさ。母親に連れられて、じいちゃん入院してたから、そのお見舞いかな?どこか行く為に珍しくバスに乗って嬉しくて、チューリップの歌歌ってるって記憶」 それ、周りから苦情というか、母親が止めたりし

          3月の徒然(2)

          3月の徒然(1)

          🌸序「3月の和名は実は沢山あって、どれも花盛りの優しい名前ばかりなんですよ」 弥生(やよい) 禊月(けいげつ) 花見月(はなみづき) 桜月(さくらづき) 花月(かげつ) 花津月(はなつづき) 早花咲月(さはなさきづき) 黒板にチョークの音がカツカツと鳴って、その度に砕けた欠片が光に当たってキラキラと散っていく。古文の宮原の声は今日も安定で眠気を誘う。 そもそも期末後の消化期間とはいえ、次の学年に上がる前、のんびり無関係な話をしている時点でずれている。 春眠暁を覚えず─

          3月の徒然(1)

          線、その先。

          本編あの時、世界が終わるのを見たんだ。 カラ…カ、カ……カラ、カカ…ガガガガと何かが引っかかる音がして、視界の隅から浸食が始まり、瞬く間に画面を染めていった。 この頃僕は、持て余した美意識と自己顕示欲で自我はひねくれてコントロール不可能。 王道の良さもわかるけど、それじゃつまんない。なんて、何者でも無いくせに上から目線で。 大学の課題制作は、次でそろそろネタ切れだ、と毎回思う。1.2年の頃は無尽蔵に湧き出ていた描きたい欲求も、周囲に天才ばかりいるからか、諦めと挫折と悔

          線、その先。

          動物園

          「じゃあ、好きな動物を描いて1時間したら戻ってきてね」 解散。散らばっていくクラスメートは、数人ずつグループになってお目当ての動物へまっしぐら。わたしは、今日初めて動物園という場所に来た。色んな匂いがするし、わりと刺激臭。鼻の奥がむずむずしてスンスン鳴らしちゃうのが止まらない。 さっき一通り先生に連れられて見て回った時に、わたしもお目当ての動物は決めていた。少し不安だったのは、わたしが惹かれた動物には、クラスメートの誰も興味が無さそうだったこと。 案の定、逆方向へ歩いて

          雨上がりのGRWM

          今日も朝が来た。朝だね、朝だよ、朝か……。 ずっと夜でいいよ、まだ眠いし。 アラームに抗って何度目かの寝返りを打つ。スヌーズは強敵だし、朝は誠実で真面目、必ず正々堂々やって来る。 目が開かないのもいつもの事で手探りでスマホを探してそのまま呼び出す。 Hey,siri. 今日の天気 「ゲンザイ アメガフッテイテ キオン ハ 7℃ デス」 今日も雨だった。雨だね、雨だよ、……雨か。 この街は繁華街に近いから、澱んだ思いがふり積もって灰色に沈殿している。だから、雨が降ると

          雨上がりのGRWM

          春、庭猫

          うるさい、うるさいうるさいうるさい。 春の猫ときたら、夏の蝉に匹敵すると思うのに、蝉より嫌われないのは、猫が圧倒的に可愛いことを差し引いてもちょっと優遇され過ぎていると思う。蝉だって猫と同じく求愛に必死なだけなのに。暑さが悪いのか。見た目か。どっちもだな。 今日も今日とて、アパート1階の我が家の狭い庭には、うなうな、なごなご言いながら猫が集う。 うるさい、うるさいうるさいうるさい。 可愛いが、うるさい。猫が女性に例えられるのも凄いよくわかる。かわいい。許す。だがうるさ

          春、庭猫

          糸、冬。

          誕生日の夜帰宅すると、玄関前にプレゼントが置いてある。 その年別れたのが誕生日前だったから、その1度きりだと、その時は思っていた。 あれから4年が経ち、今年はどうだろうな、流石にもうないだろうと思いながら、あった時の変な高揚感と武者震いを反芻して苦笑い。 今年は両手で抱えるのがやっとな、かなり大きめの紙袋が置いてある。中には綺麗に包装された箱のようなもの。中身は想像もつかない。 ひとつ、息をついて。 寒い季節だからと最初に貰ったマフラーなんてもうとっくに捨てたのに、そ

          糸、冬。

          13月

          叶わない約束なら、最初からしない方がいい。 1年の終わりがあんなに慌ただしいのは、1年分のやり残したことを精算する為なんじゃないかと思う。少なくとも、そういう気分。 「手紙書くから」「会いに行くよ」 「ずっと友達な」「向こうでも頑張れよ」 「貸したマンガまだお前のとこだろ?連絡しろよ」 「ゲームで会おうぜ」 「こっち戻ってきたら連絡して」 「LINE交換しとこ」「覚えていてね」 「忘れるなよ」 転校する度に、あるいは卒業する度に交わされた、たわいのない言葉。せいぜいもっ