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看護師にとって「ラク」な仕事とは何なのか、施設やコールセンターの仕事を通して気づいたこと。

『0円ハウス』などで有名な坂口恭平さんが「家を建てない建築家」と呼ばれたりする。

坂口さんと比較するのはおこがましいが、それでいうと、私は「看護をしない看護師」ということになるだろうか。
いや、もっと言うと「看護をしたくない」看護師。
まあ、その結果、自分の中でやりたくない仕事を削っていき、そこに偶然の要素も加わり、今のような「フリーランス看護師」という働き方になっている。

病院嫌いという、看護師として致命的な私

私は看護師だけれど、看護師の仕事がキライだ。
何がキライかというと、病院がキライ、治療がキライ、薬がキライ、
手術とか病気とかがキライ。
だから、社会人になって、子育てしながら看護学校に通い、晴れて看護師になったわけだが、就職して最初に総合病院で働いていたときは、本当につらかった。
普通は看護師は最低3年は病棟勤務するのがセオリーだけれど、私は2年で辞めた。

治療はキライ、人の世話は好き

病院で働くと、医師の補助がおもな業務となる。
患者さんが入院してきて、治療したり、手術したり。
だから看護師は薬を投入するため点滴をしたり、手術だったら手術室で手術の補助をしたり、手術前や手術後の観察をしたり。
治療が終わって回復して退院していく人たちもいたが、回復しない人たちもたくさんみてきた。
退院する人たちを見送っても、私はちっともやりがいを感じなかった。
自分が何か患者さんのために「いいこと」「役にたつこと」をしている実感がなかった。
病気になった原因は分からず、症状を抑えたり、病気の「原因」と思われるものを切り取ったりする手術は、私には有効とは思えなかった。

偶然働いたデイサービスの仕事が楽しかった

産後の復職で、たまたま近所にあたらしくできたデイサービスでパートをすることになった。看護師の仕事は総合病院の病棟仕事以来だったので、その仕事内容のギャップと、仕事が「ラク」で驚いた。
私にとって「ラク」というのは、具合の悪い人を相手にしなくていいこと。
病気の治療ではなく、生活の延長線上にあるお世話だったり、リハビリだったりが仕事であること。
相手にする人たちは、病院とは比較にならないほど元気な高齢者だし、話をしたり、一緒にレクをしたり、体操や運動をしたり、お風呂介助をしたり。

お風呂介助など体力のいる仕事も私にとっては苦痛ではなかった。
人のお世話をすること自体はたのしかった。

デイサービスというのは、病院のように、病気を治療するところではなく、自宅で生活する人を今よりも元気にしたり、機能を維持したり、お風呂に入れて清潔保持したりすることが仕事であるので、元気になったり、きれいになったりする過程を助けることが仕事である。
それは、私とっては、とても精神衛生上「ラク」な仕事であり、だからこそなんだかんだと、もう5年以上も同じ職場で働き続けられるのだろうと思う。

コロナ禍のコールセンターに看護師が押し寄せた理由

コロナ禍の時は、デイサービスの仕事をつづけながら、空いた日にはコロナの自宅療養者向けのコールセンターの仕事もした。
これは単純に時給が良かったからやっていたのだけれど、全盛期からずいぶん時給が下がって、デイサービスなど他の施設の看護師業務と時給が変わらなくなってからも、多くの看護師がコールセンターで働き続けていた。
シフト希望を出しても、希望の日数はすべて入れないことが多かったので、コールセンターの人気ぶりがうかがえる。
他の仕事と何が違うのか?

まず、服装、髪型が自由。それでか、男女問わず金髪やネイルの人が多かった。そんなスタイルで仕事ができる看護師業務は、患者さんと直接向き合わないコールセンターくらいしかないと思うので、ファッションやヘアスタイルにこだわりのある人たちはこの仕事がいいのだろう。

あとは、なんといても、直接患者さんい触れずにすむこと。具合の悪い人から電話がかかってくるわけだが、直接自分が介入するわけではないので、医療ミスなどのリスクを背負うことがない。汚れ仕事もしないですむ。

私はコールセンターの仕事に看護師が押し寄せているのをみて、病院の病棟看護師のような買看護業務をしたくない人は、私だけではないことを知った。

物事はラクな方に流れていく

何がいいたかったかというと、人も物事も、基本的に「ラク、楽、楽しい」という方向に流れていく、ということ。
いろいろな働き方を、昔より選べるようになってきている現代において、看護師の仕事選びも、よりラクな職場へと流れていってるなと感じる。

これは自然な流れだと思うし、流れにさからって進むのはなかなかに難しい。私自身の働き方も、固定ではなく、より「ラク、楽、楽しい」を求めて動いていくだろう。

そうやって働きつつも、今後も、しばらくは、フリーランス看護師というフィルターを通して、与野の中の動向をウォッチしていこうと思う。

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