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123天文台通りの下町翁 雑記帳〜李琴峰·著「言霊の幸う国で」
台湾出身の気鋭の芥川賞作家、李琴峰の最新作品。ネットの対談番組で最近知った彼女の存在。発言の明瞭さに惹かれて買った最新作であったが、一気に読めるストレートかつ繊細な内容に即フォロー決定の作家だ。本当に日本と日本文学を愛しているからこそのLGBTQ+を題材に、自身の経験を軸にしたノンフィクションと小説が織りなす文学作品で、この国の人権、個人にかかわる停滞ぶり、ゆえに生きづらさから活発な未来を描けない
もっとみる123天文台通りの下町翁 雑記帳 奈倉 有里 著「夕暮れに夜明けの歌を~文学を探しにロシアに行く~」
気鋭のロシア文学翻訳家のペテルブルグ、モスクワ留学時代の濃密に文学、詩、教師、学生たちにどっぷりと浸った日々がつづられている。なんとも貧しくとも、濃密でみずみずしい学生生活だったかが浮かびあがる。
たった一人の東洋からの留学生としての経験が細部に渡り、書き留められている。きめ細やかな心模様、そして何よりもロシア文学や関連する資料を浴びている様子と情熱が全編に貫かれている。奈倉有里は、ロシア文学を読
123天文台通りの下町翁 雑記帳~ブレイディみかこ著「ヨーロッパ・コーリング・リターンズ 社会・政治時評クロニクル 2014-2021」~
英国イングランドのブライトンという町に在住の保育士&ライター/コラムニストの英国社会、政治についての新型コロナ感染拡大した2021年までの自由で闊達な7年半に渡るコラムをまとめた一冊。文庫とは言え500ページ近い分量を読むのは一気にはできないが、一編ごとに、反緊縮・人々への積極財政の必要性、かつては"ゆりかごから墓場まで"と呼ばれた社会厚生システムが保守党、とりわけサッチャー以降の新自由主義政策で
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