宮沢賢治の元素図鑑
作家・詩人である宮沢賢治が鉱石好きだということはなんとなく知っていたのですが(作中にいろんな鉱物の名前が出てくる)
鉱物&元素好きの息子がこの本を読んでいたので
↓
宮沢賢治の元素図鑑
ちょっと借りて読んでみると…
すごく良い!!!
文学と化学をいっぺんに学んだ気分!!!
宮沢賢治の文章と、
そこに含まれている鉱石の名前。
鉱石の解説と写真。元素のいろいろ。
それが1冊になってるんです。
読みだしたら、心の中で
(へぇ〜)とか
(あっ、あれがそうか…)とか
(なんか聞いたことあるぞ!見たことあるぞ!)とか、
まあ、恥ずかしながら、元素とかまったくわからない人間の感想ですが、
自分なりにはものすごく深く勉強した気になって、
とても良い読後感が味わえます。
この本は宮沢賢治のミニ詩集であり、ミニ図鑑でもある感じ。
読んでいて私が面白いなぁと感じたのは、
1927年4月5日の詩ノートから『雲』
あたたかくくらくおもいもの ぬるんだ水空気懸垂体 それこそほとんど恋愛自身なのである なぜなら恋の80パーセントは H2Oでなりたって のこりは酸素と炭酸瓦斯との交流なのだ
この詩のあとにこんな解説が。
タイトルの「雲」は恋愛を「あたたかくくらくおもいもの」とあらわしています。懸垂体とは平衡(ものが釣り合う状態)をいっているのでしょう。多くの水と酸素と炭酸ガスの平衡系を恋愛にたとえています。人体には平均約70パーセントの水があり、人は酸素を取り入れ、炭酸ガスをはきだして生きています。酸素と炭酸ガスは約10億個ある肺胞といわれる細胞で交換されています。酸素は、恋愛のために必要なエネルギーをつくりだしていると賢治はうたっているようです。
酸素は恋愛のために必要なエネルギー。なんだか難しいのか簡単なのか。宮沢賢治のそういう詩を読むと急に親近感がわいてきて。でも…親近感はわくけれど、どうしても私はそういう化学的なことと恋愛とを結びつけて詩にはできないなと思ったり。
この本の中にはたくさんの元素が写真付で解説されていて、
宮沢賢治文学目線からそれを勉強することができます。
亜鉛も銅も鉄も
バナジウムにチタニウムにセレニウムも
コバルトだって何だって、
宮沢賢治作品に出てくる元素たち、
その世界観、
この1冊にぎゅっとつまっていて、
見ているだけでも癒されます。
文学と化学をいっぺんに勉強してみたくなったり、
ただ鉱物の写真を眺めてみたくなったり、
何も考えたくない時にも
なかなかおすすめの一冊です。
こんなところまで読んでいただけていることがまず嬉しいです。そのうえサポート!!ひいいっ!!嬉しくて舞い上がって大変なことになりそうです。