【読書記録】ボクたちはみんな大人になれなかった/燃え殻
Netflixで映画をまず観ようかと思ったけれど、原作が先に手元に届いた。
結果、それでよかったと思っている。
この原作の空気感は映像で見るとまた別物かもしれない。
退廃的な雰囲気。
東京の華やかな部分と、それに追随する虚しさ、空虚感、華やかであれば華やかであるほど虚しくなってくる。映像で見ると、より辛いような気もする。
私は東京には一年しかいなくて、表面の「ひょ」の字も見ていない。
街から離れて住宅地で生活していると、たまに「街」に出るとその生活感のなさ、
雑多な空気、いや清潔感のなさにたじろいでしまう。
どちらが「現実的」なのかわからないけれど。
東京の、しかもテレビ界隈でずっと生きていくのって結構
「しんどい」のだろうか。
テレビ局とは違う。
ただがむしゃらに生きていく世界。
Facebookが始まって、元カレをついつい検索してしまう。
共通の友人がいると、「知り合いかも?」と出てくる。
主人公が「知り合いかも?」と出てきた昔の恋人の画面に見入っているうちに、
「友達申請」のボタンを押してしまうところから物語はスタートする。
過去と現在が交錯し始める。
ついつい検索しては、「友達申請」は絶対押さないように気をつけている。
恐怖でしかない。
承諾されなかったら?
怖くて仕方ない。
拒絶は一度でいい。
でも、あの時別れてしまった恋人に
「どうして」と何度も聞きたくなる時がある。
「どうして自分達は終わってしまったのか」
こうして、一番好きだった人を思い出す物語を読んでいると、
その答えを見つけられるような気がする。
あの時見つけられなかった答えが書かれているような気がする。
代わりに主人公が見つけてくれるような気がする。
あの時、全然わからなかった彼の答えを。
でも、いつもその答えは見つからない。
きっと、いつまでも見つかりはしない。
それでも、やっぱり聞きたくなる。
Facebookがなかった時代にはきっとずっと想像の中でしか
会えなかった「今」の元恋人の姿を
現代は、現実に見つけてしまう。
どちらがいいのか、悪いのか。
その答えも、きっと永遠に見つかりそうにない。