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【最近は、こんな感じ】 自由になろうと思った。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

33 Chilli

<Profile>
Chilli(ちり)
生まれ年:1997年
出身:安徽省蚌埠市
職業:古着店経営、アーティスト
小紅書 @chilli vintage

よく通りがかるエリアの
古着屋さんで働くChilliさん。
話しかけなかったら、
バックパッカーだったことも、
もうすぐ上海を離れることも、
アーティストなことも知らないままだった。


――この古着屋さん(『Chilli Vintage』復興西路22弄)は、1人で経営しているんですか?
Chilli はい。元々ファッションデザイナーをやっていた友達と始めたんですが、今は私1人です。あと、私の名前のChilliは唐辛子のチリです。

――唐辛子。お店は、仕入れなども1人で?
Chilli 仕入れもです。日本やヨーロッパからのものが多いですね。選ぶ基準は、きれいでかわいいもの。縫い目などのディテールがしっかりしていて着心地がいいことも重視しています。自分で着て確かめたりすることもあります。お客さんは10〜30代くらい。サブカル好きでニッチなものが好きな人とか、留学帰りの人が多いと思います。

――ここ数年、上海は古着が流行ってますよね。
Chilli 『小紅書』をみんなが使うようになって、以前のようなファッションの固定概念がなくなったからかもしれません。コレクションする人も増えたと思います。あとは、やっぱり大量生産の服と違って唯一無二なところが魅力なんだと思います。それと、新しい服のセレクトショップだと流行を考えなければなりませんが、古着は時間が過ぎても大丈夫なので。

――Chilliさんの今日の服も古着ですか?
Chilli はい。自分のお店の古着です。着心地で選びました。サンダルはタイで買ったもの。タイまで鉄道で行ったんですよ。今年の春です。

“旅先の移動はバイクで”

――え、すごい。雲南から?中老鉄道(※)で?
Chilli そう。ラオスからタイへ行って、また雲南に鉄道で戻ってきました。3か月くらい行ってたかな。
※2023年末に開通した雲南省の昆明からラオスのビエンチャンまでの鉄道。

――中老鉄道、乗りたいと思ってました。外国人は難しいのかなと。ビザとか。
Chilli 大丈夫だと思います。外国人もたくさん乗ってましたよ。私も、ビザは現地手続き。準備しないで行ってみました。電車自体は普通の高速鉄道みたいな。なので写真は撮っていません。でも、車窓の風景は素敵でした。ラオスは山と水の風景がずっと続く感じ。タイに入ると建築物が一気にカラフルになる。ラオスの建物は伝統的なデザインで統一されている感じでした。良かったのはチェンマイです。街がすごくきれいで、すごく自由だと思った。バイクでいろんなところに行きました。

チェンマイにて(Chilliさん提供写真)

――Chilliさんは旅人なんですね。古着店の店員さんを取材するつもりで来てしまっていました……。
Chilli でも、実は今年の6月でお店を閉めるんです。店舗の賃貸契約が切れてしまうので。

――えー、残念。立地もすごくいいのに。
Chilli 更新すれば続けられるんですが、1人で店番する日々をもう3年も続けているので、ちょっと自由になろうかなと持っています。まだ何をするか全然決めていませんが、いろいろ探索に出かけたいです。

――上海に来たきっかけは何だったんですか?
Chilli 縁があって、卒業後に。仕事というわけではなく、元々私、絵を描いていたので、絵を描いて、夜は遊んで、みたいな生活をしていて、それからこの古着店をやることになった感じです。

――自由だなぁ。
Chilli で、お店は閉めるので、上海から離れようと思っています。たまにまた来ると思いますけど。

――どこへ行くんですか?
Chilli 雲南省の昆明です。実はもう家も借りていて、荷物も移動し始めています。友達と二人で、郊外のすごく広い庭付きの一戸建てをシェアするんですが、考えられないほど家賃が安いんですよ。

“思い入れもあるけど”

――雲南、羨ましい。
Chilli 大自然があって、気候もよくて。冬暖かく夏涼しいのが最高だと思います。生活のリズムものんびりしていてリラックスできるし、山も水辺もあって、いつも青い空と雲があって。

撮影:Chilli

――Chilliさんの撮った写真もすごくきれいですね。
Chilli 写真は、誰が撮っても絵になる作品を撮れる場所だと思います。私が撮ったこういう写真も、「こういう風景を撮ろう」と思ってそこへ行ったわけではなくて、通りすがりに撮っただけなんです。こういう風景が普通にあるんです。

撮影:Chilli

――雲南以外にも移住地の候補はあったのでしょうか。
Chilli 海南島かな。あとは景徳鎮。アーティストがたくさん住んでいるので。あ、朱家角も考えました。

――朱家角、やっぱり。
Chilli という感じなので、閉店まで荷物や商品を少しずつ片付ける日々です。古着店をやっている友達も何人かいるので、彼らのお店に商品を移したり。でも、このお店にも思い入れはあります。天井の照明は、私が手作りしたもの。すごい時間がかかって、ずっと手を上げたままの作業だったから腕がパンパンになって……。

自作の照明

――手作りなんですね。すごい。
Chilli このまま居抜きで誰かが古着屋さんとしてやってくれたらいいですが、でもまだわからないので。片付けられてしまうかもですね。
(取材日:2024年4月28日 撮影地:復興西路『Chilli Vintage』)


<彼女のお勧め>

『DigitalUtopiaSHOP』(上海市徐匯区復興中路克莱門公寓1号104)
☆友達がやっている古着屋さん。閉店までに残った商品はここに移動させる予定。

『Liquid』(上海市徐匯区永康路149号)
☆お勧めの古着屋さんです。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe

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