見出し画像

手のひらの恋#青ブラ文学部

それは、儚く脆いものだった。
まるで砂のように、いくら握りしめようとしても、指の隙間から零れ落ちていった。

春の生ぬるい雨が、肌にべっとりとはりつく。

雨はますます激しさを増している。
その雨を見つめながら、ただ空を見上げた。

ふと、自分の手のひらを見つめる。そこには、もう何もない。
ただの空虚な空間。

雨は、まだ止む気配がない。


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?