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震度被害マップはどのようにつくられる?【ハザードマップを理解するコツ:地震災害編part2】

震度被害マップとは?

震度被害マップとは「想定される地震による震度分布」を示したものです。
数ある「地震ハザードマップ」のうち、基本となるものが「震度被害マップ」だと言えると思います。
では震度被害マップがどのようなものか?順にお話ししていきます。

(1)どのようにして作られているのか?

大雑把に説明しますと「パソコン上の数値シミュレーション」の結果をもとに作られています。かなり難しいので正直、私も正確には理解できていませんので、あくまでイメージとして説明すると、以下のようなものになります。

①地域の立体図をつくる
測量データをもとに、対象地域の立体図を作ります。
 
②メッシュを切る
仙台市の場合は250m間隔でメッシュを切っています。
つまり一片が250mのサイコロを積み重ねて、仙台市の立体的なかたちを作っていると考えれば分かりやすいのではないでしょうか。
 
③各メッシュに各種データを割り振る
既往の地質調査データを使い、サイコロ1つ1つに地盤データを入力します。
地質の種類によって地震波の伝わる速度や変形具合が違うので、それぞれの地質と、その地質の特徴をセットで記録します。
仙台市の場合は162種類の地質に分けているそうです。つまり162種類のサイコロを実際の分布に合わせて積み重ねているとイメージしてみてください。
そのように作られたモデルが下図です。
 
④立体モデルに地震を発生させ、各メッシュの震度を計算する
震源から地震波が伝わり、各メッシュがどの程度の震度になるか計算します。
その結果として、震源からの距離や地盤の種類に応じて各メッシュの震度がわかります。

地震基盤を立体的に表した模式図:平成14年度仙台市地震被害想定調査報告書より


(2)シミュレーション結果はどの程度正確なのか?

そう、気になるのは「正確性」ですよね。
これについては、「当たらずとも遠からず」または「大局的な傾向はわかるが詳細はわからない」と考えて良いと思います。
実際に「平成14年度 仙台市地震被害想定調査報告書」では「震度階級で一つ上や下になることがある」という記載があります。
つまり「隣の家までは震度6弱だけど、うちはギリギリ震度5強だ」とはならないということです。あくまで「地域の大まかな傾向を掴む」と考えた方が良さそうです。
その理由は以下の通りです。

①メッシュ単位で計算されているため、それ以下の規模の細かい結果は出ない。
 
②地質等のデータが詳細ではない
特に建築物に影響を与えるような軟弱な地質や地下水の流れは数m〜数10m単位で変化する場合がありますが、その密度のデータはありません。そのため例えメッシュ間隔が細かくても詳細な結果が得られない場合があります。
 
③深部地盤のデータはさらに少ない
地下の地質を詳細に知るにはボーリング調査が最も確実です。しかし技術的にも費用対効果の面でも数100mを超えるようなボーリング調査はそうそうできません。
そのため地下深くについては、重力探査や地震波探査という広範囲の傾向を掴む調査方法に頼るしかない状況です。

次回は実際に地震ハザードマップがどんなものか?見てみましょう。

お読みいただき、ありがとうございました。

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