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夕暮れの商店街

平日の夕暮れどきーー風景が、ぼんやりとした薄闇に沈むころ。

商店街から人影が消えて、ふと、町を独り占めしたような、お得な気分になる。

三崎港の夕暮れは、不思議とさびしくない。

明日にはまた、からっと晴れた活気に包まれるとわかっているから、「今日はここまで」と、ゲームをセーブするようなわくわく感が残る。

泊まった日は、「また明日」。

日帰りで来たときは、「また今度」。

なにか目的があるわけではないけれど、この港町はどうしてか、いつまでも歩いていたくなる。

今度は高台までのぼって、町を見下ろしてみようか。

昭和レトロな看板建築を写真に撮ってまわるのもいいし、舟に乗って、むかいの島に上陸してもいい。

目的地がないからこそ、いつでも小学生の夏休みのような、無邪気でノスタルジックな一日を再現できるのかもしれない。

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(またね)

心のなかで、大好きな言葉を、町にむかって呟く。

町との相性や縁というものは、きっとあると思う。

ただ、三崎の港町は、懐が深いーーとも、思っている。




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