ポルトガルをもっと知ろう | ミュージック・ジャーニーvol.5
皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
本日は、西ヨーロッパのイベリア半島に位置し、7つの海を制した大航海時代の先駆者として知られるポルトガル共和国にご案内いたします。
15世紀、ここから多くの冒険家たちが大海原に乗り出し、南アフリカの喜望峰到達をはじめ新航路・新大陸の発見など世界史に大きな転機をもたらしました。
首都リスボンは、テージョ川河口の丘に囲まれており、“7つの丘の街”と呼ばれています。その美しい景観と共に、ヴァスコ・ダ・ガマの偉業を称えて建てられたジェロニモス修道院、サン・ジョルジェ城、ベレンの塔などの歴史的建造物が今でも人々を見守っています。
歴史あるポルトガル第2の都市ポルト
ポルトガル北部の港町ポルトは、古都としても有名で、市内に現存する歴史的建設物の中でも、ポルト大聖堂が最も古く、1110年頃に建設が開始されています。また、青く美しいタイル「アズレージョ」で装飾された建物や、スペイン北部から大西洋に流れ込むドウロ川に架かるドン・ルイス1世橋なども見どころです。
またドウロ川上流で栽培された葡萄を原料とし、14世紀中頃から生産が始まったワインは、18世紀にポルトから輸出されたことから「ポート(港)ワイン」と呼ばれています。
アズレージョで美しく装飾されたカルモ教会(カルモ修道院)
魅力的なポルトガルの都市の街並み
他にも、ポルトガルのベニスと呼ばれる水の都アヴェイロや、ポルトガルの文化的な中心都市コインブラ、世界遺産にも登録されている街シントラなど、歴史の息遣いを今でも感じられる都市があります。また、ユーラシア大陸の最西端に位置し、かつての冒険家たちが挑んだ大海原を望むことができる断崖絶壁の「ロカ岬」等、人々を魅了してやみません。
美食の国ポルトガルの魅力的な料理
ポルトガル料理は、大西洋の新鮮な魚介類がふんだんに使われているのが大きな魅力で、カタプラーナという円盤型の鍋を使っての魚介料理が人気です。国内で最も消費量の多いタラの身を塩漬けして乾燥させ水で戻して調理した「バカリャウ」も是非試していただきたい食材です。その他、地中海の気候を生かした農業が盛んで、その食材とオリーブ、ピリピリ(小さく辛みの強いトウガラシ)、バニラ、コリアンダーなどの香辛料を合わせて料理されるのも特徴のひとつとなっています。
デザートには、卵黄をふんだんに使い、シナモンやバニラで風味をつけたエッグタルトや、カステラの元祖パン・デ・ローなどのデザートも人気です。
ポルトガル人の魂「ファド」
2011年にユネスコ無形文化遺産に登録された「ファド」は、<運命>や<宿命>を意味しポルトガル人の魂の歌ともいわれています。そのファドの魅力を広めたアマリア・ロドリゲスは、「ファドの女王」の異名を持ち、ポルトガルの至宝として愛されました。
通常はクラシックギターとポルトガルギターで伴奏されますが、2017年に民音が招聘し開催した「カルラ・ピレス」公演では、ピアノ、チェロ、コントラバスを加え、より現代的なメロディーで楽しませてくれました。ここで、その演奏をお楽しみ頂きたいと思います。
〈カルラ・ピレス〉
1999年にファドの国民的歌手アマリア・ロドリゲスが亡くなった後、彼女の人生を描いたミュージカル『アマリア』で若き日のアマリア役に抜擢される。伝統的なファドのスタイルを守りつつ、新しい生命を吹き込んだ彼女は、国内はもとよりヨーロッパ全域から中南米諸国に至るまでファド復興運動の第一人者として人気を博している。
〈カルラ・ピレス プレイリスト〉
1.「リスボン、少女と女性」
2.「風と大地の歌」
リスボンとコインブラの2つのファド
1820年代に首都リスボンの下町に生まれたファドには、主に女性の心情を歌いあげるリスボンのファドと男性の心情を男性歌手が歌いあげるコインブラのファドと2種類あります。リスボンのファドは哀愁、郷愁が漂う曲が多く、コインブラのファドは、明るい曲調が多く変化に富んでいることが特徴となっています。
ここで、2種類のファドを1991年の「フェスタ・ポルトガル」公演よりリスボンのフォド歌手アナ・マリア、コインブラのファド歌手アントニオ・ベルナルディーノそれぞれの歌声、そしてバンブー・フルート奏者ラン・キアオの演奏もお楽しみください。
〈フェスタ・ポルトガル プレイリスト〉
1.「すべてがファド」
2.「コインブラ」(ポルトガルの4月)
3.「ボンバイオン」
最後に、駐日ポルトガル共和国大使館 フランシスコ・シャヴィエル・エステヴェス特命全権大使が推薦する音楽を紹介いたします。
1."Balada de Despedida 5º Ano Jurídico 88/89"
コインブラ大学法学部1988/89年度卒業生による「別れのバラード」
演奏している「ファド・アオ・セントロ」(Fado ao Centro)は、「コインブラのファド」と呼ばれるヨーロッパ最古の大学の一つコインブラ大学の男子学生の演奏が発祥で、学生たちの悩みや愛をテーマに歌うセレナーデです。古都コインブラの美しい景色とともにお楽しみください。
2."Bate, Bate" ~機織りの唄~
女性10人のアカペラグループ「ソパ・デ・ペドラ」(Sopa de Pedra)は、ポルトガル全国各地に伝承される民謡を若い感性でアレンジして歌い、人気を集める注目のグループです。機織りの時に "Bate, bate, o meu tear..."(打て、打て、私の機織り機よ)という歌詞で始まります。
3.「アマリア・ロドリゲスの生誕100年」記念映像 <ファド博物館提供> ※言語はポルトガル語、字幕なし
2020年「ファドの女王、アマリア・ロドリゲスの生誕100年」を記念して制作された映像をご覧ください。フィナーレの100名のギター奏者による合奏は圧巻です。1時間近い動画となっていますが、演奏されているのは、ポルトガルでは誰でも知っている曲ばかりですので、みなさんにもお聴き覚えのあるメロディーもあるかもしれません。
皆さん、ポルトガル共和国への音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。
協力:駐日ポルトガル共和国大使館
写真提供:ポルトガル政府観光局
Min-On Concert Association
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