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【読書記録】ボクたちはみんな大人になれなかった/燃え殻

Netflixで映画をまず観ようかと思ったけれど、原作が先に手元に届いた。
結果、それでよかったと思っている。
この原作の空気感は映像で見るとまた別物かもしれない。

退廃的な雰囲気。
東京の華やかな部分と、それに追随する虚しさ、空虚感、華やかであれば華やかであるほど虚しくなってくる。映像で見ると、より辛いような気もする。
私は東京には一年しかいなくて、表面の「ひょ」の字も見ていない。
街から離れて住宅地で生活していると、たまに「街」に出るとその生活感のなさ、
雑多な空気、いや清潔感のなさにたじろいでしまう。
どちらが「現実的」なのかわからないけれど。
東京の、しかもテレビ界隈でずっと生きていくのって結構
「しんどい」のだろうか。
テレビ局とは違う。
ただがむしゃらに生きていく世界。

マーク・ザッカーバーグがボクたちに提示したのは「あの人は今」だ。

本書13ページより

Facebookが始まって、元カレをついつい検索してしまう。
共通の友人がいると、「知り合いかも?」と出てくる。
主人公が「知り合いかも?」と出てきた昔の恋人の画面に見入っているうちに、
「友達申請」のボタンを押してしまうところから物語はスタートする。
過去と現在が交錯し始める。
ついつい検索しては、「友達申請」は絶対押さないように気をつけている。
恐怖でしかない。
承諾されなかったら?
怖くて仕方ない。
拒絶は一度でいい。

でも、あの時別れてしまった恋人に
「どうして」と何度も聞きたくなる時がある。
「どうして自分達は終わってしまったのか」
こうして、一番好きだった人を思い出す物語を読んでいると、
その答えを見つけられるような気がする。
あの時見つけられなかった答えが書かれているような気がする。
代わりに主人公が見つけてくれるような気がする。
あの時、全然わからなかった彼の答えを。

でも、いつもその答えは見つからない。
きっと、いつまでも見つかりはしない。
それでも、やっぱり聞きたくなる。

Facebookがなかった時代にはきっとずっと想像の中でしか
会えなかった「今」の元恋人の姿を
現代は、現実に見つけてしまう。
どちらがいいのか、悪いのか。

その答えも、きっと永遠に見つかりそうにない。

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