真冬ジャム

写真を撮ったり、いろいろ。

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最近の記事

ブログ更新しました。学園天国 http://mafuyujam.exblog.jp/23482384/ 見に来てね!

    • MARMALADE

      赤いコンバーチブルは、青い空や青い海が、よく似合う。 さえない毎日、ってフレーズはよく聞くし、実際に俺はさえないんだけど。今朝の上司の卑屈な表情と、「おまえ、まだ仕事が分かってないな」とか言う、つまらなくて、ありふれた皮肉のフレーズを聞いて、さえないよな、と思った。みんな、さえない。 なんか、さえたことがしたいと思った時に、消費したい衝動って、これなんだろう。征服欲だろうか。 欲しい服は、本当に欲しいのかわからない。俺の征服欲は、明日の朝食のためのクロワッサンに姿を変え

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        • 桑田さんから電話がありました

          昨日、サザンのニューアルバムが発売されましたね。 昨夜、桑田さんから電話がありまして。 ニューアルバムの3曲目『はっぴいえんど』という曲が、私の書い『 海とボサノバ』という短編のアンサーソングだというご連絡を頂き、なんだか感激しています。 桑田さんとのお付き合いは、もう20年以上になります。 鵠沼海岸で早朝に散歩していた私の前を、レコーディングで鎌倉のスタジオに来ていた桑田さんが通り過ぎて行きました。早朝の海岸には、私と桑田さんしか居ませんでした。 思わず、わず、わ

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          花粉症

           春が待ち遠しい季節になると、私の隣人の部屋から盛大なくしゃみの音が聞こえる。  カレンダーを見ると2月はもうすぐ終わりそうだった。くしゃみの音とカレンダーの数字が私の中で一致したとき、薄い壁の向こう側に住む隣人がもう一つ盛大なくしゃみをした。  隣人とは言っても、大都会東京の安アパートの隣人のことなど、詳しくは知らない。アパートの廊下ですれ違う時に見かけたので、体の大きな気弱そうな男ということだけは知っている。ほとんど言葉を交わしたことなど無いのに、生活サイクルだけは何

          聖夜

           石油ストーブの青い炎が揺らめく。私はすっかり暑くなってしまい、ウールの白いタイツを脱いでしまっていた。いつも夕方になると寒がる私を「タイツを脱いでしまうからでしょ?」と言って母は笑った。  父は仕事から戻ると革の鞄を玄関に置き、街灯を点けに行くと言って家を出た。  今夜、街灯の明かりを点ける係は我が家の番だからだ。居間でテレビを見ていた私は、父が玄関の扉を閉める音を聞いて慌てて外に飛び出した。水色のウールのセーターと花模様のゴブラン織りの厚手のスカートと裸足にボアの付いた赤

          久しぶりに投稿しました。今回は性描写が過激なので途中から有料です。100円です。物語はディープに卑猥に、そして哀しく展開します。でも読後感は爽やかです。 一年前に書いた作品です。是非、購入して読んで下さい。よろしくお願いしまーす。

          久しぶりに投稿しました。今回は性描写が過激なので途中から有料です。100円です。物語はディープに卑猥に、そして哀しく展開します。でも読後感は爽やかです。 一年前に書いた作品です。是非、購入して読んで下さい。よろしくお願いしまーす。

          弾性率

           風を蹴っ飛ばすように歩く。空気を切り裂くようにアスファルトを蹴る。  秋の夕方の空は群青色で金星が遠くに光る。炭色の雲が空いっぱいに千切れて、群青色を横切る。私はアスファルトの上から街並みより少し斜め上を見つめるように歩く。長い坂道を登っている脚に力がかかる。そのせいで空に視線を送っているような気もする。  でも、本当は違う。この坂を登りきった十字路を左側に曲がった突き当たりに李理央さんの工房があるからだ。坂を登りきらなければ李理央さんの工房の灯りが見えない。私は空を見

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          唐菖蒲

          ※最後まで無料です。 空気が動かない。空を見上げても重たい水蒸気を含んだ雲に覆われている。 時折、雲の隙間から太陽が光を反射させてアスファルトに熱を送り込む。熱を吸収したアスファルトが、空気を熱くする。熱くなった空気は、あたりにある水分とともに上空へと還ろうとする。 その熱い透明な塊が、私の頬と重なる。首のあたりから汗が滴る。汗を拭うタオルも湿っていて、拭うことに意味などなくなっている。 数メートル先の、グラジオラスの赤い花の群れ。その生垣の向こうで、彼が待っている

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          家族の風景

          合鍵をドアノブに差し込む。鍵を廻そうとすると、少し圧力がかかり重くなる。そして金属のこすれ合う音がして、滑らかに廻った。鍵を引き抜くと、誰もいない家の玄関の扉を開ける。 誰もいるはずがないのに、「お帰りなさい」、母親の声が聞こえる気がする。 「ただいま」とつぶやくように言うと、カバンは玄関のマットに置きっぱなしで、洗面所に向かう。 適当な手洗い、母親に見つかったら絶対に「もう一度洗い直しなさい」と言われるだろう。今はそれよりも喉が渇いてる。 冷蔵庫のドアを開ける音が、誰もい

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          子守唄

          ※無料で最後まで読んでいただけます。 母の声が階下から聞こえてくる。 「紗英ちゃん、起きなさい。朝ご飯よ」 時計はまだ八時だ。 カーテン越しの朝の光は、晴れているのか曇っているのか、わからない。私の部屋の窓が西向きで、隣の家と壁がつきそうなほど隣接しているためだ。 日曜日の朝に、外の天気を気にしても仕方ない。用事があるわけでもない。 でも、今日がよく晴れた日なら、一日は憂鬱でしかない。こんな退屈な日曜日を過ごすのは、私だけだと思ってしまうから。 私のそんな気持ちなどお構い

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          パラレルスペック

          ※最後まで無料で読んでいただけます。 ここ数日、雨が降り続いている。 街の湿度がどんどん高くなり、俺のアパートの壁紙も水分を含んで質量を増す。ベッドの布団も、俺の汗と湿気を纏って重たい。 もう昼過ぎだというのに、俺はこの重たい布団から出る気がしない。頭の片隅で一限の心理学の講義に出席しなかった事を思う。確か、先週も休んだ。なんであの講義を一限目に取ったんだろう、あの教授が出席にうるさいのも聞いていたのに。 四月から始めた塾のバイトのことを思う。バイト終わりの時

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          海とボサノヴァ

          真夏だった。 鎌倉駅から由比ヶ浜までの海沿いの道を、夫と二人でおしゃべりをしながら歩いた。おそらく私たちは仲の良い夫婦だと思う。毎日毎日、二人でおしゃべりしているのに、二人の話題は尽きない。 海風が波を越えて私たちを包み、吹き抜けていく。涼しげな風は暑さを忘れさせてくれる。 「鎌倉に住みたかったね」 さいたま市に住んでもう何年も経つのに、鎌倉に行くと、いつも二人でそんな話をする。 夫は神奈川県の出身なので、遠くなってしまった横浜や鎌倉の街のことをよく嘆いている。起伏の

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          紫陽花の季節

          紫陽花の花言葉に、「移り気」や、「浮気性」というのがある。 紫陽花には、他にもたくさんの花言葉があるのだけれど、この言葉は特に印象に残っている。いいえ、本当はこの2つの以外の花言葉は覚えていない。 私が学生だった頃、あまり美しいとはいえない2,3歳年上の女性がいた。彼女とは、同じアルバイトをしていた。 ある日、探していた本を彼女が貸してくれると言うので、彼女のアパートを訪ねた。彼女はアイスコーヒーとともに、その本をテーブルの上に出した。テーブルとベットと本棚、それ以外、何

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          ISETAN-TAN-TAN

          新宿伊勢丹の屋上には、小さな緑地公園がある。 剪定されて綺麗に刈り取られている木々の奥に、回廊のように緑が連なり、その先に花壇がある。 老舗百貨店の伊勢丹らしく、洗練された花々と、その間に植え込まれた緑の妙に感嘆する。 平日の屋上は、小さな子どもを連れた若いお母さんや、楽しげに語り合う年老いた女性たち、ガーデニングを熱心に眺める男性など。みな、思い思いに過ごしている。 そして、エレベーターの脇にあるステンドグラスや壁の意匠は、伊勢丹の歴史を感じさせる美しい佇まいで、一見の価値

          ルオー

          本郷にある、レトロな喫茶店ルオーは東大の正門のすぐ近くにある。 二階の窓際のこの席から、東大生の群れがよく見える。この店の主な利用客は、東大生だ。 学生が集まれば、議論が始まる。少し前なら当たり前の光景なのだが、その光景までも懐かしく感じた。 外資系のコーヒーチェーン店でタブレットを必死に操る学生を、見慣れてしまったせいかもしれないし、郷愁かもしれない。 たまたま今日は、フルオートのデジタルカメラではなくマニュアルのフィルムカメラにモノクロフィルムを入れてきた。 この