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就職活動という名の小旅行

以前の記事でも触れていた通り、私は数か月前に仕事を辞めており、しばらくニート生活をしていた。それが漸く終焉を迎えようとしている。気が付いたら半年以上まともに働いていなかった。お金や体調の問題で、これからどう生きていったらいいのか困った時もあったし、転職エージェントや職安とのやり取りに疲弊し、膨大な量の求人に吞み込まれそうになることもあった。正直途中で就活を休んだり、思考停止してドラマを観まくったり、もう就活ダルイと思ったり、そんなことも多かった。ただスピードはのろまだったかもしれないけれど、ここまで地道に就職活動を進められて、何とか納得感を持って働き口を見つけることができたと思う。何だかまだ就活が終わったという実感も達成感もないのが正直なところだけれど、やれるところまでやり切ったとは言える。とりあえず、人生の選択を中途半端にしなかった自分を褒めようかな。働いてみないと、この就活が成功したと言えるのかどうかはわからない。諦めなくて良かった!なんて手放しに言える状況にはない。だけど、この選択で良かったと思えるように、人生全体を楽しんでいきたいと思う。いつだって今を精一杯楽しみたい。それが今年のテーマでもある。

就活が終わったのも束の間、入社にあたって引越しをしたり、家を探したりしなければならず、やることが山積している。でも一旦一呼吸置くべくnoteを書いている。今の気持ちを少しでも書き残しておきたいし。

2・3月は時間もあったので、今後の人生の方向性を考えながらも、noteを沢山書くことに挑戦していた。就活に集中しようと切り替えてからは、noteを書くことはセーブしていたけど、また少しずつ再開していけたらと思う。お陰で下書きはメモで溢れ返っている。文章はナマモノでもあると思うので、過去にメモした文章は、何だか熟成され過ぎて違和感があったりする。でもせっかくだから、その下書きちゃん達に手を加えていくのも良いかもな、などと思っている。


しかし、こうして書いているとタイピングは楽しい。本当にストレス解消になる。最高。タイピングする楽しさだけで、今、書いている。



就職活動はストレスで溢れている。だけど書類が通って面接に行けるようになってからは、それなりにこの状況を楽しんで過ごせたと思っている。なぜならば、就職活動が小旅行のようになっていたからだ。今の住まいからは離れた場所を中心に就活をしていた為、そのようなことになっていった。
面接の為だけに移動し、宿泊し、一喜一憂して疲れを溜めてしまうことを避けたかった。だから少しでも心の余裕を持とうと、他の用事を無理矢理作ったり、フィルムカメラに御伴してもらって訪れた街を切り取ったり、美味しいものを食べたりしていた。

勿論面接には事前準備をして真剣に取り組んでいたし、緊張もした。人と話すのは得意なように見られがちだけど、本当は苦手意識があって、面接が終わるとドッと疲労物質が出る。本音と建前に苦しむ。本音で話さなければミスマッチが起きる。だけど本音がストレート過ぎれば、私はどこでも働けないだろうと感じていた。そんなことをグルグル考え、どうしたもんかと悩むことは多々あった。だから面接に伴う準備と振り返り以外の時間は、ゆったりとした気持ちで過ごせるようにしていた。

また移動は新幹線だけでなく、在来線も沢山利用した。JR東海の看板のフォントが可愛いなぁなどと思いながら、人や街並みの変化を感じて電車に揺られる時間を楽しんだ。

旧国鉄時代に使われた
「スミ丸ゴシック体」というフォント
JR東海にこのフォントが引き継がれたらしい

鉄道文字、多く深い‥‥!


そんなふうにして自分を癒しながら、「この街に住むかもしれない」という気持ちでよく街を観察した。同時に「面接でしか訪れることはないかもしれない」という気持ちも持ち合わせていたので、時間の許す限りその街を味わおうとした。
果たしてこの数か月で東海道を何往復したのだろうか。歌川広重を凌駕する絵が描けるのではなかろうか‥‥。もはや東海道はすべて私の庭だ。なんつって。冗談はさておき、どこに居ても私は私でしかないのだなと、そんな凡庸なことを痛感させられた。

二川宿は
東海道五十三次の33番目の宿場


他者から見れば、私の今回の就活はかなりゆるふわだったかもしれないなと思う。けれど、肩に力がガチガチに入るのが通常運転の私が、少しだけれど肩の力を抜いて活動できた期間だったかもなと思った。

人生の中ではエネルギーがまだ溢れている20代というこの貴重な時期に、仕事をしていない状態というのは、一生の内に今この時間しかないかもしれない。(というか、そうでないと困るよなと思う。)一人の時間を好む私にとっては、最高に快楽に溢れた時間だったし、ゆっくりじっくり自分と向き合うという、自分のペースを取り戻せた時間でもあった。このペースがあまりに心地良くて、ぶっちゃけこのままこの生活が続けられればいいのにとも思う。自分がどれだけ余白が必要な人間かというのを知れたことだし、働く時間は働く時間として楽しみながらお金を稼ぎつつ、自分にとって1番大切なことは何かを忘れずに、人生を歩んでいきたいと思う。

そして、今住んでいるこの街との別れが近いのかと、今更ながら実感している。辛く苦しい時も見守ってくれ、マイペースを取り戻す過程に寄り添ってくれた今のこの環境。東海道は私の庭、などとほざきながらも、帰る家があったから外にも出ていけたのだ。初めてこの地に降りたって1日足らずで決めたこの家は、とても快適な暮らしを提供してくれた。残りわずかとなったこの街での日々、心の中でお礼を言いながら、味わっていきたいと思う。




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