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シマエナガと皿洗い。

私には4人の子どもがいて、40歳で産んだ末っ子は初めての女の子。
現在、小学2年生。クラスでは一番背が低い。
お姉さんのように大きな同級生からは「赤ちゃんみたい」と愛でられ、
喜んでいる。
大学生、二人の高校生の大きなお兄さん3人に囲まれている娘。
我が家ではいつも、小鳥さんとか、ひな鳥とか呼ばれている。
そんな小さな娘を、娘が大好きな「シマエナガ」にたとえて、娘との小さな日常生活を綴っています。

4月9日。
夕食後、台所で後片付けをしていたら、
「なんかお手伝いするよー」とシマエナガがやってきた。
シマエナガの希望で夜はトムヤムラーメンを食べ、
その時に使った黄色いお椀が一つだけシンクに残っていたので、
「じゃあ洗い物お願い」と言ったら、
「はーい」と腕まくりして洗い始めた。

初めはお椀一つだけお願いするつもりが、
いろいろ洗い物が後から後から出てきて、
シマエナガに洗い物を任せ、その合間に私はお皿を拭いて食器棚に戻していった。
「あー、やるからいいよー」とシマエナガが言うが、
一緒にやった方が早いでしょ、と私が言い、
しぶしぶ手伝わせてくれた。

「じゃあ、お手伝いしたからお小遣いちょうだい」
とシマエナガ。
学校のお友達が、家でお風呂掃除や赤ちゃんのお世話をしたら、
お小遣いをもらっている、と聞いて自分もそうしたい、
と前から言われていたのだ。

「いくらでも10円でも1円でもいいよー」とシマエナガ。
ふと、私が、
「ママは毎日お皿洗いしてるけど、お小遣いなんてもらったことないよー」
というと、
「えー!?なんでなんで?」
とびっくりするシマエナガ。
「なんでって、うーん。」
自分で話をしておきながら、この場にふさわしい前向きな答えは出てこない。
私がだまっていると、
「じゃあ、Mちゃん(シマエナガのこと)がお小遣いあげるよ!!」
と言い出した。
「えーほんと?!」
「うん、でも9円でいい?」
今は9円しかないらしい。
でも、それがシマエナガの全財産を私にあげようとしていることを思うとじんときた。
「じゃあ、ママはMちゃんに10円あげるね」
「うん!」
とうれしそうなシマエナガ。

***
洗い物が終わると、すぐにシマエナガは、
すみっこぐらしのふわふわのぬいぐるみのようなお財布から、
9円を出してきた。
私もポーチから10円を出した。
「はい9円。これしかなくてごめんね」とシマエナガ。
「はい、10円」私もシマエナガに10円を渡した。
お互いに
「ありがとう」と言って。
そして、本当にうれしくて、
シマエナガをぎゅっと抱きしめた。

人生で初めて、洗い物をしてお小遣いをもらった。
ありきたりな言葉だけど、
金額じゃないんだよ」。
私にとっては、とてつもなく価値のある、9円だ。


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