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Naked Desire〜姫君たちの野望

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舞台は西暦2800年代。 世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。 欧州大陸にある、…
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2019年7月の記事一覧

Naked Desire〜姫君たちの野望

第9回 心の壁-3

「髪の毛が濡れたままじゃないか。またバスタブで寝ていただろう?」
「うん、キモチよくなってついウトウト……」
私は、バスタブの中でうつらうつらすることがよくある。
だから今日も彼女には、今回もバスタブでうつらうつらしていたしていたと思ってもらいたかった。
ところが、この時のキャサリンは違った。
「フーン。それにしては、さっきの反応は尋常じゃないが……」
今朝の私の態度から

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第8回 第一章 心の壁-2

私は軽口のつもりでいったが、相手はそうは受け取らなかったらしい。
その言葉を聞いたとたん、オルガの顔色が変わった。
「悪かったわね! どうせ私なんか穀潰しだよ!」
顔を真っ赤にし、ドンドンと床を踏みならしながら私を罵倒するオルガを、私はまあまあとなだめ続けた。
「朝っぱらから悪かった。ごめん、この通り」
私は必死に頭を下げ、両掌を合わせて謝るが、それでもオルガの機嫌

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Naked Desire〜姫君たちの野望

ジリジリジリジリ──
枕元の目覚まし時計が、けたたましく鳴る。
「う、う、う──ん」
私─神聖プレアガーツ=ホッフンヌング連邦帝国グラーツ大公国第一皇女エルヴィラ・ジャンヌ・マリナ・カーリン・フォン・ゾンネンアウフガング=ホッフンヌング─は、目覚まし時計のベルを止めると、ベッドの中で思いきり身体を伸ばした。
上半身をゆっくりと起こすと、気のせいかまだだるい。
しまった、夕べのお楽しみは、1回だけ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第6回 モノローグ-6

「そうね、そのほうがいいわね。置きっぱなしにしておいて、誰かに毒でも入れられたら大変だし」
実際この10年間、信頼していた部下や側近に、毒を盛られて命を落としたり、一命を取り留めても重篤な後遺症が残ったという話は、国内の至る所で流れた。
情勢が落ち着いたとはいえ、復古派の残党が一掃されたとは言い切れない現在、彼らの思想の信奉者が、素知らぬ顔で有力者に毒を盛らない可能性は残

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