武田 緑|学校DE&Iコンサルタント

学校におけるDE&I(多様性・公正・包摂)をテーマに、研修・講演・執筆、イベン…

武田 緑|学校DE&Iコンサルタント

学校におけるDE&I(多様性・公正・包摂)をテーマに、研修・講演・執筆、イベント企画、現場への伴走サポート、教育運動づくりをやっています。DE&Iのためには現場のエンパワメントが必要なので、教職員の仲間と共にNPO法人 School Voice Projectもやっています。

最近の記事

痛みや怖さを見せ合うことから何かが始まるのかもしれない。「北フェス」でデンマークの教育の話をして考えさせられたこと

先日、北海道で小学校山田洋一さんが長年やっておられる教育研修サークル「北の教育文化フェスティバル(北フェス)」に呼んでいただいて、デンマークの教育の話をしてきた。テーマは「デンマークの教育とウェルビーイング」。 前半はスライドに沿って私が話をし(とはいえ途中で山田さんから質問やコメントが飛んでくる感じ)、後半は山田さん中心に、参加者の皆さんから感想や質問をもらっておしゃべりするという内容。今回は特に、このデモクラシーの4ステップの話がメインになったかと思う。 ざっくりいう

    • 学校DE&Iって何?多様性・公正・包摂に向かうために共有したい観点とアイデア

      少し前に、これからは学校DE&Iを自分の主要テーマとしてやっていきますという宣言をしました。 自分が選んだ「学校DE&I」というテーマに関して、学ぶ→考える→発信する(input→output)のサイクルを強化していくことで専門性を高めていきたいので、これからはインスタグラムとnoteで、がんばって発信していきたいと思います。 DE&Iって?改めて説明すると、DE&Iというのは、多様性(Diversity)、公正(Equity)、包摂(Inclusion)の頭文字を組み合

      • 不登校を語る際って落とし穴がいっぱいあると思う・・・少し整理してみた。

        不登校を語るのはほんとに難しい・・・。複雑な現実があるし、ちょっと間違ったらはまってしまう落とし穴も多いし、議論のプロセスで誰かが傷ついてしまうリスクがとても高いから、心理的安全性が担保されないと建設的な議論・対話は進まない。なので、「エンタク」でなら深められるかな・・・と思って、試み始めているところ。(こういう話をしたい人はぜひ入ってきてください) 落とし穴①「不登校は不幸じゃない」だけを発信すると現実にあるしんどさが覆い隠されてしまうし、支援が要らないという誤解を生む部

        • 想像力を高めるために必要なのは、心がけではなく、学びと知識と出会いだ

          誰もが過ごしやすい場をつくっていくためには一人ひとりが想像力のアンテナを高めることが大切。想像力は心がけでは高まらない。想像力を高めるのは「学び・知識・出会い(input)」。これが増えるとマイノリティの存在や困難に気づきやすくなるし、無意識のバイアスへの自覚が生まれ言動が変わる。 配慮ある言葉を使い、差別を放置しない姿勢を示している人には、相談やカミングアウトが集まってくる。それはさらに(input)が増えることでもあるので、その人の想像力はさらに高まる。現場を見ていると

        痛みや怖さを見せ合うことから何かが始まるのかもしれない。「北フェス」でデンマークの教育の話をして考えさせられたこと

          デンマーク滞在中に感じている日本にもほしい3つのもの【=時間・信頼・共有ビジョン】

          デンマークにいながら、ずっと日本の社会と学校のことを考えている。 参加メンバーのみんなや、 コーディネーターのさわひろあやさんと、 ずっと日本のことをしゃべっている。 デンマークだって楽園ではないが、 「これは日本にもほしい」と切実に思うものがある。 それは、時間、信頼、共有ビジョン。 ①時間 「自由時間・自分時間・市民としての時間」がデンマークでは明らかに長い。 4時に仕事を終えた後は家族や大切な人と過ごしたり、コミュニティ活動に参加する。ホリデーが多く、長い。

          デンマーク滞在中に感じている日本にもほしい3つのもの【=時間・信頼・共有ビジョン】

          『〈寝た子〉なんているの?見えづらい部落差別とわたしの日常』を読んで考えたあれこれpart1

          BURAKU HERITAGEという有志のグループで、 一緒に活動している、友人の上川多実ちゃんのエッセイ本が出た。 私と多実ちゃんは、同じ部落ルーツ当事者であるという点、部落解放運動の影響下で育ったという点は共通している。私は大阪の部落で、多実ちゃんは東京の部落ではない地域で育った。この違いはとても大きい。非常に雑にまとめると、①地域において被差別の立場を持つ子どもの育ちを支えてくれるコミュニティがあったかなかったか、②身近な生活圏の中に部落および部落差別が存在していると

          『〈寝た子〉なんているの?見えづらい部落差別とわたしの日常』を読んで考えたあれこれpart1

          教育ファシリテーター → 学校DE&Iコンサルタントへ 【肩書き変更のお知らせとその理由】

          これまで名乗ってきた肩書きについてフリーランスで仕事・活動していると「自分は何者なのか」「何屋さんなのか」という問いに常に向き合わざるを得ません。既存の職業名ではやっていることを表せないため、自分で自分の職業に名前をつけることになります。私に関して言えば、最初は教育コーディネーターと名乗り、ここ数年は教育ファシリテーターと名乗ってきました。ファシリテーターとは、私なりの整理としては「"思考・表現・交流"を促進する/容易にする人」のこと。 コーディネーターというのは「物事がう

          教育ファシリテーター → 学校DE&Iコンサルタントへ 【肩書き変更のお知らせとその理由】

          SNSでモノを言うことにもう一度挑戦するために、SNS発信の何がしんどくなってしまったのか考えてみた。

          SNSでモノを言うことが年々怖くなっている自分がいる。けれど今年は、それを乗り越えて、もう少し感じていること、考えていることを言葉にして外に出していこうと思う。 と言うのも、自分が今最も力を入れてやっているSchool Voice Projectの影響力を高めたいと思ったときに、理事で呼びかけ人である私自身の発信力を高めることが、そのためのわりと大きな要素であろうと思ったから。 昔は、特に学生時代なんかは、頭の中の整理をするための場所としてSNSを使っていた。特にTwitt

          SNSでモノを言うことにもう一度挑戦するために、SNS発信の何がしんどくなってしまったのか考えてみた。

          Webメディア「メガホン」に込める、学校がボトムアップで変わっていくことへの希望

          学校現場の声を見える化し、対話の文化をつくろうとしている私たちの活動、School Voice Project。1000万円というどデカい目標のクラウドファンディングを、たくさんの人の思いに支えられてどうにか達成し、無事にキックオフしてからちょうど1年が経ちました。 学校現場の声を集める教職員Webアンケートサイト「フキダシ」を開設し、この1年間、30以上のアンケートを実施。集まった現場の声をもとに、学校の働き方改革や教員不足の問題、研修システムなどについて、議員や行政機関

          Webメディア「メガホン」に込める、学校がボトムアップで変わっていくことへの希望

          「そんな校則おかしいだろ」と思う大人の人に、"今の社会"を変えていくことも、ともに引き受けてほしい。

          ※この記事はあくまで個人としての考えを綴ったものであり、所属団体を代表するものではありませんので、あらかじめご了承ください。※ 都立学校が、地毛を黒髪に染めさせることやツーブロック禁止などの校則について、4月から全廃されるそうです。こちらのニュースを見て、少し、モヤモヤとしていました。 まず、大前提として、私は下着の色をチェックするとか、地毛が明るい色なのを黒髪に染めさせるとか、人権侵害に他ならない、「マジでありえん」と思っています。ツーブロック禁止も、ポニーテール禁止も

          「そんな校則おかしいだろ」と思う大人の人に、"今の社会"を変えていくことも、ともに引き受けてほしい。

          学校現場の声を見える化して、社会に届ける。School Voice Project クラファン&ユーザー登録始まりました!

          自分のnoteに書きそびれていたことに気が付き、急いで書き始めた22:30。以前、ここでも、記事を書いていた、学校現場の声を集めて見える化するオンラインプラットフォーム「School Voice Project」がいよいよ、本格的に動き始めました。 ▼以前書いた記事はこちら School Voice Projectは、学校をよくしていくためのヒントが詰まっている「現場の教職員の声」をオンラインアンケートプラットフォームを通して「見える化」し、各学校が参考にできるか

          学校現場の声を見える化して、社会に届ける。School Voice Project クラファン&ユーザー登録始まりました!

          【教職員の皆さんへ】学校現場の声を見える化し、対話の文化をつくるオンライン・プラットフォームをつくります。

          私が教育にかかわる理由 「自分を大人だと思う」29.1%、「自分の国の将来がよくなる」9.6%、「自分で国や社会を 変えられると思う」18.3% これは2019年に日本財団が9カ国の18歳を対象に行った「社会や国に対する意識調査」における、日本の回答割合です。ここでは細かくは言及しませんが、いずれの項目も、他の8カ国と比べても、顕著に低いと言える数字になっています。 私は、大阪で人権教育の盛んな地域で、被差別マイノリティの当事者として育ち、小さな頃から「この社会にはおかしい

          【教職員の皆さんへ】学校現場の声を見える化し、対話の文化をつくるオンライン・プラットフォームをつくります。

          ウポポイ訪問をきっかけに、やっと学びの入り口に立てた感覚。アイヌのこと、これからもっと知っていきたい。

          少し前に、ウポポイ行ってきた。(水曜日のカンパネラの歌でCMやってるの、みたことある方もいるんじゃないでしょうか。) 新しいミュージアムができたこの機会に、そろそろちゃんとアイヌのことを学ぼうと思ってのこと。現地に行く、というのは自分の学び方としてはすごくいい。その土地に身を置くと、その土地に関することを学ぶ力が湧いてくるような気がする。その土地に身を置くからこそ、感じることがある。 ウポポイ(民族共生象徴空間)とは?ウポポイは、民族共生象徴空間と称され、アイヌの歴史や文

          ウポポイ訪問をきっかけに、やっと学びの入り口に立てた感覚。アイヌのこと、これからもっと知っていきたい。

          数年ごとの開催だった『エデュコレ』がオンライン化!自宅に居ながら"多様な教育"とつながる学びの場をあなたに。

          そもそもエデュコレとは・・・? エデュコレは、2009年に初めて大阪で開催して以来、数年ごとに開催してきたリアル(オフライン)での教育関係者のための大規模イベントです。 学校・NPO・企業など多種多様な団体がブース出展と、教育現場の第一線で活躍するゲスト同士の対談企画「トークセッション」、様々な立場で教育や子どもに関わる方々の話を少人数で対話しながら聞ける「ロールモデルトーク」、出展団体などのプログラムを実際に体験できる「ミニワークショップ」など特別企画から構成されていて、

          数年ごとの開催だった『エデュコレ』がオンライン化!自宅に居ながら"多様な教育"とつながる学びの場をあなたに。

          学校での感染対策に関する教職員・保護者アンケートの結果のご報告

          全国の多くの自治体で学校が本格的に再開し、withコロナの学校生活がスタートしています。 先日、各学校でどのような対策が行われているのかを可視化し、それについての教員や保護者の意見を知りたいと考え、【保護者・教職員向け】学校等での感染防止策に関するアンケートを実施し、99名の方にご協力いただきました。以下、アンケートの中の「ご自身の勤務校やお子さんの通う学校におけるコロナ感染対策で「“なんとなく"で科学的根拠が薄いのでは...?」「本当に要る?意味ある?」「子どもや職員に負

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          デンマーク首相の若者にむけた「ありがとう」(感銘を受けて文字起こししました)

          ちょっと泣いてしまった。 こういうことを大人が子どもや若者に言える国にしていこう。   感銘を受けたので、文字起こししました。    ↓ ↓    👇🇩🇰 デンマーク首相の若者にむけた「ありがとう」   "親愛なる皆さん 今この時期、楽しみにしていたのにできないことがたくさんあります。 そして、たくさんの若いあなたたちこそ、たくさんの楽しみができなくなっています。 最も大切な友達をハグできるように 友達みんなをハグできるように。 楽しいパーティや夜通し踊り明かすことや コンサートに行くこと。 これらがあなたたちにとってどんなに大切か どんなに特別なことか私にもわかります。 あなたにとって人生で初めての 経験になるかもしれない多くのこと。 初めてのロスキレ(ロック)フェスティバル。 ひょっとしたら初めての試験。 ひょっとしたら初めての恋。 ノルウェーの健康大臣がとても すてきなスピーチをしました。 あなたたち若者について彼が言ったことは とても美しく、そしてそのとおりです。 若い時の夏は、 その時一度しか存在しないのです。 何かを失ったのであり、 ーよくわかりますー とりもどすことは、できないのです。 いつもの春と同じように みんなで楽しむのではなく あなたたちの多くは家の中にいて 大切な友人のたぶん何人かにしか会えませんでした。 そしてこれからくる夏、あなたたちがとても待ち望んでいるいくつかのことは、たぶんキャンセルされたかもしれません。 でも私たちは、最善を願いながら、より明るい未来に向かっています。 少しずつ少しずつ、私たちは感じ始め あたりまえの日常が戻ってきているのがわかるでしょう。 たとえたくさんのことが 昔と違っていてもです。 多くの若者がまた学校に行き始めました。 以前とは違った形だけど、よりたくさんの友達と会えます。 あなたたちのうちの多くは、喜んでいると思います。 だんだんとまた普通の毎日が戻ってきていることを。 今夜、私はあなたたちに伝えたいのです。 あなたたちは自分たちを誇りに思っていいということ。   私たちは誰もが理解しています。 今、歴史的変換期を体験しているということ。 デンマークをおそったスペイン風の流行から100年たち そして第二次世界大戦以来私たちの社会は 我々が乗り越えてきたような深刻な危機は体験していません。 ちなみにまだ変換期は続いています。 あなたたちは若くしてこの歴史的な時を経験しています。 今この時、周りの人との距離が離れているにもかかわらず、みんなが一緒にいるのだという強い思いが私たちの間に広がっています。 そして私たちは感じています。 私たち誰もが互いにしっかりつながったコミュニティの一員である必要を。 デンマークはあなたたちを必要としています。 そしてあなたたちは、その責任をうけとめてくれました。 ありがとうございます。 若い自分たちはコロナウィルスに感染する恐れを感じていないのに、責任を果たしてくれました。 あなたたちの想い・責任感が、あなたたちの努力を特別なものにしているのです。 あなたたちの我慢ーわかっています。今までも、そして今もー あなたたちが自分自身のために我慢しているのではないことを。 他の誰かのために我慢していることを。 人生の殆どが未来に存在するあなたたちは、守ってくれたのです。 自分の人生の大半をすでに過ごしてきた人たちを。 あなたたちの祖父母、曾祖父母、 同時にあなたたちは、友達や兄弟姉妹や、従弟など 持病を持っているかもしれない人々、 コロナに罹っては危険な人たちを守ってくれています。 違う言い方をすると、あなたたちは市民としての責任をはたすことで、命を救っているのです。 だから私たちはあなたたちに伝えたいのです。 私からの感謝を。私の心からの感謝を。 このあなたたちの姿が、 私たちを安心させてくれます。 私たちの社会には若い世代がいるのだということ、 誠実に責任をはたす若い世代が。 このことが私たちみんなの将来に 希望を与えていると思っています。 私たちは歴史を創っているのです、今。 お互いを守ることで。   私たちはうまくやっていけます。 いろいろなことは、またうまくいくようになります。 だからみなさん本当にありがとう。   私たちはあなたたち若者を誇りに思っています。 そして、あなたたちはわかっているかな? あなたたち自身も、自分たちを誇りに思っていいことを。"

          デンマーク首相の若者にむけた「ありがとう」(感銘を受けて文字起こししました)

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