福知山線脱線事故から考える!鉄道運転士はこうしてメンタルが追い込まれる! 〜重圧に勝てなければプロの運転士にはなれない〜
2005年4月25日に発生したJR西日本・福知山線脱線事故から、丸16年が経とうとしています。
運転士と乗客107人が死亡、562人が負傷するという未曽有の大惨事でした。この事故は、鉄道に関心がない方でもご存知であるかと思います。
運転士養成教育の一環として、現場を訪れる事を教育内容に入れている事業者もあります。事故の悲惨さ、運転士の職責を自覚させるためです。
改めて当時の事故について私なりに考えてみようと
今回の記事を用意しました。
私は当時、電車の乗務員になる頃で、事故のことをとても生々しく記憶しています。当日、事故の一報を聞きニュースを見ましたが、列車が横転してマンションに沿うように曲がっている状態で、一瞬何が起きたのかよくわからず。
とんでもない事が起きた。
ことはすぐにわかりました。
この頃の特徴として、関西圏に限らず、電車の先頭車両は比較的空いている事が多くなりました。そして、鉄道に対する風当たりが一気に強まっていく事となりました。
鉄道は安全だと思われていましたが、これを機に世間の目は非常に厳しいものになります。鉄道各社内の雰囲気も、随分と変わっていったと記憶しています。
鉄道は安全であることに疑問符がつき、様々なルールや対策が、この後各社で取り入れられる事となります。
私はこの事故の数年後、当該運転士と同じ電車の運転免許を取得することになり、指導者から「安全」という鉄道において最も重要な事についてたたき込まれました。
鉄道はこれほど安全にうるさいのに、なぜあんな大事故が起きたのでしょうか。
何が原因だったのでしょうか。
自身が運転士という、事故を起こした彼と同じ職種に就いて、あの事故がどれほど危険で重大な事故だったのかを改めて思い知らされることとなりました。そしてあの運転士は‥
一体どんな気持ちだったか、なぜそこまで追い込まれなければならなかったのか。
を、考えるようになりました。
《目次》
1.それはどんな事故だったか、運転士経験者の感想を加えながら振り返る
2.運転士はなぜミスの隠蔽をしなければならないのか、運転士の心理から考える
3.定時運転はなぜ必要か、鉄道ダイヤはお客様サービスの為に存在している訳ではなかった
4.日勤教育は本当に必要ないものなのだろうか、日勤教育の本来の姿を考える
5.再び大事故が起きないとは決して言いきれない、二度と大事故を起こさないためには
この事故については様々な方が記載をしています。
事故の詳細内容は他の方に委ねます。
ここで私がお伝えしたいのは。
実際に運転士を経験した私は
あの事故をどう捉えているか。
運転士の心理とは。
なぜ事故が起きたか。
その背景には何が隠されているか。
ミスをなぜ極度に恐れないといけなかったか。
日勤教育は必要ない事なのか。
現場で仕事をする人間の、生の感覚をお伝えしたいのと、ミスを引き起こす原因となったであろう事に注目して記事を書きました。
当時よく聞かれた「回復運転」や「日勤教育」についても記載をしています。
事故が起きたのはゴールデンウィーク直前の月曜日でした。運転士は当時23歳、運転士になってまだ11か月。私の経験から、運転士になって11ヶ月というと正直まだまだ未熟です。独り立ちはしてますが、この人1人に営業列車のハンドル任せて良いの?というレベルです。精神的にも技術的にも。
運転士とは厳しい職業なのです。
一体どんなプレッシャーがかかっていたか。
そしてなぜプレッシャーに勝てなかったか。
その原因は何か。
安全教育とはどうあるべきなのか。
そして通常、表には出せない乗務員の心理状態。
「経験者の立場にならないとわからない状態」
を皆様にお伝えしていきます!
鉄道に関心がある人、鉄道業界を目指したい人、これから運転士になりたい人、きっと参考になるネタを詰め込みました。
なおこの事故は車掌についても様々な意見が出ていますが、今回は、特に運転士の状況にフォーカスして話を進めてみたいと思います。
福知山線事故に限らず、日々運転士が感じているプレッシャーを皆様に知っていただける内容となっています。
事故の詳細について述べている文章は他にもたくさんありますが、根深い理由までは記載がありません。
【経験した人間だからこそわかる部分】を伝えている内容は、あまり他にはないかと思います。
それではどうぞよろしくお願いいたします!
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