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静かに、ねぇ、静かに

本谷有希子さんの本 読みました

表紙の色合いが可愛くて手に取っただけだったけど、最初は



S(静かに)N(ねぇ)S(静かに)なんだね



わたしホラー系の本も映画もダメなんだけど、結構怖かった、結構というかかなり怖かった、ホラーというよりもなんか人間的に怖かった

同調圧力というかなんというか、自分の意見を持たずに流されてばかりとか周りにイエスマンだけしかいなくて立ち止まって考えることもないとか、危険だね



三話入ってるんだけど、一話目の

「本当の旅」


ハネケン、づっちん、ヤマコの三人の男女がマレーシア旅行する話



SNSについての本って第一印象から読み始めて、文章の中でもLINEとかインスタが出てきて、「いいねいいね」で話が進んでいくから「今時やなあ」くらいにしか思ってなかったの。何が怖いって、全員40代

読んでて途中から大学生の節約旅行みたいに思えてくる



結婚も仕事も特にあんまり真剣に考えてなくて、むしろ真剣に考えて幸せへの努力をしているような人を「搾取される側」で「可哀想」って見下してるような三人組

空港で追加の荷物の料金も払わず、「大切なものはお金じゃない」って言い聞かせてるような

ウチらはずっとこうだしポジティブなバイブスでいいねいいね!みたいな



わたしもSNS好きな方だし、「これは後で書こう」とか「インスタに載せたらかわいいかな」とかはもちろん考えるのね

けど、一緒にいるのにLINEで会話したり、動画撮って編集したり、「後から見返せるから」「思い出になるから」以上の理由で依存してる感じがあった

わたしはこんな友達関係嫌だな~~~おかしいこともおかしいって言わず、しかも一緒にいるのにスマホの中の世界が基準



承認欲求とか自己肯定感とか、最近わりとよく聞く単語と関係してくるのかもしれないけど



特にハネケンが自分の意見がないというか、づっちんとヤマコに憧れて二人のことを尊敬(?)するのはいいんだけど、づっちんのお勧めするもの、づっちんが紹介してくれた友人、づっちんの考え方、何もかも「づっちんがいいっていうからいいに違いない」みたいな思考なの





だんだん嫌な方向に進んでいって、結局命にかかわるくらい「ヤバイ」状況に陥るんだけど、本人も理解してるし気が狂いそうなくらい怖い思いをしてるのに、実際にする言動は見て見ぬ振りというか、「やばくね?w」「逃げよ逃げよ!w」「死ぬのはヤバイwww」みたいな感じなの。歌って、LINEスタンプ送り合って、お菓子食べて、しまいには笑顔で自撮りして、異常



最近SNSに関わる事件が増えてるじゃんね、闇サイトとか一緒にこの世とお別れしましょうの呼びかけ投稿とか

「怖~~~」「気持ち悪~~~」って言いながらも、SNSと深くかかわっているような今の時代を生きてるんだもん、簡単にそっち側にいっちゃうかもしれない、自覚があってもなくても



画像や動画はいくらでも後から加工、修正できるし自分が見たいように見ることができるけど、現実はそうじゃないし

現実から逃げて向き合わず自分に都合のいいことばかり都合のいいように見て、「いいねいいね」で生きていったらああなるのかなあとか思った




読み終わった後のモヤモヤ感がすごい

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