みんぼうネットワーク

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車いすで巡る筑波山地域ジオパークと自然災害 筑波山4-4 筑波山麓の地質・花崗岩、土石流堆積物について

筑波山梅林 前回は、筑波山頂(女体山頂)付近の斑れい岩を観察しましたので、今回は、筑波山麓の筑波山梅林で花崗岩や土石流堆積物の観察をしたいと思います。  筑波山梅林は、筑波山麓に位置する市営の梅林です。1966年(昭和41年)筑波山観光開発の一環として、筑波山中腹の荒地を開墾し、梅林が造成されました。斜面に広がる4.5ヘクタールの園内には、約1000本の白梅・紅梅が植えられており、毎年2月中旬から3月下旬にかけて筑波山梅まつりが開催されています。 筑波山梅林のバリアフリー

    • 車いすで巡る筑波山地域ジオパークと自然災害 筑波山3-4 筑波山頂(女体山頂)付近の地質・斑れい岩について

      筑波山の地質と火成岩の分類 さて、話は筑波山に戻ります。まず、筑波山の地質図を見てみましょう。  筑波山頂付近には、斑れい岩が分布しています。そして、筑波山麓には花崗岩や土石流堆積物が分布しています。さて、斑れい岩や花崗岩とは、どのような岩石なのでしょうか。  斑れい岩や花崗岩は、マグマが冷えて固まった岩石である火成岩の仲間です。その中でも、斑れい岩や花崗岩は、マグマが地下深くでゆっくりと冷えて固まった岩石である深成岩の一種です。一方、マグマが地表付近で急速に冷えて固まっ

      • 車いすで巡る筑波山地域ジオパークと自然災害 筑波山2-4 身障者優先展望台からの眺め・地盤と地震災害

        身障者優先展望台からの眺め 身障者優先展望台の標高は、およそ840m。関東平野を一望できます。天気が良く、霞がかかっていなければ、東京スカイツリーや新宿の超高層ビル群、遠くは富士山も見えます。吹きさらしなので、特に冬場は、服装に注意してください。 関東平野の形成過程 眼下に広がる関東平野の面積は四国の面積に匹敵します。この広い関東平野は、どのようにしてできたのでしょうか。  気温が高い「間氷期」には、地球上の氷が融けて、海水面が上昇します。一方、気温が低い「氷期」には、地球

        • 車いすで巡る筑波山地域ジオパークと自然災害 筑波山1-4 筑波山に登ってみた

           皆様、お久しぶりです。今回から、私の担当では「車いすで巡る筑波山地域ジオパークと自然災害」と題して、車いすの乗って、筑波山周辺の地質・地形や自然災害そしてバリアフリー情報をレポートしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。少しだけ自己紹介しますと、私は、脊髄損傷のため、下半身に麻痺があり、手動式車いすを使っています。  第1回目は、筑波山(女体山)について、4回に分けてご報告いたします。 筑波山の概要 筑波山は、関東地方東部、茨城県つくば市北端にある標高877mの

        車いすで巡る筑波山地域ジオパークと自然災害 筑波山4-4 筑波山麓の地質・花崗岩、土石流堆積物について

          地盤被害マップは「これから」に期待?【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part5】

          前回は地盤被害マップの現状についてお伝えしました。 なぜこのような状態か?を考えた場合、「理論・精度が確立されていない」という理由が一番ではないかと思います。 1.今後に期待!私自身も「地震地すべりのシミュレーション」の仕事(公共事業)に携わった経験がありますが、正確な答えを出すのは非常に難しいと感じています。 まず、地盤の性状のムラが多いこと。 シミュレーション結果を正確にするためには、結局は、データの正確性を上げねばなりません。ということは、密な調査が必要です。 し

          地盤被害マップは「これから」に期待?【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part5】

          「地盤被害マップ」の実態を調べよう【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part4】

          1.地盤被害マップはどんなもの?part1でお話ししたように、「わがまちハザードマップ」で示されている「地震防災・危険度マップ情報」の中にある地盤被害マップ(下図の上から2番目)を公開している自治体は、残念ながら1つもありませんでした。 2.地盤被害マップ(?)公開自治体は10あるけども・・・わがまちハザードマップの地図検索のページで左上の災害種別から選択するをクリックして地盤被害マップを選択すると、以下のように一部地域が青く表示されます。 これを見るだけでも「これしか

          「地盤被害マップ」の実態を調べよう【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part4】

          震度被害マップを見てみよう【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part3】

          前回記事では「震度被害マップ」がどのようにしてつくられているのか?について紹介しました。 今回は実際に事例となるマップを見てみましょう。 実際に見てみましょうでは仙台市の「揺れやすさマップ(震度被害マップ)」を見てみましょう。 まず下図の凡例をご確認ください。 そして仙台市で想定している3つの地震のうちの以下2つのマップを見てみましょう。 どちらもマグニチュードは7.5ですが、震度分布は全く違います。 ・宮城県沖地震(単独型):想定した地震の規模:マグニチュード7

          震度被害マップを見てみよう【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part3】

          高校教科書で見る日本の地震災害 [自然災害を学ぶための教科書 4/4]

          日本列島で起こる地震の特徴については、『地理総合』、『地学基礎』に簡潔にまとめられています。 勉強のとっかかりとしては、最適だと思います。 ここでは、それに基づいて最低限の知識を確認してみましょう。 震源の分布まずは、震源の分布を見ましょう。 震源はまったくランダムに分布しているわけではありません。 火山分布同様に、東日本において分布に明瞭な特徴が認められます。 東日本の震源分布の特徴を東北地方の東西断面で見てみましょう。 大きく見ると、震源は2つの場所に集中的に分布して

          高校教科書で見る日本の地震災害 [自然災害を学ぶための教科書 4/4]

          高校地学教科書でみる日本の火山災害 [自然災害を学ぶための教科書3/4]

          プレートテクトニクスの立場から見ると、日本列島はプレートの沈み込み帯に位置しています。 前回も述べたように、これが日本列島に火山災害や地震災害が多発する理由です。 日本列島の火山分布まず、日本列島の火山の分布の特徴を見てみましょう。 過去1万年間に活動した証拠のある火山を生きている火山『活火山』といい、全国で111認定されています。 活火山の分布図を見ると、日本列島のどこにも活火山があるわけではありません。 北海道から伊豆-小笠原にわたる東日本において、分布は特徴的です。

          高校地学教科書でみる日本の火山災害 [自然災害を学ぶための教科書3/4]

          震度被害マップはどのようにつくられる?【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part2】

          震度被害マップとは?震度被害マップとは「想定される地震による震度分布」を示したものです。 数ある「地震ハザードマップ」のうち、基本となるものが「震度被害マップ」だと言えると思います。 では震度被害マップがどのようなものか?順にお話ししていきます。 (1)どのようにして作られているのか? 大雑把に説明しますと「パソコン上の数値シミュレーション」の結果をもとに作られています。かなり難しいので正直、私も正確には理解できていませんので、あくまでイメージとして説明すると、以下のよう

          震度被害マップはどのようにつくられる?【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part2】

          地震ハザードマップは3種類+α【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part1】

          ※トップ画像背景は「J-ShisMap」より引用。 地震ハザードマップには多くの種類がある「地震ハザードマップ」と一口に言っても種類は様々です。 まず「ハザードマップポータルサイト」で地震ハザードマップの種類を確認してみましょう。 「ハザードマップポータルサイト」で検索すると上のような画面が出てきます。 今回は右側のわがまちハザードマップの地図で選ぶをクリックします。 そうすると下図のように地図が出てきますので、今回は「宮城県→仙台市」とクリック。 そうすると下図の

          地震ハザードマップは3種類+α【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part1】

          高校教科書で見る世界の自然災害 【自然災害を学ぶための教科書 2/4】

          私達が住んでいる日本列島で起こる自然災害を考える上で、グルーバルな観点は大切です。 日本列島が地球上のどんな位置にあり、そこで起こる自然災害が世界で起こる自然災害に比較することで、日本列島でおこる自然災害の特徴が見えてきます。 今回は、前回紹介した「地理総合」の教科書を元に世界の自然災害について見てみましょう。 6種類の「地理総合」の教科書の内、4種類でグローバルな自然災害を意識的に扱っています。 世界で発生する自然災害には様々なものがありますが、日本でも発生する自然災害

          高校教科書で見る世界の自然災害 【自然災害を学ぶための教科書 2/4】

          障がい者に対応したハザードマップ(2)

           今回は前回に引き続き、障がい者に対応したハザードマップについて、お話ししたいと思います。 手話によるハザードマップの事例 聴覚に障がいがある方の中には、文章が苦手な方がいます。意思疎通の主な手段として、言葉や文章のように文字や単語を一言一句表現するわけではない手話を使うことが多いからです。 北海道石狩市  石狩市地区防災マップ(ハザードマップ)には、QRコードが示されており、それを読み込むと、手話による解説動画(YouTube)を閲覧することができます。その内容は、洪

          障がい者に対応したハザードマップ(2)

          高校教科書はとっておきの教材 【自然災害を学ぶための教科書 1/4】

          日本列島は、プレートの沈み込み帯に位置する島弧です。 その為、地震や火山活動活動に伴う自然災害が頻発しています。 急峻な地形に起因する地盤災害も日本各地で起こっています。 地理的な位置から日本列島は年間を通じて降水量が多いとともに、四季による変化も激しくなっています。 台風による災害もほとんど毎年起こっています。 日本に住む限り、自然災害について学ぶことは必須です。 自然災害を学ぶための書籍自然災害を取り扱った書籍は大量に発行されていて、市民はいったいどこから読み始めたら良

          高校教科書はとっておきの教材 【自然災害を学ぶための教科書 1/4】

          単独世帯高齢者は自然災害にどう対処したらよいか?(その2)シニアルームシェア  【自然災害と高齢者4/4】

          空き家とシェアハウス最近、散歩をしていて空き家が多いことに気づきます。 そこで、茨城県の空き家の状況について調べてみました。 それが、下の図です。 平成30年までのデータで少し古いのですが、現在もその状況は変わっていないと思います。 平成30年をみると茨城県の空き家率は14.8%、全国の空き家率は13.6%です。 この空き家を高齢者のシェアハウスとして活用すれば、一人暮らし高齢者にとって自然災害への対応もできる可能性が増えるのではないかと思いました。 一人暮らし高齢者が自然

          単独世帯高齢者は自然災害にどう対処したらよいか?(その2)シニアルームシェア  【自然災害と高齢者4/4】

          単独世帯高齢者は自然災害にどう対処したらよいか? (その1)スマートシニアをめざす 【自然災害と高齢者 3/4】

          前回の記事で、1919年における一人暮らしの高齢者は3割近くにおよび、今後一層増加することが予想されることを書きました。 一人暮らしの高齢者は、自然災害での災害弱者になりやすいので、自然災害からどうやって身を守ったら良いか考えてみます。 まずは健康に!まずは、健康に気をつけて健全な体を保っておくことが第一です。 肉体のみならず精神的にも。 不幸にして健康を害してしまった時には、養護老人ホームなどの利用を考えなければならないかもしれませんが、これについては社会全体としての大き

          単独世帯高齢者は自然災害にどう対処したらよいか? (その1)スマートシニアをめざす 【自然災害と高齢者 3/4】