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巡礼路で思ったこと

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イギリスのカンタベリーからフランス・スイスを経てイタリアのローマを結ぶ全長2000kmの巡礼路。長い道のりは心の旅でもありました。 約3ヶ月の巡礼旅の間に思い浮かんだことをご紹介…
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それでも、歩き続けられた理由

それでも、歩き続けられた理由

2000㎞の巡礼路もあと残り300㎞というところで、心がくじけた私。うすら寒い部屋の中でひとしきり感情を吐き出したあと、気分転換にバルへ出かけ、ワインを飲みながらレストランが開くのを待つことにした。

 暖かい店内で陽気なイタリア人たちの雰囲気に浸っているうち、気持ちが和んできて、いつもの笑顔を取り戻すことができた。

 待ちに待った夕食は、私の大空腹を先読みしていたかのようにどれも大盛りで味もよ

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間違った道などない👍

間違った道などない👍

イギリスのカンタベリーを出発して43日。アルプスを越えてイタリアに入り、ようやく巡礼路の半分を歩きました。いやぁ〜、長いね、Via Francigena。

この巡礼路は中世初期から有名で多くの人が歩いているのですが、カンタベリー大司教となったセジェリックがはじめて、公式な記録として残したことから、現在では彼の足跡が公式経路となっています。

セジェリックが辿った道は、用事があってそうなったのか、

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自由≠楽? 巡礼路で思ったこと

自由≠楽? 巡礼路で思ったこと

イギリスのカンタベリーからイタリアのローマを結ぶ巡礼路、Via Francigena。歩き始めて1ヶ月が過ぎ、フランスとスイスの国境もあと数日で越えようとしています。歩いた距離は900㎞。かなり進んだ気がしますが、これでもまだ、全長2000㎞の半分には届きません。
ローマは遥かに遠いなぁ…なんて思いがよぎると、心に迷いが生じてきます。

このまま歩き続けるの?

巡礼なんかやめて、どこか別のところ

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巡礼とハイキングの違い

巡礼とハイキングの違い

特に信心深いわけでもないのに、気付けば4000㎞近く巡礼路を歩いている私💧
毎日、毎日遠い聖地を目指して歩くわけですが、ハイキングといったい何が違うのか?

それは多くの感謝に出会うことです。

数十日、数ヶ月かけて歩く巡礼において、人の優しさに触れない日はありません。

例えば、今私が歩いているフランスでは、巡礼者のために一般のご家庭が宿を提供してくれるのですが、そのもてなしが手厚く、心が癒さ

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巡礼の一日

巡礼の一日

巡礼路を毎日どれぐらいの距離、どれだけの時間歩くのかは人それぞれです。現在はガイドブックやアプリ、ネットで様々な情報が得られるので、それらを参考に日程を組みます。
巡礼路は必ず一気に歩ききらなければならないわけではありません。長期休暇のたびに少しずつ巡礼路を歩いている人や、10年かけて踏破する人など、みなさん自分の生活スタイルにあわせて歩いています。

では実際どんな毎日を送っているのか。
私の場

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Via Francigena の歩き方

Via Francigena の歩き方

Via Francigenaは、イギリスのカンタベリーからイタリアのローマ、約2000㎞を結ぶ巡礼路です。

中世から主要な巡礼路のひとつでしたが、10世紀末、カンタベリーの大司教シゲリックによって詳細が文書として記録されました。

Via Francigena にはいくつかの道しるべがあります。

この他に右折マーク

左折マーク

「こっちではありませんよ」マーク

があり、巡礼者はこれらのマ

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あの日、私はブチ切れた

あの日、私はブチ切れた

真夏に歩き始めたVia Francigena(以下 「VF」と略す)は、秋を迎えたというのにまだ終わりが見えない。

毎朝目覚めれば、また歩くのかと、ため息を吐く。
それでも2ヶ月半、続けてきた。

その日、朝食を摂らなかったことだけが引き金になったわけではない。
34㎞という距離のせいだけでもなければ、1100mの登りだけのせいでもない。
行程の途中でコーヒーの一杯すら飲めず、水だけで凌いだこと

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