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【読書】何歳になってもやりたいことをやる人生

人に趣味や好みの話をする機会が得られたら、
ぜひ話してみるべきだと個人的に思います。

私はよく自分が読書好きであることを話のネタとして出すのですが、
たまに思いがけず同じく読書好きの同志を見つけることがあります。

勿論、毎回よい反応が返ってくるわけではないのですが、
その「たまに」に出くわすと、
日常が急に華やいだように感じられるのです。

そして、せっかく見つけた同志とは、
なるべくタイミングを見つけてオススメの本の情報交換をします。

今回読んだ小説は、そんな風にして
「最近ミステリー小説にハマっている」と私が話したら、
同じ会社の方からお薦めいただいた一冊です。


歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』(文春文庫)


読み終えてまず思ったことは、「小説ならではの隠し芸だ」ということ。
映像化されることは、トリック上難しいのではないかと思います。
それにしても、無意識のうちの固定観念って、怖いなと
改めて認識させられた作品でした。
話の途中で時系列があちらこちらへ飛ぶし、
時折視点が変わるので、最後はどうなるのかと思いきや、
最終的に綺麗に整理されていました。
伏線回収、というよりは目から鱗というか、狐につままれたというか・・・艶やかな真相隠しでした。

読み終わった時にすっきりするのですが、
それまで「どうなってしまうの?」とハラハラするし、
先が気になってしまうミステリー小説ならではの中毒性があります。
ぜひお時間がある時に集中して読むことをオススメします(笑)。

あらすじですが、主人公の成瀬将虎(なるせ まさとら)は、
探偵にパソコン教室の講師に映画のエキストラと、
様々な仕事をこなし、人生を謳歌していました。

ある日、同じフィットネスクラブに通っていた
久高愛子(くだか あいこ)から、
「祖父が悪質商法に引っ掛かり、それによって保険金殺人に
巻き込まれたようだ」と打ち明けられます。
成瀬は、その商法の実態調査を依頼されるのですが、
そんな中、自殺を図ろうとしていた麻宮さくらを助けたことで、
さらに運命が大きく動き出します。

年齢に関係なくやりたいようにやって生きている成瀬だからこそ、
この小説のトリックが活きていて、
最後のメッセージ性もより強く伝わってきました。

医療技術が進歩し、衛生環境が整い、高齢社会に入り、
ますます平均寿命が長くなっている今だからこそ、
老いることをマイナスに捉えるばかりではなく、
より長く人生を楽しむ方法を模索し続けることを
生きがいにしたいものです。

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