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ごはんエッセイ、おいしい毎日

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日々食べたおいしいものをエッセイとしてまとめてます。 たかいものからやすいものまで美味けりゃなんでも食べる。
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#寒い日のおすすめ

百円のかってえほっせえ焼き芋、いいよね。

百円のかってえほっせえ焼き芋、いいよね。

 焼き芋。子供の頃はとてつもないご馳走に感じた。何せ作る手間がとんでもない。というか焚き火自体がめんどくさい。

 僕の少年時代、焼き芋を食べるためにはまず近所の農家による焚き火に遭遇する必要があった。遠目に橙の輝きを発見すると、大急ぎでさつまいもとアルミホイルを両手いっぱいに抱えて走り

「おじさん、これ焼いてよ!」

 とおねだりせねばならなかったのだ。燻るわらを見つめてようやく辿り着いた焼き

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凍てつく夜にはかまたまうどんを

凍てつく夜にはかまたまうどんを

 氷雨が降り注ぐ午前一時。暖房を切った凍てつく部屋で、ひとり中年男性が腕を組んで白い息を吐きながら立ち尽くしていた。僕だ。明日は休みだから夜更かしでもしようと思っていたが、どうにも仕事の疲れからか早々に寝入ってしまった。

 寒さと空腹が身を絞っていくが、今から外出するのも億劫だし、この時間にカップ麺というのはたるんだ体を見るに我慢したいところではある。

 そうだ、かまたまうどんだ。昔イシヤマア

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松屋の豚汁と、おまけの牛めし

松屋の豚汁と、おまけの牛めし

 さんむい。今年は暖冬かもしれないですね、と言った気象予報士のほっぺに冷え切った手を当ててやろうかと恨み節と共に僕はひとり街を歩く。

 夜ふけの街並み。するどく冷えた冬風が我が物顔で踊る時、僕はいつも牛丼チェーン店の松屋へ避難する。丼ものはなんだっていい、大事なのはそう「豚汁」だ。

 松屋の豚汁はうまい。というかデカい。どんぶりと同じサイズの腕になみなみと注がれている。到着したらいそいそとたっ

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手ちぎりキャベツと豚バラ肉のお鍋

手ちぎりキャベツと豚バラ肉のお鍋

「手ちぎりキャベツと豚バラ肉のお鍋」

 寒くなると鍋が食べたくなる、とはよく言うが僕の場合は作るのがめんどくさくなると我こそが、と鍋が台所から飛び出してくる。なのでつまりは年がら年中寒かろうが暑かろうが鍋は出現する。

 なかでも一番頻度の高い鍋料理はタイトルにある通り、ふたつの材料がメインのあまりに簡素なものだ。これが非常にうまいので紹介しよう。

 材料はキャベツと豚バラ肉。おおかたこれだけ

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