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突風のごとく駆け抜けた日本の夏を振り返る
準備できたよ!!と、我が家のボーイズが揃ってパンパンのリュックを見せにきたのは、出発の2ヶ月も前だった。中を覗くと、お気に入りの本やおもちゃがぎっしり。
極寒のシカゴを耐え抜いた春に、日本行きチケットを予約した。
夏になったら、またじいじとばあばのところへ行こうね、と話した日から、長いカウントダウンが始まった。小学校2年生と年中さん。昨年の楽しかった記憶をしっかり刻んでいたらしい。
いつも暮らすアメリカとはちがう、夏休みだけの日本体験。一年ぶりに会う祖父母や親戚たち。彼らにとってはスペシャルな時間だ。
あっというまに過ぎ去った日本の夏を切り取っておきたい。
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蚊
長男が蚊からボッコボコにやられた。こんな熾烈な戦いが待ち受けているなんて。
主に膝下の集中砲火。庭にいるときなら分かるが、玄関先に少し出ただけでも刺される。待ち伏せされていたのだと思う。きたぞ!がぶり。
アメリカに蚊はほとんどおらず、免疫がないせいか毎度でっかく盛大に腫れてしまう。がしがし掻くので出血し、悪化しないように包帯を巻いた。皮膚科に何度も通った。蚊を舐めてはいけない。
次男と私は一箇所、父母は無傷と、刺され跡だらけの長男が不憫すぎる夏。時に虫除けスプレーをくぐりぬけるほど彼の血はおいしいらしかった。
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日本の学校
そんな彼は、昨年に引き続き日本の小学校へ3週間ほど体験入学した。私の母校だ。以前より手続きが簡易化されていて、役所へ行かずとも一度出向いて簡単な書類を書くだけでOK。フレキシブルでありがたい。
シャイでクールな長男は渋っていたが、彼は腹を括って一旦受け入れると文句を言わない。昨年、幼稚園を終えたばかりの小1と比べて、小2ともなると友達の輪ができていて、あまり馴染めなかった様子。なんだか胸が痛かった。けれど、街探検したり、平和学習したり、アメリカとは違う学校の雰囲気はそこそこ興味深かったみたい。
オープンマインドな次男は、出発前も「またジャパンのスクールいきたい」と言っていたぐらいなので、初日から我が園ばりに堂々と通っていた。私の幼少期は長男タイプだったので、そのハートがとても羨ましい。
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疫病
地元に到着して、学校の手続きして、ほっと一息〜!!!と思ったらコロナにかかった。SNSでは言及せず、しれっと。他の人はどうかわからないが、私は「風邪を発症した瞬間」がわかる。ゾクリ。ふだんの様子と違うのは、そう感じた直後にみるみる体温が上がったことだ。
最高40.7度まで上昇。うっすら生死がよぎり始める。翌日に長男、翌々日に母が発熱。家庭内クラスター。父は「熱なんか出たらワクチン打った意味がなかろうが!」と37.5度辺りで堪えていた。気合い大事。次男だけがハツラツ元気だった。
ちなみに、翌週末はELLEGARDENのライブが控えていたため、16年越しの再会を前にくたばるんか、私…なんつう悲恋や…と思っていた。いやいやいや。
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豪雨
5日間の自粛期間を終え、みんな元気になった。よっしゃ〜巻き返すぞ〜〜〜と思ったのも束の間、豪雨で休校&休園。地元には大きな川があるのだが、水位が上がりすぎると一斉にお休みになるとのことだった。一体いつになったら家を出れるのか。
見慣れた街が水害で大変な状況になっているのをワイドショーで見ていた。幸い、親族や友人に被害はなし。疫病といい自然の猛威を前にすると無力さを思い知る。
夜中、寝付いてはカミナリの光と轟音で起きてしまうため、寝るのを諦めてスラムダンクを読み始めた。描かれていた青春は意外と短い間の出来事だったんだと気付く。情緒。
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ライブ
別枠すぎるので、あらためて書きたい。ぐじゅぐじゅに泣いた。時空が混線しつつ、ぐらりと人生が揺らいだ時間だった。
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風物詩
帰国する目的に子どもたちの日本語力向上はあれど、私は祖父母との触れ合いや、母国の文化体験をしてほしい気持ちのほうが強い。数年で帰任する家庭とは異なり、ずっとアメリカにいるせいだろうか。
ふだん海外の核家族で暮らす二人にとって、心を許せる相手が親しかいないという環境は、それなりに気が張るんじゃないかと思う。逃げ場がない。だから、無条件に甘やかされるってことを体感してほしいのだ。この時期しかないし、先も限られている。
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昨年ぶりの糸島は、朝早めにじいじと。父方のお墓参りと合わせて。10時過ぎると観光客でいっぱいになっていた。
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母方のお墓参りは山のほうなので、牧場にも行ってみた。暑すぎて動物たちまでたどり着けず。原っぱで遊ぶ。
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初めてのスイカ割りに花火。連日猛暑につき、海も川も行くには困難で、実家の庭や駐車場を活用しながら夏を楽しんだ。
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夕暮れ時、電車で都会のお祭りへ。ボールすくい、射的、盆踊りにライブ。汗だくの身体をかき氷で冷やす。
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ポケモン、ガンダム、ウルトラマン、ドラゴンボール、おしりたんてい、クレヨンしんちゃん、ドラえもんetc。日本のヒーローやアニメを存分に楽しむ。心に留ったものがあるといいな。
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ママのフレンド
なんでそんなにフレンドとごはん食べるの、と長男が言う。私の友達と会うときは基本的に「ごはん食べに行こう」と誘うので、彼らには目的が不可解らしかった。ごめんよ、ママたちにとってはごはん=お喋りなんだ。
今年も、noteのお友達に東京、福岡で時間を作ってもらった。昨年と違ったのは、子どもたちを連れて行ったことだ。正直、ちょっと緊張した。彼らは騒ぎ出すとアウト・オブ・コントロールだし、母として不甲斐ない姿を見られるのも怖かった。二人の名前、素の自分。
だけど、皆さん、とっても優しかった。子どもたちの柔らかいところにそっと触れるような、温かい距離の縮め方や思いやりに、私自身が癒されました(めちゃくちゃお騒がせしたのも事実)。
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日本、楽しかった?と聞くと、一点の曇りもなく「うん!!!」と答えるボーイズ。あまり人見知りや場所見知りをしない子たちなので、どこへ連れて行ってもごくごく吸収し、ひたすらに全力少年だった。
次々と目に映る新鮮な景色。エンタメやコンテンツの力。関わってくれた方々。
そうか、私は子どもたちに日本を好きになってほしいのだなぁと思う。願わくば、彼らが安心して過ごせる場所が増えますように、と。次は、夏以外の季節にも帰るのもいいね。
アメリカはもうすぐ新年度。夏休みをたっぷり満喫したので、しばらくこちらの生活をがんばる。
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最後まで読んでいただいてありがとうございます。これからも仲良くしてもらえると嬉しいです。