2020年読んで読んでよかった本5選
本を読むのはためになるから、将来役立つからばかりではない。自身の思考を豊かにし、よりこの世界を楽しむためでもある。
自分が今まで知らなかったことを知るというのはとても面白い。物事がよくわかるようになり、他の誰かと話を合わせられるようにもなる。
読書はそうした営みの一つなのだ。
この世はわからないことで溢れている。自分の世界の一歩先を出れば、もうそこは未知の世界が広がっている。
まだ大学生の僕は、大人たちが暮らしている社会についてよく知らない。
自分が専攻している学問以外の知識はほとんど有していない。理系分野の学問に関しては全くの未知と言っていい。
自分の回りにいる人たちが何を想像し、何を考えているのかもわからない。どんなに親しい間柄や家族でも、相手の気持ちを100%理解することはできない。
だけど、相手のことが理解できなくても、相手が抱える事情については理解しようとできるはずだ。「知る」という行為はまさにこのことをではないだろうか。
そして、読書とはこの「知る」ということの一つの手段になり得ると信じている。
1.『子どもの難問』
「どうして僕たちは生きているのだろう?」「どうして毎日学校に通うのだろう」「どうして人を好きになるのだろう?」「死ぬっていったい何だろう?」。
僕らは素朴な疑問をいっぱい持っている。だけど、それに面と向かって考える機会は少ない。僕自身こんなことを思うことがあっても、自分なりの答えは見つけられないままでいる。
この本は世の哲学者たちがこうした疑問に真剣に向き合い、ある一つの答を提示てくれている。読んでみると、「そうなのかもしれない」「そういう考えもあるのか」ときっと思えるだろう。
2.『ものの見方が変わる座右の寓話』
これを読んでくれている人はどんな寓話を知っているだろうか。「北風と太陽」とかは結構有名だよね。
そして、寓話には何か私たちに大事なことを教えてくれる。寓話が現代も語り継がれるのには、そこには真理があり、何か重要なことを僕たちに示唆してくれるからなのではないかな。
そんな寓話がたくさん収録されており、著者がそこから読み取れる解釈をわかりやすく説明している。
3.『ペルソナ 脳に潜む闇』
この著者の言葉は変に誰かを励ますわけでもなく、かといって変に共感を呼び掛けるものでもない。だけど、どこか自分と重なるところがあって、この人の価値観や思考をもっと知りたいと思ってしまう。
刺激的な自己啓発書やエッセイが好きでない人にとっては、そっと寄り添ってくれるものになっていると思う。
4.『処女のまま死ぬ奴なんていない、みんな世の中にやられちまうからな』
学生の時って(今も学生だけど)どこか喜びを感じながらも、どうも煮え切らない気持ちが絡まっているよね。
誰かと一緒にいるのにどこか寂しいと感じたり、相手の小さな反応が気になってしまったり、楽しい気持ちとブルーな気持ちがどこかセットになっている。
大きな流れに逆らう主人公たちの姿に、きっと若き自分を思い出す。
5.『鬼滅の刃』
まさかこんなにヒットするとは思ってなかった。世の中にはほかにも面白い作品が山ほどあるけど、『鬼滅の刃』は確かに人の心を惹き付ける。
登場人物一人一人の想いに共感し、ともに自分も戦っていることを実感する。
生きているとどうしてもくじけそうになってしまうことがある。それがたとえ他の人にとっては些末なことでも、自分にとってはどうしようもないような、雪崩に呑み込まれていく感覚に陥る。
鬼滅のキャラたちもまた、それぞれが抱える過去と向き合っている。そして辛い状況に置かれていても、他人への優しさを忘れない。そんな温かい人たちなのだ。
現代はどうも他罰的な人が多いように思う。悲しいニュースは止むことがない。すべてのことは自己責任として片づけられることも少なくない。
そんな世の中で、鬼滅の刃に出てくる人物たちに少しでも共感し、自分もそうありたいと思えたなら、世の中はもっと変わるのかな。
自分も人に優しくありたいと思うよ。
終わりに
僕たちは言葉や物語を通して人の想いを知る。
そして僕らは誰かに自分の想いを知ってもらいたいと思っている。
だから、世の中には本や記事で溢れかえっている。音楽に詩を籠めるのもきっとそうだ。僕がnoteにこうして投稿するのもきっとそうなんだ。
だけど、伝えたいことが上手く伝えられなかったり、伝わらなかったりすることもある。ボタンが掛け違うように僕らの意見は合わないことがある。
そうして関係が途切れることもあれば、また結ばれることもある。僕らはそんな営みを通して、誰かを思いやったり、思いやれなかったりしている。
正解の意味は一人一人違う。世の中の名声を手に入れるという人もいれば、そこそこの暮らしができることという人もいる。だけど、僕らはそれだけじゃ物足りない。
結局、誰かと一緒に居なくてはならないのだと思う。煩わしいと思うこともあれど、一人では寂しくて仕方がない。
一人でも満喫できるけど、この感情は丸め込めない。
誰かといると傷つくこともあるけど、それでも他の誰かを求めてしまう。
言葉や物語はそんな哀れな僕たちを結びつけてくれる。時に痛みを伴うことがあっても。
めげずに今年も頑張ります。
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