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【大公開】業務未経験者を採用して業務と会社を成長させる仕事術

Twitterでつぶやいていたことなのですが、思った以上に反響が強かったのでnoteの記事にまとめることにしました。


仕事術がもたらす3つの効果

今のところ導入してから実感しているのは以下の3点です。

1.採用対象範囲が広がる
人手不足の会社や業界は多いですが、未経験者や経験が浅い人が活躍できるのであれば採用対象者の幅が広がります。
採用対象範囲が拡大することは採用にかける時間削減と、採用後の業務への効果向上に繋がります。

2.即戦力を求める会社ほど効果が高い
業務遂行能力を強化することを目的とした仕組みやルールを導入することで、業務未経験者や経験が浅い人たちでも活躍できる環境を手に入れることができます。弊社で取り入れている仕組みやルール、手順は現在就業中の人たちでも活用することができます。

3.会社の業務が成長する
仕組みやルールは誰でも使えるようにしておくことが重要です。業務を遂行するプロセスが可視化されるため、改善サイクルを回すことができるようになります。業務プロセスが成長するということは会社そのものが成長するといっても過言ではありません。

仕事術で解消する事象と対象

今回は業務未経験者や経験浅い人たちが抱える日常的な問題を具体例として解消していきます。
熟練者や精鋭部隊であれば当たり前のように解消されていることかもしれませんが、会社の中は熟練者や精鋭よりも経験が浅い人たちの方が多いのです。効果対象範囲が広いことの方がルール化、仕組み化しやすいという側面もあります。事象の再現性が高いので、明日からすぐに導入することもできます。

本題に入ります。
業務未経験者や経験が浅い人たちに任せたタスクが遅延する時に高確率で以下の事象を抱えます。

【業務未経験者や経験が浅い人たちが抱える事象】
・わからないことがわからない
・他の人が忙しそうだから質問をするタイミングがわからない
・問い合わせ対応してたら作業する時間がなくなった

この事象は当事者に一切の悪気はありませんし、資質がないわけでもありません。やり方を知らないことが多いのです。
そして私たちが多く直面したのは「自分自身の能力/スキルが足りてないからこのような事象が発生する」と誤解していることでした。
能力が必要なタスクを経験が浅い人に任せても効率的ではないことは明らかですので、もし能力を無視してタスクを任せてしまっている場合は依頼者側から改善をするように行動してみてください。


弊社が設定した作業手順の公開

弊社が設定した作業手順は以下の通りです。

【スケジュールとPDCA編】
・1日の仕事の始めにその日の行動予定スケジュールを組む
・1日の仕事の終わりに予定通りに行動できたかを振り返る
・次の日にやる作業をセットしてから業務を終了にする

予定外、想定していない作業は熟練者でも絶対に発生します。
スキルの熟達度関係なく全てのメンバーが今日1日の仕事が予定通り進めてたのか、進めていないのかの検知できる状態になっているかが重要です。
日報制度を取り入れている会社は必ずチェックする仕組みを作りましょう。
例外的な動きが3日も連続で発生しているのであれば、作業の指示や依頼をしている人が改善をしなければなりません。
「作業者の能力が低いから」ではなく「適性のない作業者に無理な作業を振っている」ということを認識してください。

私が観測している限りではありますが「日報を取り入れているが効果が出ない」というケースの大半が日報を提出された側の人たちがチェックしていません。これはルールや仕組みではなく、単に形骸化している慣習になってしまっているので効果はありません。日報書くだけ時間の無駄という状況を自分たちで作り出していることに他なりません。
日報のチェックに何の能力も必要ありませんので、今日からでも出来る作業として実施してください。どうしてもチェックできないというのであれば日報という仕組みが適切ではありませんので、効果のある仕組みやルールを考えてください。


【作業の進め方/手順編】
・作業する前に関連するドキュメント類を読む
・わからないことが発生したら関連するドキュメント類を読む
・設計をしてから実装工程に入る
・作業完了報告を1つのタスクとして組み込む

業務未経験者はドキュメントを読んでいないことで「未知」を生み出すことが得意です。これについて「よく読めよ!」なんて熱烈に指導しても効果はありませんので、情報の接続についてのルール作りや仕組み化を行ってください。

ドキュメント読んでもわからないという状態はドキュメントの書き方が悪いと疑う方が成果物の質が向上しますし、そもそもドキュメントの読み方を知らない人に読んで理解しろって依頼をしている方がおかしいですから、ドキュメントの読み方を統一できるように動いてください。
これらをマネジメント側が行うことで改善に必要ことが弊社はわかるようになりました。

弊社の業務はシステム開発なので、プログラミングをしてシステムを作る必要があります。この仕事は「要件を定めて設計 → 設計通りに実装 → 要件通りに動作するか確認」ということをひたすら繰り返します。それぞれの工程が期待した通りに実行できれば問題はないのですが、大小問わずに日常的に問題が発生します。

業務未経験者が特に発生させる事象としては「設計をせずに作業を行うため、ゴールを見失い作業工数を費消する」です。タスク遅延した時に「なぜ時間がかかっているのか」と聞いてみると、大多数が設計工程を飛ばしています。理論でわかっていても実行ができず、予定や作業に影響が発生します。

この事象が発生することがわかっているので、我々は対処として「手順通り作業できるように仕組み化やルール作り」することを徹底しています。
設計をするのに必要な情報が足りてなかったり、設計書を見てみると指定した書式が使えないものになっていたりと。潜在している問題は様々ですが、これに手を入れずして作業が困難であることの解消は見込めません。
熟達者が担当したとしても無茶をしているだけで、属人化を招くことになり事業拡大の基盤を捨てることになります。


【不明なことを明確にする編】
・わからないことが出てきたらまず紙とペンで整理する
・15分で解決できないものは即エスカレーションする

人間が仕事を行う以上、わからないことは必ず発生します。これは経験の深さや能力の是非に問わず必ず発生します。
皆さんもわかりきっていることですが、経験が浅い人はわからないことを言語化するのが下手くそです。この下手くそなことに対して「もっと早く言って欲しい」みたいなことを指導しても時間の無駄です。
雑談などと言った当事者同士の日頃のコミュニケーションで汲み取ることがもしかしたら出来るかもしれませんが、コミュニケーションという属人化の権化みたいなものを業務に取り入れてる時点でマネジメント失格です。

経験が浅い人にはこれから理解しようとしているものを無理に言語化せずに、紙とペンで図や絵を交えながら描いてもらっています。
描いているうちに理解できればそのまま作業を続けてもらいますし、理解できない場合は描いた紙ごと上位者に質問してもらいます。
色々と手法試してきましたが圧倒的に情報伝達と判断が早くなります。

加えて弊社ではルールとして15分考えて、調査してみてわからない作業についてはすぐにエスカレーションしてもらっています。
経験の浅い人の「何がわからなかったか」はどうでも良いんです。「わからないから進んでいない」という状態を報告してもらうことが重要で、報告された人が、依頼したタスクを巻き取るか、一緒に情報整理の時間を取るか、ドキュメントの更新を行うかなどの次のアクションの選択肢が出てきます。

わからないことに会社としてどう取り組むかを明確にしておきましょう。


なぜルールや作業手順を作るのか

会社と事業のため
会社はお金や時間のようなリソース/資本を使って、資産を増やすことが目的の組織です。どんな事業であっても売上や利益が資産から産み出されている状態を作ることが会社の目的です。
皆さんの頭の中に存在するノウハウやご経験と同じように、ルールや作業手順は会社にとって無形の資産です。この無形資産を作って育て、そこから売上と利益を作り出すことが会社の存在意義です。

無形資産と言えど明文化されたルール、手順は触れるようになります。
明文化されたルールと手順によって構成された業務プロセスは数値で結果を生み出します。明文化、数値化された資産はどのようにメンテナンスをやったら良いかを効果的に考えることができるようになります。
一部の人には冷たく聞こえるかもしれませんがビジネスにとって重要なのはコミュニケーション能力やリーダーシップではなく、生産や管理のプロセスと、そこから産み出される数値を増減させることです。

評価制度の中身と採用前の準備
日本企業ではコミュニケーション能力やリーダーシップが評価されることが多いです。確かにコミュ力やリーダーシップは無いよりも有った方が良いものではありますが、評価の主体がこんな属人化されているものを根拠にしていたら再現性がなくなります。

私はお客様のお仕事を請け負う際に、炎上プロジェクトの鎮静化に入ることがあります。ヘルプする度に「この会社は炎上の火消しをする人が評価されるんです」という言葉を耳にします。
何度火消ししても再炎上してしまう現象に興味を持った私が独自に調査すると、炎上体質の会社はルールや手順、仕組みが共通化されていない場合が多いことがわかりました。

共通化されたルールや仕組みがありませんので、当然採用もうまくいきません。ミスマッチが多発して人を採用するそばから離職していく、交代が激しいからノウハウやナレッジが蓄積しない。単純に人を増やしたからといってすぐには戦力にはならないということは冷静に考えれば理解できます。

戦力を採用できる会社になるためには採用する前の準備が必要不可欠なのです。ルールや仕組みがあれば、業務未経験者や経験が浅い人でも戦力化することは可能です。
これを続けることで経験が浅い人もいつの間にか頼れる存在になります。


【おまけ】すぐに導入できなさそうな場合

外部から買ってきてください。
内部で生成できないことが明確であれば、外注して取引先から購入したものを導入するのが最も効果的です。無駄に社内政治に巻き込まれる必要はありません。
お金は後でいくらでも稼ぐことはできますが、時間は後で稼ぐことはできません。毎日無駄に払っている時間があるのであれば、外部から買うための時間として費消しましょう。

弁護士のような専門家や、我々のような専門業務遂行のプロは多くが業務委託契約という形式のサービスを提供しています。
自宅の引っ越しの時と同じように、細かい口を挟まずにプロに全部お任せしていただき、手に入れる成果物と同じように業務プロセスも手に入れてください。
我々としてもお客様と同じようなルールや仕組みでお仕事させていただけるのは非常に効果的なため、両者にとって得となり大変ありがたいことなのです。



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