みんなから愛されるスポーツ選手〜南米のとある国から届く話〜
世界から届く話①南米のとある国のみんなから愛されるスポーツ選手の話。
私は今、とあるスポーツ選手に日本語を教えている。(あまりに有名すぎるので、競技と出身地は伏せておく。)
テレビの向こう側にいるスポーツ選手ってとびきりかっこいいし、たくさんのファンからの歓声を浴びていて、豪快で、勇ましくて、大活躍のスターだ。
そんな選手が、大歓声を浴びた試合の直後、もしくは負け試合をしてブーイングを浴びた直後にだって、うちに帰ってから日本語のレッスンを受けていることを、想像をする人はいないだろうなあと思う。
世界のトップにいる選手が、日本語を勉強してくれている。
日本人のチームメイトとたわいもない会話ができるように。監督と意思疎通がしやすいように。通訳なしで日本語でインタビューに答えられるように。日本人のファンに日本語で感謝を伝えられるように。日本で生きていけるように。
多忙でないはずがないの選手が、日本語の勉強に時間を割いてくれている。トレーニングできたかもしれないはずの時間に。国の家族に電話できたかもしれない時間に。
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先日、その選手が日本語でスピーチをしているのをテレビで見た。
その文を覚えるために、言えるようになるために、どれだけ練習をしたのかが私にはわかる。
涙が出そうになった。
日本語を話そうとする姿勢や、日本のギャグを取り入れて冗談を言っている様子は、「この選手は、郷に入っては郷に従え、を守っている」「日本人や日本文化をリスペクトしてくれている」と日本人から賞賛されていた。
疑いようもなく、みんなから愛される選手だ。
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一流と関わるためには、自分のレベルも一流にあげなきゃいけない、と私は思う。だけど、私はそんな人と今、関わることができている。本来なら、私はその選手とは肩も並べられない位置にいるのに、今、日本語教師という立場でその選手の人生の中にいる。
幸運にもほどがある。
私はどう関われるんだろう、と思った。
絶対に、プロの日本語教師として、日本語を教える一流として、関わるべきだ。
「一流でありたい」
日本語教師5年目、仕事にも慣れてきてしまっていた私が、もう一度そう強く思った。
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その選手を教えるようになってから、私は興味のなかったスポーツの勝敗を気にするようになり、SNSでファンアカウントをフォローして試合の様子をチェックするようになった。
その選手のインタビューを見た。出演しているテレビ番組を見た。Youtubeも見た。本まで買おうとしている。
また私の世界が1つ広がった。
日本語教師の醍醐味は、見えていなかった世界に興味が湧くこと、気づかなかった世界を見られることだ。
私も一流なら、日本語が話せるようになった世界を学生に見せてあげたい。
日本人のチームメイトとたわいもない会話ができる。監督と意思疎通ができる。通訳なしで日本語でインタビューに答えられる。日本人のファンに日本語で感謝を伝えられる。日本で快適に生きていける。そんな世界だ。
そうやって世界を広げられたらいいなと思う。
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ありがとう今日の学生さん!
あなたのおかげで今日も私は自分の仕事が好きになりました!
これからも全力で日本語教師していきます!
Miki
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