35年間「痛み」に気づけなかった私がいかに皮膚むしり症を通じて「痛み」を自覚したか

(この記事の所要時間:約15分)


私は無意識で指の爪を噛み、皮をむしる皮膚むしり症に35年近く悩んできました。
今も完治していません。



「皮膚むしり症って何ぞや?」という方はこちらのNoteをまずご覧ください。
関連ニュース記事と、診断基準の外部リンクがあります。↓


「皮膚むしり症」で検索すると、「強迫性障害」とか「無意識の自傷癖」とか、わりとショッキングな単語が並んでいます。



「えっ、別にむしってる部分を人に見せる訳じゃないし、実害も特に無いのに、そんな障害とか大げさな
💦



「私は気にしてないし、病気なんて言われても。そもそも治す必要あるの?
🙄と、私は最初そう思ってました。



治す必要があるかどうかは、今現在も治っていないので私には何とも言えません。



ですが「皮膚むしり症」という病名を知ってから、いろいろ調べて自分の実体験と照らし合わせた結果、「実害が無いと思っていたのはわりとヤバい状態だったんだな」と、今では思ってます。



自分の悩みや痛みを、自分で無視してきたけど、全く気づいてなかった状態だった、と今ではわかるからです。



今回は、35年間自分の抱えてきた「痛み」に全く気づけなかった私が、いかに皮膚むしり症を通じて自分の「痛み」を自覚したかについて、私のケースをお話しします。



以下、長文ですがお付き合い下さると嬉しいです。



同じ症状を持つ方や、知らず知らずのうちに痛みを必要以上に我慢しがちな人の参考になれば幸いです。



そもそものきっかけは幼稚園での指しゃぶりだった


私が皮膚むしりを発症したのは、幼稚園に行きだした5歳の頃。



赤ちゃん返りなのか、突然指しゃぶりをするようになり、右手の中指にタコができました。



指しゃぶりを咎められて、代わりにタコの皮を剥いたのが全ての始まりでした。




その後指しゃぶり→タコの皮むき→爪噛み→爪周りの皮むしり、と発展。



母親はひたすら止め続けました。



消毒薬を血だらけの手にバシャっとかけられたことも🥶
「痛いならいい加減やめなさい」という事ですね。



「女の子なのに指がボロボロでかわいそう。やめなさい」
というのが母の口癖でした。



母のこの口癖は、自分の中で常にこう変換されてインプットされました。
「指がボロボロでもやめられない私は女の子失格だ😫と。


一番酷かったのは小学校3年生の頃


小学校3年生当時、担任の先生にため息をつきながらこう言われたことがあります。



「お前なあ、不貞腐れて殻に閉じこもってちゃだめだろ。自分から外に出て人と関わるんだよ。独りでいちゃダメじゃないか」



私は別に不貞腐れて殻に閉じこもっていたわけでは無く、当時耳が悪かったのもあって周りが何を言っているのか、理解出来ずについていけてなかっただけでした。



しかし、「先生違うよ!」と反論する言葉が自分の中に全然無かったんです。
ただひたすらボロボロ泣く💦しかなかった。



誤解だと言えない悔し涙だったんですけど、当時の先生にはどう見えていたんでしょうか。



周りに溶け込めていない私は担任から事あるごとに「不貞腐れているんじゃない」「独りでいてはいかん」と怒られました。



その担任は、当時「ひいきの激しい先生だ」と、保護者から非難されていた体育教師でした。おそらく教師間でも賛否両論ある先生だったと思います。



今から考えると、その先生自身が、孤立することをとても恐れていたんでしょうね。



その頃が一番ひどくて、ほとんど全部の手指と爪がボロボロ、さらに足の裏の皮まで剥いていました。


かかりつけ医にドン引きされてから隠すようになった


そんな小学校3年生の折、かかりつけのお医者さんにボロボロの手指を見られてしまいました。



「えっ!どうしたのこれ!ボロボロじゃないの!何があったの、えぇっ!?」



いつもは冷静なお医者さんが驚いてドン引き∑(゚Д゚)してました。



「あっ。これは恥ずかしい手なんだな。人に見られてはいけないものなんだ」



子供心にそう強く感じました。



それ以来「こんな奇妙な汚い癖を持っているのは自分だけだ」と思い込み、私は手指を人目に晒すのを一切避けて、ひたすら隠すようになりました。




成長するにつれて意識しなくなったけれども…


成長するにつれて、むしり具合は縮小していきました。
でも、両手の親指だけは常にボロボロでした。



就職活動にあたり、「手が荒れている人はセルフコントロールが欠けていると面接官にみられる」と知って恐怖したエピソードは以前Noteに書きました。↓



そうは言っても、まあ運よく面接には受かり、公務員になりまして。
役所では苦情処理係を10年間やってました。



現場に行って住民の人の苦情を直接聞きに行くとき、公務員って路上駐車したらまずいので、必ず運転係の人とペアで行動するんです。



私はいつも助手席に座っていて。



運転係の人と車の中で談笑しながら現場に向かうんですけど、その間、親指の皮をむしるのが止まらないのが、私の密かな悩みでした。



運転係の人は、車を使ったら必ず掃除機をかけるのが決まりでした。
だから絶対に皮を車内に散らすことはできなくて。



現場用のトートバッグを持っていたんですが、むしった皮は全部そのバッグに放り込んで。



現場から帰ってきて隠れてバッグをひっくり返すと、「粉雪❄️」がザーッと舞うのがいつもの事でした。



そう、いつもの事。



当時の彼氏に「その指どうしたの?」と常に絆創膏を貼ってる親指について聞かれても、「いつもこうなの💦」とテキトーに言って笑ってごまかしてました。



だって本当にいつもの事なんだもの。



「お金払ってあげる。あのブースのアロマハンドマッサージ良かったよ。受けてきなよ」とフェスティバルイベントでその彼氏に言われて、いざハンドマッサージを受ける段階で手を開いてから「しまった!😥」と思っても、いつもの事。



こんなふうに、5歳の頃から無意識にむしり続けていると、ボロボロの指が当たり前になりすぎていて、麻痺してくるというか。



恐ろしいことに、隠している意識すら無くなっちゃうんですよね・・・😓



時にボロボロの手指の存在を忘れて、うっかり人目に晒してしまうこともしばしばあるくらいでした。



仕事でネイルをしなきゃならない訳じゃないし。なんなら現場に出て手が泥だらけになる時もあるくらい。



「ちょっと変な癖だけど、いつもの事。まあ実害は無いから」…。



相変わらず母だけは剥いているのを見るたび、諦めずにとがめてきました。



でも「いつもの事」で「実害はない」と思っているので、母から何を言われても、社会人になった今さら治そうという気は全くありませんでした。




皮膚むしり症チャットに参加して「実害いっぱいあるじゃん!!」😵


2019年の秋ごろでしょうか、ふとインターネットで、自分のこの奇妙な癖に「皮膚むしり症」という病名がついていることを知りました。



それで、皮膚むしり症に悩む人が集まるチャットを見つけたので、興味本位で参加してみたんです。



そこで私は、年齢も性別も出身も様々な数百人もの人々が、むしる部位も様々に、でもみんな同じ様に皮膚むしり症に悩んでいるのを目の当たりにしました。



「誰だよ『こんな奇妙な癖を持っているのは自分だけだ』なんて思い込んでいたやつは!!私だよ!!!!!嘘じゃん!!!!!いっぱいいるじゃんか!!!!」



まずそう叫びましたね〜😅😭



そして出てくる出てくる、皮膚むしり症持ちの皆さんのお悩みの数々。



・マッサージを受けられない
・ネイルサロンに行かれない
・健康診断が辛い(手足を見せられない)
・エステに行かれない(はだか/裸足になれない)
・面接でむしっている箇所を見られるのが恐怖
・プールや温泉や海水浴で白くふやけた剥いてる箇所をみられるのが恥ずかしい
・サンダルが履けない
・指紋認証が反応しない
・調理関係の仕事に就きたいが衛生面で支障があるかもと不安
・ピアノに血がつきそうで怖い、教育関係資格のピアノテストがゆううつ
・医療美容関係の仕事に就きたいが、その手では無理ではないかと周りに反対される
・接客業など、対面で手を見みられる仕事に就くのに不安がある
・人前で剥いてしまうので視線が気になる
・逆に人前で剥かないので休日独りでいるとヤバイ
・長時間、夢中で剥いてしまってあとで無力感に苛まれる
・医療、保育、介護関連の仕事で、消毒がしみて辛い、手がさらに荒れる
・どんなに美容を頑張っても皮膚むしりするとひどく落ち込む
・意志の弱い自分を責める
・自己肯定感が下がる
・恋人や子供と手を繋ぐことができない
・子どもが悲しむ、もしくは子どもが真似してむしるので困っている
・皮膚むしりが子どもにうつった、辛い
・家族/恋人/友人にむしっているのを咎められてしんどい
・親として/配偶者として/女性(男性)として失格なのではないかと不安になる
などなど…ウップ😵‍💫



「いつもの事」で「実害はない」と思っていたはずなのに、他の人が挙げるお悩みにいちいち全部うなずいて「わかる!!!!!!!😭」と叫ぶ自分がいました。



実害ないって言っていたのは誰だよ!?
他ならぬ私ですよ。ええ。



実害が無いなんて…嘘だ。



こんなに沢山のことに、自分も35年間悩んできたじゃないか。😢



35年間も…😱



私は同じ皮膚むしり症を持っている他人の痛みを知って、自分が皮膚むしりに35年間どれだけ悩んできたか、自分の痛みに初めて気がつきました。



もっと言うと、35年間、自分の痛みを「麻痺させて」自分で「無視してきた」ことに初めて気がつきました。



さらには2020年の春から現在の派遣仕事がテレワークになり、皮膚むしりの頻度が劇的に下がったことで「対人ストレスが私の皮膚むしりの主な原因のひとつだったんだ!」と目の当たりにする羽目になりまして😱



どうりで幼稚園の集団生活が始まってから発症した訳だし。



「独りでいてはダメだ」と圧をかけてくる教師のもとで症状が酷くなる訳だし。



苦情を言ってくる住民に会いに行く車中で親指の皮むきが止まらなくなる訳です。



今思えば、対人ストレスで指をボロボロにしてるのに、そんな事には全く気づかず苦情処理係とか接客業ばかりわざわざ選んで就いてましたね😢



この辺の詳しい話はまた改めて書けたらいいなと思います。



ともあれ、皮膚むしり症の実害に気づき、さらにその背後にある見えない原因に気づいた今では、かつての「いつもの事だし」「実害はないから平気」と言っていたのをこう思います。



あれは、痛み止めを自分に打ちまくって痛覚を麻痺させたヤバい奴🤪が「いつもの事だし平気!」って笑っていたようなもんだったんだな〜と。



怖いわ〜そんな人がもし目の前におったら(自分です😅😓


痛みに気づいて何が変わったか


もしも10代の時に、今ぐらい皮膚むしり症についての情報を知ることができて、自分の痛みにもっと早く気がついていたら。



わざわざ苦情処理係や接客業ばかり選ばなくて良かったんだろうな、と思います。



コンプレックスだったんですよね。
「独りでいちゃだめだぞ」という強い思い込みがあったから。



今までの仕事を通じて培ったコミュニケーション能力には助けられていますし、自分のキャリアに後悔はしていません。でも。



文字通り身を削ってまで、そんな仕事に就かなくても良かったのでは?



もし10代の時に自覚していたら、もっと自分の症状に合った、全く別の職業選択肢があったかもしれません。



そうは言っても、やっぱり就業条件の点で、公務員になれるんだったらなってた気もしますけどね。



公務員を辞めた理由も皮膚むしりとは関係なかったですし。うーん😅



母親との関係にしたって、もっと違った関わり方が35年も待たずしてできたんじゃないだろうか。そう思います。



母はずっと「母親失格なんじゃないか」と、私の爪噛み・皮膚むしりを見るたびに自分を責めていました。自分のせいじゃないかと不安だったんですね。



だから諦めずにずっとずっと私の皮膚むしりを止めていたんです。



でもそれは私には全くの逆効果だった。
放っておいてもらうのが正解だった。



母に皮膚むしりを咎められれば咎められるほど、私の女性としての自己肯定感は下がっていき、余計にむしってました。



「母親失格とか関係ないよ。私の場合は対人ストレスでこうなってるの。他にも同じ症状で悩んでいる人はいっぱいいる。指摘されると逆効果だから放っておいて欲しい」



もっと早くに気がついていれば、母にもっと早くそう言えたのに。
気づくまでに35年もかかってしまった。



私も母も、35年もすれ違って苦しむ必要は全く無かったんだよなあ・・・😭
今ならそう思います。



ということで、すれ違っていた時間は後悔してます。



かと言って学生時代に「対人ストレスで剥いてるから学校行きたくない」ともし言っていたら、それはそれで母と揉めてたでしょうね😅



テレワークになって症状が緩やかになったタイミングだからこそ、母に通じたのかもしれません。



またすれ違っていた時間を後悔しているからこそ、今の私はこうして自分の体験をNoteに書く原動力があるわけですけど😅



あんまり無理して書きすぎると指がまたボロボロになっていくので、常に「指と相談しながら」書いています。



以前にも皮膚むしり症はストレスの度合いを教えてくれるストレスバロメーターとして使えますよ、と記事に書きました↓



「指の声を聴いて、皮膚むしり(ストレスバロメーター)と相談しながら生きていく」



これが今の私の目標です。



こういう風に皮膚むしりを見られるようになった分、アラフォーの今更ですが、自分の痛みに気づけて良かった気がします。


同じ皮膚むしり症をお持ちの方へ。気になるならまずは調べてみては。


今は私の子供の頃と違って、皮膚むしり症についての情報がいろいろ手に入ります。



皮膚むしり症を治療すべきかどうか、また医療機関等で治療可能なのかは、現在治っていない私には何とも言えません。
私は皮膚むしり症で医療機関にかかったことはありません。



また残念ながら、私の知る限り、皮膚むしり症の確立された治療法や特効薬は今のところ無さそうです。



これもまた今度改めて詳しく書きたいと思います。



ですので私と同じ症状をお持ちの方で、「別に気にしてないわよ」という方は、それでいいと私は思います。



だって極論すると、それ自体は命に別状はない症状ですし。(感染症のリスクを除けば、ですが😅)



無理に治そうと思わなくてもいいと思います。



しかしどうしても気になるのであれば、まずは情報をいろいろ集めてみるといいのではないでしょうか。



もしかしたら私のように、同じ症状を持つ他人の痛みを知ることによって、症状自体は変わらなくても、自分の痛みや認知のゆがみに気がついて、症状の見方が変わるかもしれません。



「こんな奇妙な癖を持っているのは自分だけだ」と私が思い込んできたのが間違っていたように、正しい知識さえ持っていたらすぐに解消する不安や恐れもあると思います。



専門書も特に無いので、現在の情報は玉石混交かもしれません。



ご自身の実体験と照らし合わせて判断されるといいと思います。




知ることで、場合によっては自分の今後の人生選択や、大事な人との関わり方も変わってくるかも?



これもご自分の人生におけるタイミングがやっぱりあるでしょうから、焦っても意味は無いかも?と個人的には考えます。



気になるのなら、ご自分のペースで、まずは皮膚むしり症についていろいろ調べてみる。



まずはそれが良いんじゃないでしょうか。



その際に、私のNoteがもし参考になれば、こんなに嬉しい事はありません。



以下は参考までに。



皮膚むしり症もちの人のお悩みあるあるNoteはこちら↓


皮膚むしり症の治療に有効と言われる認知行動療法を自己流でやってみて挫折😵した話↓

皮膚むしり行為を別の作業に変換する「代替行為」についての記事はこちら↓


今回はえらい長文でしたが、ここまでお読みいただきまして本当にありがとうございました😊

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