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ISETAN-TAN-TAN

新宿伊勢丹の屋上には、小さな緑地公園がある。
剪定されて綺麗に刈り取られている木々の奥に、回廊のように緑が連なり、その先に花壇がある。
老舗百貨店の伊勢丹らしく、洗練された花々と、その間に植え込まれた緑の妙に感嘆する。
平日の屋上は、小さな子どもを連れた若いお母さんや、楽しげに語り合う年老いた女性たち、ガーデニングを熱心に眺める男性など。みな、思い思いに過ごしている。
そして、エレベーターの脇にあるステンドグラスや壁の意匠は、伊勢丹の歴史を感じさせる美しい佇まいで、一見の価値がある。
私は、数千円のオーストラリア産のボディーソープを購入して、
屋上に来た。別に新宿伊勢丹ではなくて、渋谷でも青山でも丸の内でも、その茶色いボトルに入ったボディーソープは購入できる。それでも、新宿伊勢丹に訪れてしまうのは、販売員の態度が洗練されているためだ。優雅な接客は、たかかがボディーソープに何倍もの付加価値を付けてくれる。私は、大切に包まれた、そのボディーソープの袋を丁寧に持ち、微笑む。ただそれだけのことで何倍もの喜びを感じる。
新宿伊勢丹は、一流であることのこだわりが細部にまで行き届いている。
その洗練には、学ぶことがたくさんある。

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