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13月

叶わない約束なら、最初からしない方がいい。

1年の終わりがあんなに慌ただしいのは、1年分のやり残したことを精算する為なんじゃないかと思う。少なくとも、そういう気分。


「手紙書くから」「会いに行くよ」
「ずっと友達な」「向こうでも頑張れよ」
「貸したマンガまだお前のとこだろ?連絡しろよ」
「ゲームで会おうぜ」
「こっち戻ってきたら連絡して」
「LINE交換しとこ」「覚えていてね」
「忘れるなよ」

転校する度に、あるいは卒業する度に交わされた、たわいのない言葉。せいぜいもって半年ってとこ。賞味期限付きの約束。
でもパッケージにそんな丁寧な記載はないから、知らない内に期限は切れて誰とも連絡なんか取らなくなる。

「一生」とか「永遠」とか「絶対」とか。
話の枕詞に使うやつは、大抵大嘘つきか世の理を知らないやつなんだと思っている。

というか、そんな風に思わないと、子供の頃に転校生だったやつは生き残れない。強制的人生リセットボタンを何度も押されてるようなもんだから。


だからだろうか。
大人になって簡単に約束が言えなくなった。

恋人との将来なんて壮大な野望から、毎月ちゃんと貯金するなんていう自分の中の小さなルールまで、約束という約束が来る宛てのない13月のように、蜃気楼のその先にある。

もう既に今年が始まって2ヶ月目の半ばが過ぎた。年始の目標、どれだけの人がちゃんとクリアに向けて進めているんだろうか。


叶わない約束なら、最初からしない方がいい。

だから僕は、約束するよ。
君と叶えたい夢は、夢で終わらせない。

決意と覚悟を持って。

日常の延長に少しフェイクが混じる、そんな話を書いていきます。作品で返せるように励みます。