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ノスタルジー

DVDレコーダーが壊れた。

予兆はあった。
少し前から、フリーズしていたりしたから...。

その度にリセットしたり、電源再投入したりして誤魔化していたが、ついに液晶は『SYSTEM ERROR』を表示したまま動かない。

今日の朝までは、グズグズしていたけど、仕方ないと諦め、これはギターの練習をしなさいという神からのお告げだと思うことにした。

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家の扇風機が全速力でまわっている。

外から帰ると、いつも真っ先に扇風機のスイッチを入れる。

わたしの夏のルーティン。

わたしは夏の夜が好きだ。


正確に言うと、
夕方から夜になっていく様が好き。

昼間はジリジリと太陽が照りつけ、溶けるような暑さで気分も身体も疲弊してしまうが、夕方になるにつれて、陽が暮れ、少しだけ昼とは違う心地よい風が吹き、人々がぞろぞろと家路を急いだり、スーパーや居酒屋に流れていく様子を眺めているのが好きだ。


いつも、そんな様子を見ていると、
子供の頃の記憶が甦る。

学校が終わると一目散に飛び出して家に帰り、おばあちゃんからおやつを貰って、急いで口の中に入れて友達と遊びに行く。

活発だったわたしは公園でブランコに乗ったり、シーソーで両端に5人ずつくらい乗ってガチャガチャしてみたり、カンケリをしたりして汗だくになるまで遊んでいた。

陽が暮れてくると、
それぞれの友達のお母さんが子供達を迎えに来る。
大体、わたしはいつも最後のほうだった。
両親が共働きだったから、迎えに来るのはいつもおばあちゃんかおじいちゃんだった。

『ご飯だよ〰️』とか『おーい、飯だぞ〰️』と、
大きな声で叫ばれる。

夏は陽が長いから、おばあちゃん達もうっかりしてしまうみたいで、呼びにくるのが遅いときもある。

ひとりでスタスタと帰ってくることもできるが、子供ながらに夕飯の支度などで忙しい祖父母に気を遣っていたんだと思う。

迎えにくるということが、
“もうわたしの面倒を見ることができるよ”
という合図のような気がしていた。

夏の夕暮れを感じるとあの頃の自分が思っていた、迎えに来てくれるまで待たなきゃという気持ちと、迎えに来たときの嬉しい気持ちが入り交じった複雑な感情を思い出す。

わたしはそんなちょっとノスタルジーな気分になれる夏の夕暮れが好きだ。

おしまい。
※今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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