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芳賀繁『失敗のメカニズム』から得た知見

 『失敗のしくみ』に続き、同じ著者の本を読んでみた。『~しくみ』とは異なる内容について、感想を述べてみよう。

帰属性と行動性で四分類した運転タイプ(事故の起こしやすさ)

「外的帰属」対「自己帰属」の態度を一軸に、もう一軸を「行動性高」対「行動性低」にとって組み合わせると、四つの運転タイプがあらわれる。
 行動を抑制できて、責任を自分に帰属するタイプは最も安全なドライバー、行動性が高く、自分以外に責任を押し付けるのが最も危険なドライバーである。行動性は低いが、原因帰属を外に向ける人は、小さな事故を反復しがち。よく反省するが行動性の高い人は、運転操作を誤って事故を起こすことに注意しなければならない。

本書63ページより

 「外的帰属」と「内的帰属」というのは、責任をどこに求めるかということ。外的帰属は自分以外に原因を押し付けやすく、内的帰属は自分に原因を求める。
  もうひとつの軸である「行動性」とは何か。行動性が高いとは操作が荒かったり、誤りが多いことをいう。つまり事故の起こしやすさにつながる。
 帰属は内的である、つまり安全意識や態度はよいが、操作の誤りをしやすいという人もいる。こういう人は運転操作の誤りによる事故発生の可能性が高いという。「穏やかで愛想もよく、いい人なんだけど」クルマの事故を起こしやすいの人がこのタイプであろう。
校正者でいうなら、「帰属性」については、みな「内的帰属」のタイプだと思う。ミスの原因が自分以外にあると思うようなら、この仕事には就けない。だが、日常生活で操作の誤りをしやすいかどうかはわからない。
 優秀な校正者であっても、日常生活でミスが多いということはありそうだ。とくに優秀でもないふつうの校正者であるわたしはどうだろう。ミスもふつう程度だろうか。

ミスには「ボケ型」と「ドジ型」がある

 マンチェスター大学のジェームズ・リーズン博士は、学生たちが日常生活で犯すうっかりミスの種類と頻度を多変量解析した結果、「記憶」因子と「注意」因子の二つを発見した。記憶因子と関係が深いのは、何かをやり忘れたり、置き忘れたりするミスで、注意因子は動作の注意深さに関係するようなエラーに見いだされる。
 記憶因子の得点が高い人はオミッション・エラー(「やり忘れる」失敗)が多く、注意因子の得点が高い人はコミッション・エラー(「やってしまう」失敗)が多いことになる。戦車を「ボケ型」、後者は「ドジ型」といえる。

本書76ページより

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