刃物事件から考えてみる 〜経験者しか知らない非常通報・ドアコック・乗務員の安全教育とは〜
列車は不特定多数の人が利用します。わたしのnoteでもそれにまつわるトラブルは様々と書いてきましたが、2021年の秋には。
都内でとんでもない事件が発生してしまいました。
鉄道では日々様々な事が発生しています。それに対してどのように対応するか、乗務員も訓練こそしますが、やはり長年の経験がものをいう世界です。
どうしても、普段と違う状況に突発的な対応を求められますから、慌てるなというのも難しいのですが、ベテランほど落ち着いて的確な対応をするものです。
しかし、そんなベテランでもどうにもならない事態が2021年は都内私鉄で連続発生してしまいました。
日程も近い日で、刃物を使用した事件が連続して発生した事について、考えてみたいと思います。
ニュースで大きく報道されましたので皆様もすでにご存知でしょう。
まず1つ目の事件。
小田急線での刺傷事件です。
これは犯人が、車内の女性をいきなり牛刀で切りつけ、その後も刃物を振り回して最後はドアから逃走という事件です。
続いて2つ目の事件。
京王線での殺傷事件です。
これも犯人が乗客を切りつけ、その後ライターオイルに引火させて車両火災を発生させました。乗客が撮影していた動画がすぐにSNSにアップされて、それを見た方も多いでしょう。
日本の鉄道でこのような事件が起きるとはまさか想像もした事はありませんでした。
鉄道、特に都市部の鉄道では、日々様々な事件や事故が発生しています。
こういった時に。
乗務員はどのように対応するのか
どのような教育をされているか
実際のところどんな気持ちで仕事にあたっているか。
そのあたりを今回の記事で考えてみたいと思います。
【目次】
1.小田急線•京王線事件の概要と犯行の計画性について
2.非常通報装置•ドアコックの真実
3.国土交通省が示した今後の対策について元乗務員の視点から考える
4.乗務員は安全第一の行動をする根拠をお伝えします
5.解決策は果たしてあるのだろうか
まず今回の記事を進めていくにあたり、事件についての概要を説明します。
今回話題になった、通報装置やドアコック、ホームドアについて解説します。ここでは。
乗務員経験者だからわかる視点も加えて解説をします。
次に小田急線や京王線の事件をふまえて、国からも対策が示されています。私もこれについて確認しましたが
対策は実現可能なのか、現場の人間はどう思うのか。
そのあたりを考えてみます。
また、鉄道員は安全の為に行動することを教育で叩き込まれます。特に運転士教育の際には、安全に関する条文を暗記し、その内容について根本から理解します。
ややマニアックな内容になっておりますが、鉄道員の安全意識がどう作られるのかを、知ることができる内容にしました。
最後にまとめ内容としています。
鉄道は安全な乗り物のはずでした。
しかし今後はそうも言ってられないかもしれません。
鉄道事業者は何ができるのか。
乗務員は何をするべきか。
乗客はどんな点に気をつけるか。
そして乗務員達の本音について。
それらを元鉄道員である私と、皆さんとで考えてみたいと思います。
それではよろしくお願いします!
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